紙の本
イスラームに初めて触れる方への入門書
2014/03/12 20:25
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投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
おわりにで著者自らが本書を、「イスラームに初めて触れる方への入門書(286ページ)」と位置づけています。本書は、5年間のドバイでの生活を通して知ることのできたイスラーム社会を、平易な読みやすい文章で紹介した本です。
各章とも大変面白いのですが、例えば以下の通りです。
・ 「アラブ人は自分の持ち物をほめられると、それが自分ですぐに買える物であれば、ほめた人にあげようとする(100ページ)」
・ 「一般に犬は不浄な動物として扱われています(106ページ)」「猫は預言者ムハンマドがかわいがった動物とされています(108ページ)」
・ 断食は有名ですが、「裕福なイスラーム教徒の場合、断食をしても体重が増える(126ページ)」とのことです。
・ 第7章でイスラーム教徒が親日である理由が、縷々述べられています。「イスラーム教徒が実践すべき道徳を日本人が実践している(247ページ)」というのが、最大の理由のようです。
とっつきにくい印象のあるイスラーム社会ですが、本書は生活の視点で堅苦しくない内容となっていて、親近感が湧くこと間違いありません。
電子書籍
なるほど。
2015/03/20 15:14
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投稿者:eri - この投稿者のレビュー一覧を見る
男性視点のお話は聞いたことがありますが、女性視点はこの本が初めてかもしれません。やはり、最初は女性が生きにくい社会、という印象が大きかったのですが、むしろ気楽な部分もあるという印象を受けました。この本では、むしろ男性の方が大変に見えます。持ち物を褒めることはむやみにしない方がよい、という話が意外でしたが、理由を聞くとわかる気もしました。
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著者は、ご主人の転勤で、突然アラブ首長国連邦(UAE)のドバイに住むことになりましたが、そこでの生活は驚きと発見の連続でした。
彼らの行動をながめたり、話していることを聞いたりしているうちに、日本人には不可思議に思えるイスラーム教徒の行動に一つひとつ意味や目的があることがわかってきたといいます。
詳細なレビューはこちらです↓
http://maemuki-blog.com/?p=2348
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同じイスラム教であっても、国によって違うが、イスラム教徒の人々が嫌だなと感じるポイントがわかった。謎が解けた感じ。
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UAEの日本語を教える大学教授の、日常をベースにしたイスラームの宗教観、文化を学べる本。
すっと入る文章と、日常生活の端々から見える宗教観からくる、日本との違いはとても勉強になった。
入門書としてオススメ。
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イスラム教の世界観は馴染みの薄い日本人には理解し難い事も多い。最近は日本で仕事に従事するムスリムの人々も増えてきたようで、たまに会社のエレベーターなどですれ違うこともあるが、周囲にいる日本人がどれほど彼ら彼女らを理解しているだろうか。イスラームを知ろうとしなければ、一日に何度もお祈りする姿やハラールしか口にできず、基本的には酒も飲めないなんて、何か我々で理解できない大きな力に支配されている様にも感じてしまう。そうした疑問を解消する為、昔から多くの書籍を読んできたが、平和主義でありながら過激派によるテロ、原理主義的に女性の権利を認めていないかと思えば、本書の様に女性を危険から守るための自然な慣習とも取れるなど、未だにそのいずれかが真の姿であるかは私には理解し難い点もある。ただ一つ間違いないのは、筆者が暮らしたUAEの様な恵まれた環境もあればタリバンに支配されたアフガニスタンの様な諸外国から見たら明らかに女性蔑視とも取れる環境もあり、またエジプトの様にミニスカートを履いた女性が普通に街を歩く姿もあれば、肌を見せる事を本心から恥ずかしいと考える様な、それら程度の差が国や地域または社会環境によって大きく異なる事だ。だが何れも人々は必ずイスラームの心を持っている。
本書はUAEに6年暮らした筆者が女性の視点で見たイスラームについて、日常的な生活や冠婚葬祭、ビジネスなどあらゆる場での経験を基に描いていく。日本語教師として大学に勤め、学生(女性のみに分けられて受講するのが普通)達との対話を通じて、徐々にイスラームを理解していく経過を筆者と一緒に辿っていくことができる。
もしかしたらそれはアラブ諸国の中のUAEという範囲に限定されるものかもしれないが、イスラームの生活に密着する形で語られる内容には、説得力があり、筆者が素直に感じた感想などが実に私の様な庶民的な感覚に親しみやすい。正直これまで読んできた中では一番わかりやすく、また読み終わった瞬間に読書ならではの追体験がまるで旅行をしてきた感覚の様に記憶に鮮明に残った(最近一番早く読み終わったかもしれない)。
これからの世界は確実にイスラム教徒は増加する(イスラム教の教えは多産を善とし、現に人口増加率は高い)。少子高齢社会も改善の兆しがない日本で移民政策の必要性が訴えられいるが、前述の様に自分の所属する会社にも数名のムスリムが居るように、日本社会でも確実に増えていく傾向に向かう。ハラールを入り口に掲げる店はまだまだ少なく、モスクも多いとは言えない。ただ少し前なら公共施設には無かったお祈りの部屋がある事も珍しくはなくなったし、スーパーにハラール食コーナーを目にする事も増えてきた様に感じる。本書は2013年ごろのものだから、当時UAEの学生達が見た日本社会はまだまだだったと思うが、彼女達の目から見る日本社会はまだまだ住みにくい環境だというのは間違いないだろう。
勿論、公共施設や交通機関、食事、住居、衣服など物理的な充実度を上げていくには時間がかかるが、先ずは人の心、彼ら彼女らの考え方を受け入れ普通に接する事ができる人が育たないことには、いつまで経ってもムスリム���人々の心からの充実感や信頼は得られないだろう。
人は解らないものを恐怖・畏怖の念で見て接してしまう。生きていく上で本来的に備わっている未知なるものへの警戒心を持つのは当然だ。だからこそ、本書の様なイスラーム関連の書籍から学び知る事が重要だ。そして何よりニュースで流れる過激な組織が起こすテロ事件などで一つに括ってしまうのはあまりにも単純思考かつ愚かな事に気づくべきだ。それはイスラム教に限った事ではなく、キリスト教、ユダヤ教、ヒンドゥー教など我々が知らない世界への共通の接し方とも言える。隣人を知り隣人を受け容れ隣人を愛せよ、という事ではないだろうか。
本書を沢山の人に薦めたい。