紙の本
異常な傑作
2020/02/10 22:08
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投稿者:H2A - この投稿者のレビュー一覧を見る
キャサリンは病に倒れてヒースクリフの野望はそれでも燃え尽きない。嵐が丘とステッシュクロスの2つの家族をめぐる愛憎は、その子や孫にまで3代にわたって続く。こう言うのは安易だとは思うが、言葉では表せない異様な表出力で、ヒースクリフや周囲の登場人物たちを突き動かす宿命そのものを描いているようだ。ヒースクリフとキャサリンの激しい関係性はやはり異様な言葉の応酬で極彩色に彩られて社会通念や善悪を顧みず、片方が死んでからも肉体を超え出て、子孫たちさえも突き動かす。ヒースクリフの死は、悲劇を完成させるご都合主義なものでなく、必然的だが不可解なもの。この小説は劇薬だが、早く読めばよかった。
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やはり面白い!
2012/11/24 18:34
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投稿者:もぐら - この投稿者のレビュー一覧を見る
20年ぶりぐらいで読み直したが一気に上下とも通読した。昔読んだのは新潮文庫の田中西二郎訳だったと思うが、河島弘美訳も読みやすかった。
しかし、20歳代で、しかも女性でこんな小説を書いたエミリー・ブロンテはやはり天才だと思う。
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地下の嵐。
2002/07/10 01:19
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投稿者:凛珠 - この投稿者のレビュー一覧を見る
物語は次世代の人々が中心となる。それでもヒースクリフは影で爪を研ぎ、ついには嵐が丘だけでなくスランシュクロス屋敷をも手に入れることになる。彼は復讐を遂げたわけだが、最後まで読んでしまえば、結局復讐は完遂しなかったということが分かるだろう。憎い者でありながら、歴然として現れている、今は亡き愛しい人の面影。ヒースクリフは復讐よりも、静かでありながら陰鬱で激しい嵐のような愛情に殉じたのだろう。
原題「ワザリング・ハイツ」を「嵐が丘」と訳したのは斎藤勇という方だそうだが、全く素晴らしい訳だと思う。嵐といってもただ激しいだけではない。陰鬱に曇り、何か得体の知れないものを孕んだような空模様をもイメージさせる。陰鬱な大地、そして陰鬱な人々の激しい葛藤。地上の嵐は、「彼ら」が眠る大地の下で眠ることとなったのか。広大な大地とその上に屹立する墓標が目に浮かぶようで、この静かに激しい物語の締めくくりにあまりに相応しい。
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投稿者:ゲップ3号 - この投稿者のレビュー一覧を見る
素晴らしい物語である。ロックウッドは世界文学史上まれにみる悪者であろう。彼には生来の憎しみが溢れそれが作品の暗く重苦しいものにしている。しかし、それがまたいいのである。嵐が丘にはその暗さが満遍なく溢れだし満ち満ちている。みんな不幸になる物語である。
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ますます
2019/01/12 20:40
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投稿者:ケロン - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヒースクリフ氏の執念がすごい。
キャサリン以外は本当にどうでもいいのですね。
でも、そのキャサリンさえ本当に愛しているのやらどうやら、これはただの執念とか、執着とかではないの?と、私のようなお子ちゃまにはもうわかりませんでした。
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最近になって初めて手にしてみた嵐が丘。この邦訳がいいと聞いて選びましたが、本当に読みやすかったです。話はとにかく面白くて上下あっという間に読めました。率直な感想は、愛と狂気は紙一重、といったところでしょうか。
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一筋縄じゃいかない、へそ曲がりの連中ばっかり!ウキウキ!それはともかく、ヘアトン・アーンショーかわいい!「こーいつうー!」とか言って散々小突いて冷やかしてやりたい。
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「ヒースクリフは、わたし以上にわたしだからなの。 魂が何で出来ているか知らないけど、 ヒースクリフの魂と私の魂は同じ」
「いつかわたし、天国へ行った夢を見たのよ。 ただ、その夢の中で天国にはなじめない感じがして、 地上に帰りたくて胸が張り裂けるほど泣いたら、 天使達が怒って、私を荒野に放り出したんだけど、 落ちたところが嵐が丘のてっぺんで、 嬉し泣きして目がさめたわ。」
この時に天国から放り出されたキャサリンが (下巻)でヒースクリフの前に現れたのでしょうか。
天国すら霞むほど、地上のたった一人を愛してみたいものです。
著者エミリー・ブロンテは 家からあまり出たことのないおとなしい女性でこの物語を書き終えてすぐ三十歳という若さで 亡くなってしまったという。 間違いなく、命を削って魂をこの物語に注ぎ込んだのでしょう。 でなければ、この異常な程の力強さは、 一人の胸に納まるにはちと凶暴すぎる。
それでも、荒涼とした大地では、 心地よいそよ風にヒースが微かに揺れて、 こーんなに穏やかな最期だとは思いもしなかった。 何だこの読み終わった後の妙にさっぱりとした穏やかさは。 胸の中心、持ってかれました…。
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悲劇の人々のワガママさに、心が鷲掴みされて、とても不愉快。エエ加減にせいやと同情の余地なんかなくなるほど、不愉快。だから、まさかハッピーエンドになるとは、思いもしなかった。まさに私は聞き手のロックウェル氏と同じ思いで驚いた。
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感想は…とにかく怖かった。
話に出てくる人たちは、ほとんどの人が身勝手で、
自分のことしか考えてない。
さらにみんな凶暴。
罵り合うシーンなんか目が点になりながら読んでしまうくらいでした。
ストーリー展開も、大体わかる。
文章も、とりたてて変わっているところはない気がする…。
でもなぜか、続きを読まずにはいられない。
先にいかずにはいられない。
100年以上も前に作られた小説ですが、
未だに書店の目につきやすい所においてあるのには、納得のいくものでした。
作家のエミリー・ブロンテは、なんでこの小説を書いたんだろう…。
なんでこんな人たちを書いたんだろう…。
書きたかったんだろう…。
それを考えると不思議でしょうがない。
夏の暑さも飛んじゃうくらいの勢いで読めてしまう本です!!
若干涼しくもなれます(笑)
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2010/3/1(~54)2(~106)3(~114)4(~170)8(~378終)
必読書150にて紹介されていた、すごく賞賛高い作品。
とてもよかった。
狂気・憎悪・悲観に満ちた主人公達も多く、多少暗い内容なのだけれど、上下ともに、読み始めると止まらなくなる不思議な作品だった。
とてもおもしろかった。
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世界的名作ともいえるこの小説。
はっきり言っておもしろかった。
まさに「ページを繰るのももどかしい」という感じ。上下2冊の文庫本を4日で読んでしまいました。
19世紀の女性が書いた小説が21世紀の読者にこんな思いを抱かせるとは。そういうところもまた読書の醍醐味。
舞台はイギリス郊外の荒野に立つ2軒の家。登場人物もそこに住む人々。それだけです。
わがままお嬢様キャサリンと、拾われてきたひねくれ坊主ヒースクリフの愛憎劇。
なんか、これだけだと、安っぽい昼ドラ的な内容をイメージしがちだけど、もっと、こう、凝縮されたエネルギーが渦巻く、非常に濃い小説です。
個性的な人物、荒野に立つ館の情景ともに描写が巧み。
あふれる感情にまかせて書いたように見えるけれど、実はけっこう緻密に書かれている。うーん、スゴイ。
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悲痛な展開の中でキャサリンお嬢さんの成長だけが僕の救いだった。
ロックウッド氏の立ち位置は絶妙だ。
満足度7
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嵐が丘を読んでいるときにキャサリン(母娘とも)とネリーに「何でそんかな余計ことするの!?」と何度言いたかったことか…。笑
「ページを繰るのももどかしい」(当時の書評らしい)って本当。名作って名作って呼ばれるだけあるよねぇ、って改めて思った。
ヒースクリフが最後までヒースクリフなのがよかった。
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ツイッターから引用
2011年01月26日(水) 2 tweets
小説:嵐が丘:サディストとダメ人間しか出てこないのか。
posted at 22:40:24
小説:嵐が丘:キューブリックの『シャイニング』を横目にしながらラストスパート。ジャックとヒースクリフのどっちがひどい親父かな。
posted at 23:07:12
2011年01月27日(木) 1 tweets
小説:嵐が丘:ヒースクリフが、未来のある三人の子供の人格も人生もめちゃくちゃに破壊していく過程は、マジで怖いよな…。下手なホラー小説より上を行ってる。
posted at 00:04:36
2011年01月28日(金) 2 tweets
小説:嵐が丘:ヘアトン、リントン、キャサリンの三人が互いを傷つけ合うフェイズも怖いよな…。
posted at 00:49:02
小説:嵐が丘:河島弘美先生の解説によると、『嵐が丘』に登場するヨークシャーの自然描写、法律設定などは相当正確らしい。エミリー・ブロンテは30歳の生涯で一作の長編小説だけだが、そうとう入れ込んで書いたんだろう。
posted at 00:51:52