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渋江抽斎 みんなのレビュー

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一般書

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みんなのレビュー21件

みんなの評価3.9

評価内訳

21 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

退屈させない森鴎外の代表作のひとつ

2020/11/25 15:03

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

「史伝」というのは、「広辞苑」によれば「歴史と伝記」とまずあり、「歴史に伝えられた記録」と続く。
 小説ではないので創作の要素がないのだろうが、森鴎外が55歳の大正5年(1916年)新聞に発表し鴎外史伝の代表作にもなったこの作品の面白さはどうだろう。
 読めばほとんど記録の羅列が続くのだが、そしてそこには実に多くの人が登場(誕生)し、消えて(死んで)いるという人間の営みがまずあることがよくわかる。
 それでいて、小さな挿話の一つひとつがまるで良質の短篇小説を読んでいるような味わいがあって、飽きさせない。

 中でも主人公たる弘前藩の医官で考証学者の渋江抽斎の四番目の妻となる五百(いお、と読む)の魅力といったらない。
 彼女が抽斎の妻になるのあたっては実家の事情を慮って抽斎に嫁ぎ、その抽斎の力を借りて実家に監督せしめようとしたという。
 この逸話にしても当然婚儀に話として書かれてもよいものを、鴎外はあえて終り近くに持っていく。
 この作品が読むやすく面白いのは、かくのように鴎外の巧みな編集力にあるといえる。
 主人公の抽斎が53歳で亡くなったあとも鴎外がこの「史伝」を書き続けるのは、歴史とは単に一人の人物の生死ではなく、彼がもたらしたあらゆることが歴史を生み出すという思いがあったのかもしれない。

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紙の本

不思議な小説

2004/11/11 12:20

8人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:メル - この投稿者のレビュー一覧を見る

読みはじめてみるとすぐに気が付くことだが、この小説は人物の記述が異常に「詳しすぎる」。おまけに淡々とした記述している。たとえば、抽斎の日常生活をこんな風に記述する。

《飯は朝午各三椀、夕二椀半と極めていた。しかもその椀の大きさとこれに飯を盛る量とが厳重に定めてあった。殊に晩年になっては、嘉永二年に津軽信順が抽斎のこの習慣を聞き知って、長尾宗右衛門に命じて造らせて賜わった椀のみを用いた。その形は常のよりやや大きかった。そしてこれに飯を盛るに、婢をして盛らしむるときは、過不及を免れぬといって、飯を小さい櫃に取り分けさせ、櫃から椀に盛ることを、五百の役目にしていた。朝の未醤汁も必ず二椀に限っていた。(p.185)》

どうやら鴎外は「歴史其儘」という考え方をこの作品で実践したらしい。要するに、書き手の判断を何も書かずに、事実だけを客観的に記述していくスタイルだ。この鴎外のスタイル、私はけっこう好きだ。だけど、こんなこと言ってはなんだが、読者にしてみれば、「渋江抽斎」なんて一般に有名ではない人の日常生活にこれほど詳しくなっても仕方がないかもしれない。

とは言うものの、私にはこの本が「渋江抽斎」という人物の研究書だとは思えない。そこかしこに鴎外の想像=創造が侵入しているはず。だからこれは評伝のスタイルと採っているが、紛れもなく小説なのだと思う。

ちょっとタイトルが良くないと思う。『渋江抽斎』というタイトルでは、この抽斎という人物について鴎外が書いているように読者は思ってしまう。もちろん、抽斎を中心にこの小説は語られているけれど、けっして抽斎ただ一人について語った作品ではないのだ。抽斎と関係した人物や家族に関しても逐一報告していく。しかも「詳しく」。実際に読んでみると分かるのだが、抽斎の嫁の「五百(いお)」のほうが生き生きと語られているではないか!他にも不良の息子についてのほうが抽斎自身についてよりも詳しく書かれているし。したがって、この小説は「渋江抽斎とその時代」と言ったほうが正確なのではないかと思う。

だいたい、主人公の渋江抽斎は途中、それも約半分あたりの箇所で、病気になってあっけなく亡くなってしまうのだ。そのへんの描写を引用してみよう。

《八月二十二日に抽斎は常の如く晩餐の饌に向った。しかし五百が酒を侑めた時、抽斎は下物の魚膾に箸を下さなかった。「なぜ上がらないのです」と問うと、「少し腹工合が悪いからよそう」といった。翌二十三日は浜町中屋敷の当直の日であったのを、所労を以て辞した。この日に始めて嘔吐があった。それから二十七日に至るまで、諸証は次第に険悪になるばかりであった。(…)
抽斎の病況は二十八日に小康を得た。(…)
二十八日の夜丑の刻に、抽斎は遂に絶息した。即ち二十九日午前二時である。年は五十四歳であった。遺骸は谷中感応寺に葬られた。(p.159−160)》

以後、この小説は「抽斎没後の第○○年は、○○年である」という書き出しで、ひたすら抽斎没後の家族の様子を、鴎外がこの作品を執筆している時間まで追いかけていく。普通『渋江抽斎』というタイトルの本なのだから、主人公の抽斎が亡くなったらそれで終わりなのではと思うのだが、鴎外はそこで執筆を止めることはない。これがよく分からない。鴎外が本当に興味・関心を抱いていたのは何だったのだろう? まったく不思議な小説だ。

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紙の本

文庫。

2022/04/30 12:03

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ないものねだり - この投稿者のレビュー一覧を見る

ある出来事をモチーフに書いたとか。職業作家という感じがする。作家としての創作姿勢は非常に熱心で、医者としては特に功績は無いと聞いた。作家の作品。

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紙の本

聞く側も聞かれる側もご苦労様

2019/09/19 22:34

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

これは小説ではなくて、史伝だ。史伝というのは、辞書によると歴史上の事実に基づいた伝記ということらしい。 鴎外がなぜ「渋江抽斎」という人に興味を持ち始めたかというと、江戸時代の「武鑑」を集めていてとやたらと「渋江蔵書」という印が目に付く、調べてみると、この人は医者で、官吏で、哲学書を読み、歴史書を読む、文芸書も読む、彼は「私と同じではないか、先人だ」と思ったのだ。ただ、彼は「哲学歴史の面で考証家7としての地位を樹立している渋江氏にくらべて私は・・・」と謙遜して見せている。鴎外は遺子・保氏らから抽斎についての情報を得ているが、これだけの情報を聞き取るにはどれだけの時間を要したであろう。聞く側も聞かれる側もご苦労様である

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紙の本

淡々と、詳細に

2019/05/22 07:36

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ただの人間 - この投稿者のレビュー一覧を見る

淡々、という表現がぴったりくる書きぶりだけれども、そこから様々な登場人物のキャラクターが浮かび上がる。緻密な調査と、それを活かす描写力は流石という感じ。人の繋がりがどこでどう働くかも、事実は小説よりも奇なりという印象を受けた

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2019/12/17 20:53

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2010/11/26 18:34

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2015/11/24 08:10

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2016/05/21 09:37

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2017/11/12 11:43

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2020/09/26 14:57

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2019/09/18 17:30

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2020/05/07 23:40

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2020/05/30 15:02

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2021/04/02 12:50

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