紙の本
人と人とのあたたかな繋がりを描いた、いい作品。
2015/09/14 10:00
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投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
結婚前の主人公の前に、兄だと名乗る年下の男が現れるーという宣伝文にはけっこうイロモノめいた雰囲気が漂うが、中身はしっとりと味わいのある、落ち着いた心温まる話だった。もちろん、主人公は年下なのに兄と言い張る男に戸惑う。けれど、しょっちゅう訪れては許嫁のことを知ろうとしたり料理を教えたりする彼のことをいつしか「おにいさん」と呼び、受け入れるようになる。この辺の書き方のさじ加減がよくて、普通に考えたら「なんでそんなあっさり流されるの」と反発を感じそうなところをあまり感じない。押しつけがましさの手前ぎりぎりにあるような「おにいさん」の性格が、実は必死に作られたものだと途中で判明するからだろうか。いや、そうではなくて、一番大きいのは「おにいさん」のことを主人公の許嫁がおおらかに、そして自然に受け入れるからだと思う。そんなのありえない、と気にするのではなく、「あなたを大事にしているとわかるから大事にしたい」と言い、「おにいさん」とうまいことつきあって、けっこう会話も盛り上がる。そんな許嫁のキャラクターが、とてもいい。和菓子屋を営んでいる許嫁の父母もいい。時折出てくる和菓子もこの物語の雰囲気にぴったりと合っている。
そうして、最後についに「おにいさん」が何者か主人公は思い出すのだが、そのこと自体が目標の話では決してないと思う。もちろん、ああ、そうだったのか、と腑に落ちる感じはある。でもそれは驚きではなく、ふんわりとあるべきところに着地する感覚だ。一見突飛に見える設定が、いい意味でとてもオーソドックスな小説の形に組み込まれている。
電子書籍
気持ち良く読める本
2014/08/31 05:49
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投稿者:花 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ハネムーン中に読んだ本のうちの一冊。結婚前に感じた色々な思いが蘇って懐かしい気持ちに浸りつつ、主人公の経験と自分の過去が重なり、少し苦しく、そして温かい気持ちをも思い出させてくれた。誰でも主人公に共感する部分が多かれ少なかれあるのでは。とても読みやすい本。
紙の本
忘れられないこと。忘れたいこと。
2015/11/28 11:49
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投稿者:Key - この投稿者のレビュー一覧を見る
傷ついた記憶。苦い記憶。夢破れた悔しさ。
あまり振り返りたくない過去。
そんな思い出も、自分が思うほど本当はそこまで悪いものでもないのかもしれない…
自分には嫌な過去でも、誰かにとっては忘れられない大切な思い出になってることもある。
突然現れた「弟」により、主人公が過去と向き合い、「結婚」という未来に進んでいく過程が描かれた一冊です。
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瀬尾さんの本は、悪い人が出てこない。それをうそくさいとか、偽善とか、一面ではそう思えるかもしれないけど、フィクションの中でくらい、私はそうあってほしいと思うし、そういう瀬尾さんの作品が好きだ。
結婚を目前に控えたさくらの前に突然現れた、年下のお兄さん。
出会ったきっかけや、理由がわかるまでがのんびりしてるし、その真相もあっ、と言わされることもない。
でも人の繋がりやあたたかさを丁寧に切り取って、救いだして、優しい気持ちになれる。
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結婚を控えた主人公の前に突然現れた12歳年下の「お兄さん」。
読むうちにお兄さんのペースに一緒に巻き込まれる。お兄さんと一緒に料理を作って食べるシーン、物語全体に流れる優しい空気が心地良い。
優しい優しい話が心に沁み込んだ。読後もう少しこの幸せな空気に浸っていたいと思う。
装画:宮入のあ
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和菓子屋の山田さんとの結婚を目前に、顔も名前もわからない、兄だという年下の男の子が訪ねてくる。
迷惑に感じながらも、どこか憎めない「おにいさん」との関わりの中で、心の奥底にしまいこんだ辛い過去の扉を、少しずつ開いていく。
最後はなんだか、泣きそうになった。
家族って、あったかいなぁ。
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瀬尾まいこさんの作品は全部読んできてるけど、いつも安心してやさしい気持ちになる。ホッとする。突然現れたおにいさん。こんな展開で不思議な感じだけど、違和感がなくなって、楽しい気持ちになる。楽しい、優しさ、何らかの辛いこと、幸せ、そういうのがいつものキーワードではあるけど、飽きない。
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挫折と再生がテーマのひとつにしては、
さくさく読めるストーリー。
和菓子の描写が、とても美味しそうで食べたくなります。
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結婚を控えた私の前に、突然現れた年下の兄?
正体が知りたくて、あったという間に読みきってしまった。
瀬尾さんらしい家族愛のほかに、この作品は、挫折もテーマになっている。あたたかいセリフに、そうだよな〜と励まされた。
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結婚を控えたある日、私の前に兄と名乗る青年が現れた。明らかに年下の「お兄さん」は、私の結婚にあれこれ口出しを始めて・・・。
人生で一番大切なことを教えてくれる、ハートフルウェディングコメディ。
僕は捨て子だ(『卵の緒』)。ずっと前から決めていた(『天国はまだ遠い』)。教室に紙飛行機が飛びはじめる(『温室デイズ』)。清。私の名前だ(『図書館の神様』)。少しずつ時間を重ねるうちに、なんとなく忘れられそうな気がする(『僕らのごはんは明日で待ってる』)。
何かの本で瀬尾まいこの書き出し文はピカイチだという定評がある。今回の書き出し文はこちら。
生まれてから今日までの出来事をすべて覚えておくのは不可能だ。
いつも通り嫌な奴は登場しない。どれもみんないい奴で、男の子も山田さんも大好きになってしまう。また魅力的な言葉をしゃべるのもいい。結婚ってこういうものなのかもしれないな。
「今まで好きな人ができてそれなりに付き合ったこともあったけど、でもこの人の家族が自分の家族になっていくと考えると面倒だなって気持ちがぬぐえたことは一度もなかったんだよね」(p.83)
(まっちー)
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速読教室
またゆっくり読みたい
やっぱりほのぼのする。り
15 紅茶
61 お茶で鰯を煮る
87 水饅頭と緑茶
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結婚を控えたさくらの前に、一回りも年下の兄が表れる。兄の出現で、なんだかかき回され始める....。
瀬尾さんらしい穏やかなほのぼのとした作品になってました。さくらと結婚相手の山田さんの関係が、穏やかでほのぼのとしていていい感じでしたが、お兄さんの存在が、そんな二人の関係をいい意味で密になっていて、本当に素敵な二人になっていくところが良かったなと思った。そして、お兄さん。誰にでも、心の奥深くの扉の中に隠して思い出したくないこともあるし、辛くつぶれてしまいそうなときに優しくしてもらってることもあるなと実感。自分の思う通りに進むことが出来なくても、その人が幸せならそれが一番という言葉(概ね)にぐっときました。
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やっぱり瀬尾さんの作品は、心がふわんとあったかくなる。あっという間に読みおわって、心の疲れをぬぐってくれました。
過剰なセンチメンタルとか、わざとらしい泣かせようとか、余計なものは一切なくて。
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突然現れた、年下の「お兄さん」の存在が謎すぎて、なかなか物語に入り込めず・・・( ̄▽ ̄;)
読み終わってみれば、瀬尾さんらしいお話だったかなとは思いますけどねw
え~?と思って斜に構えず、素直に読めるとよかったかもww
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結婚を間近に控えた私に、突然年下なのに兄と称する青年が現れる。素性も目的も判らないまま読者も振り回される。
これはミステリーなのかファンタジーなのか? あとは読んでのお楽しみ。