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(2009/12/9読了)城さんとか池田信夫さんとかのブログ読者にはおなじみの内容。派遣労働の規制をしたところで、正社員の過剰保護が続いたままでは、失業者が増えるだけ・・・というお話。
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「労働市場改革の経済学」は、八代先生の新著。「非正社員の働き方を規制で封じ込めようとする論理は、じつは、日本的雇用慣行と、それによって利益を得ている正社員の「保護主義」の裏返しでもある」という指摘は重要。労働市場の規制改革を「市場原理主義」として毛嫌いする人にこそ読んでもらいたい。(大竹文雄ブログ:2009/11/25)
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【問題認識】
日本的雇用慣行(新卒一括採用、終身雇用、年功序列)が機能不全を起こしている。
【原因・背景】
そもそも、日本的雇用慣行は、
①高い経済成長の持続
②豊富な若年層と相対的に少ない高齢層という年齢構成
③一時的な不況期の緩衝材としての非正規社員の存在
という前提に基づいて成立し、高い経済成長の時代に、慢性的な労働力不足に対する策として熟練労働者を企業内へ閉じ込める効果(entrapment effect)を狙ったもの。
日本の成長率が長期的に停滞する状況では、日本的雇用慣行の前提条件は崩れ、様々な弊害が生じる。
労働法ではなく司法判断に委ねられ、「予見可能性」が低い解雇規制等、日本的雇用慣行を保護する判例法や規制が改善されない行政の不作為も大きな問題。
高い経済成長を所与として成功した過去の成功モデルである日本的雇用慣行を、時代に適した形に改める必要がある。
【日本的雇用慣行の悪影響】
・非正規社員の増加
↓与党による規制
①派遣以外の非正規労働へのシフト
②海外へのシフト(正社員の雇用機会の縮小)
・正社員の慢性的な長時間労働
・格差の増大(労労間格差、世代間格差)
・少子化
女性の高学歴化
→就業率の上昇
→未婚率の上昇(結婚(≒子供)か仕事かの二者択一)
→出生率の下落
・男女参画社会、エイジフリー社会促進の障害
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労働市場改革への提言書。日本における現状の正規労働者を企業に対する出資者と定義し、労・労の克服に向けた雇用ルールの明確化、派遣労働禁止から保護法への転換等を提案している。城氏や池田氏と同一論調。日本の高度成長の持続(~1990年以前まで)、ピラミッド構造と労働力不足という条件でのみ成立し得た、日本的雇用慣行(新卒一括採用、終身雇用、年功序列)を固定、維持し続けることによる弊害が非常によく分かる。現行の介護保険の様に、育児保険の構想は個人のワークライフバランスの為にも求められると思う。
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日本の労働慣行の問題点について様々な視点から論じた本。本書の中で重要と思われることを一部抜粋する。
・バブル崩壊後でも正社員の雇用は増えていた。それは、一時的な不況と考えられていたからである(現在はこの逆)
・日本の海外直接投資の流出が流入を大きく上回っていることは、労働市場へ悪影響を及ぼす
・日本の「解雇規制」の問題は、規制が厳しいことではなく、予見可能性が低いことである
・派遣労働者が正社員の雇用機会を代替することを防ぐために、派遣には期間制限がある
・派遣規制をすると、製造業で海外移転が発生し、正社員の雇用機会も縮小する危険性がある
・失業なき労働移転が可能であった特殊な時代は終わった
・バブル期でも出生率は低下していた
・男女間で結婚相手の学歴に関する非対称性が存在する
・平均的労働時間は減ったが、正社員の労働時間は一定のまま
・定年制の意味は、労働生産性よりも賃金が高いというギャップを清算すること
・公共職業安定所の事業を民間に委託・開放することが必要
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経済学の観点から、労働市場の規制改革について書かれている。普段触れている労働法の観点と違うので、理解できないところもあるが、「同一労働・同一賃金」に向けては、規制強化だけでなく、より現実的な労働市場政策が必要だと思った。
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新聞等でもよくコメントが出る著者の考え方には、筋が通っており、納得する部分が多い。労働問題に限ったことではないが、これほど問題点が明らかになっているなら、政府は、労働市場のあるべき姿を示し、その実現に向けて課題解決を行うべきだろう。
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94労働市場改革の経済学 八代尚弘
・労使対立ではなく、正社員と非正規社員との間の労労対立について考察した本
・欧米諸国:職種別の労働市場が前提→労使間対立
・日本:長期雇用保障を前提→労使間での利益の一致→だが、雇用保障されている正社員と非正規社員の間の労労対立
@cpa_1992
労働分配率
・米国:一定←不況期には人員削減。好況期には増加して調整
・日本:不況期に上昇、好況期低下。人員数調整による対応はしづらい