- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
2 件中 1 件~ 2 件を表示 |
紙の本
「統一朝鮮」という理想
2007/11/19 16:26
6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:としりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
朝鮮半島の歴史を俯瞰してみると、本来、朝鮮半島は一つの国民国家であった。古代の三国時代や現在の南北分断時代というのは、歴史的には異例のことである。
東西冷戦時代の象徴のような、現在の南北分断という「戦後レジーム」から脱却し、統一された国民国家という「普通の国」になることを目指す、というのが著者の思想だろう。評者はそのように理解した。
だが、どうしても違和感を覚えてしまう。
理想として統一を志向するのは理解できても、どのような政治体制の統一国家を想定するのだろう。「金正日大統領」の誕生も容認するのか。極端すぎる南北の経済格差という現実的で深刻な問題もある。
そうした現実的側面への言及が不足である。
また、北朝鮮は、かつて朝鮮戦争を起こし、ラングーン爆弾テロ事件や大韓航空機爆破事件など、数々の無法を行ってきた。少なくとも数百人という韓国人拉致被害者も存在している。さらに、国際社会の非難を尻目に弾道ミサイル発射や核実験も行った。
それら一切を不問に付す、というのだろうか。
現在、韓国社会は保守(反共)派と親北左派との分裂状態にある。我々日本人の感覚からすれば、国家保安法の廃止を主張するなど親北派の言動はとても正気の沙汰とは思えない。保守派の言動こそが真っ当だと考える人が大多数だろう。
そんな中、本書は、親北派の思考、南北対話の歴史や、反共教育から統一教育への流れなど、現代韓国の一つの側面を見せてくれる。
先述の歴史的観点に立ったとき、南北分断という異例の現状から一つの国民国家という本来の姿へと、大きな歴史的流れの中にあるのではないか、と思われてくる。
金大中、ノムヒョンと2代続く親北大統領の登場も、歴史の必然なのだろうか。
核を保有する統一朝鮮の誕生は、我が国にとって大変な脅威である。が、それは想定内のこととして、将来の統一朝鮮にどのように向き合っていくのか、我が国の姿勢が問われてくることになるのだろう。
2 件中 1 件~ 2 件を表示 |