紙の本
経済学の草創期から近代経済学の誕生までに関わった12人の巨匠を取り上げ、彼らの評伝と理論を解説した書です!
2020/04/05 13:52
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、経済学の草創期とも言える時代から近代経済学の成立までに活躍した12人の経済学者を取り上げ、その評伝と理論を分かり易く解説した書です。同書では、フランソワ・ケネー、アダム・スミス、デイヴィッド・リカード、ジョン・ステュアート・ミル、カール・マルクス、カール・メンガー、レオン・ワルラス、アルフレッド・マーシャル、ジョン・メイナード・ケインズ、ヨゼフ・アロイス・シュンペーター、ピエロ・スラッファ、ジョン・ケネス・ガルブレイスが収録されており、彼らの生きた時代と社会の発展を辿りながら、現代経済学を支える哲学と思想を再発見することができます。
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フランソワ・ケネーから始まって、アダム・スミス、J.S.ミル、マルクス、マーシャル、ケインズ、シュンペーター、そしてガルブレイスなど12人の経済学者の経済理論を解説し、経済学史の流れを非常にコンパクトに分かりやすくまとめた力作。
それぞれ小伝が紹介されているので、当時の時代背景と生い立ちから、12人の経済理論はもちろんのこと、彼らの思想、哲学の核となる部分まで辿ることができる。
筆者の言うとおり、「現代経済学の背後に隠されている古の哲学や思想の痕跡を再発見し、現代理論を盲信する危険性を防ぐ」ということが、経済学の歴史を学ぶ理由の一つであり、本質を発見できることも一つの大きな魅力なのではないかと思う。
また、12人の経済学者としての才能に留まらない教養、知性、人間性から、J.S.ミルをはじめ、「名文家」として通ったガルブレイスなどの著者としての作品も興味をそそられる。
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本書は、12人の経済学上の巨人の列伝である。単なる学説の解説だけではなく、その人の人生におけるエポックや、思想的背景などがバランスよくまとめられており、一通りの経済学の流れを総ざらいするのにちょうどよい本だと思う。一方で、肝心の学説の説明はやや粗雑なので、予備知識もない人にはつらいだろう。
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近代で重要な経済理論または思想を残した12人の経済学者を紹介する1冊。その生涯や思想にまんべんなく触れられる。今までなじみのなかった学者や、メジャーな学者でも一般に膾炙されない側面なども知ることができた。
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12人の経済思想史の偉人の思想を400ページ近くの文庫版で説明しようとする本。著者は、経済思想史の本が多い根井氏。
フランソワ・ケネー、アダム・スミス、リカード、J.S.ミル、マルクス、メンガー、ワルラス、マーシャル、ケインズ、シュンペーター、スラッファー、ガルブレイスの12人。個人的にはこの後の著作を見ても、根井氏らしい人選だとも思う。
1人の人物の思想に平均30~40Pとなるが、人物の略史があるので思想に入る前にわかりやすい。機会あれば、また読み直したいと思った。
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経済学史の入門書はロバート・ハイエルブローナーの『入門経済思想史』が個人的に最高傑作だと思うが、日本人が書いたものが読みたいならオススメ。
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20170809読了。
根井さんの経済学史は、人物像にまで迫るのでとても興味深い。基本的にはケインジアンなのかな?ガルブレイスの評伝が、今のアメリカ政治経済の現状を予言しているみたい。
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経済学とはつねにつかず離れつの関係でいたいと思っていることから挑戦した本。
各学者の学説の説明は、正直少し難しかった。他方、各学者の人生がコンパクトにまとめられていること、(他者からの評価ではなく)書いてあることから忠実に学者の思想を読み解こうとする著者の姿勢は、少なくともこの本が初学者の挑戦も受け入れうることを示している。再読の必要あり。
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経済学史において最も重要な学者を12人を選び抜き、
彼らの人物史と時代背景、思想、理論を解説した類のない名著
歴史の話はともかく理論の話は初学者には理解が難しい水準
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経済学の大きな考え方を産み出した人物12人を、短い伝記と共にその産み出された考え方について紹介している本。
取り上げらえている偉人はケネー、アダム・スミス、リカード、ミル、マルクス、メンガー、ワルラス、マーシャル、ケインズ、シュンペーター、スラッファ、ガルブレイスの12人。それぞれがどういう過程を経てどういう理論をどういう目的で産み出したかが示されている。
経済学で使われている考え方は多種多様でありいろんな人がいろんなところで利用しているけれど、その多くは歪められて使われているように感じる。そんな歪みが無いように偉人の生きた時代背景や生い立ちなどを抑えたうえでわかりやすく理論解説をしている本で、とても読みやすくかつ整理されててわかりやすいものだった。
単なる理論の紹介や解説でなく伝記も含めて考えることでどういうモノを考えてきたのか、どういう考え方をしていたのかといったことが読み取りやすく、巷で溢れているような”歪んだ”理論にならないように配慮されているように感じとても好感が持てた。彼らの求めたものは基本的には真理の探究であって発見ではないと思われるが世の中には彼らが真理を発見したものとして捉えてる人が多すぎなんだろうと思う。
全体の感想としては、かつては食糧生産が圧倒的に足りず必然的に経済は土地に縛られていたので、求めるべき真理もあるべき理想も比較的単純であったがゆえに生み出された理論も追い求めるべき理想も”身近”であったが、時代が立つにつれて経済を取り巻く環境は複雑化した結果、経済学者はいかに現実と理想とを近づけるかといった事よりも「完全」な理論を追い求める姿勢が強くなっていったのかなと思え、結果、理論と現実とが乖離しているのが現代の経済学なんだろうなと感じた。今の時代に必要なモノは彼らが生み出した「理論」ではなくその理論を作り出した「考え方」でもって現代社会を分析して解決策を新たに作り出すことなんだろう。