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神国日本 みんなのレビュー

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みんなのレビュー8件

みんなの評価4.0

評価内訳

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8 件中 1 件~ 8 件を表示

紙の本

日本史上に大きな影響を及ぼした「神国日本」思想を斬新な切り口で考察!

2006/04/20 10:08

10人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ブルース - この投稿者のレビュー一覧を見る

「神国日本」とういう言葉は、先の大戦中に盛んに提唱され軍部の強力なイデオロギーとなったために、見聞きするだけでも現在でも強いアレルギーがある。
他方、民族的な発想をする人達には、この言葉は現在でも有効であるらしく、数年前に森首相が「日本は神の国」などと発言し物議をかもし出したことは記憶に新しい。そのような経緯があるので、神国日本という思想は、歴史学の対象とするには難しい面があり、日本史上に大きな影響を人々に与えたにもかかわらず、充分には解明されて来なかった。
本書は、その神国日本という難問に若き研究者が果敢に取り組んだ注目すべき書物である。著者は、これまでにも『霊場の思想』などの著書で、日本の思想・宗教を斬新な切り口で考察している。そのような著者が著した書物であるので、全く新しい観点からこの思想を取り上げ、大きな示唆を与える。
著者は、まず日本を神国とみなす理念は、よく言われるように鎌倉時代の蒙古襲来から生じたものではなくて七世紀末の白鳳時代に唱えられ、神国思想の基盤となる神の概念も時代を経る毎に変貌を遂げていることを指摘している。著者によれば、神の概念はとりわけ中世において大きな変貌を示し、仏教との癒着が著しいという。この時代は、仏教と神道は神仏習合を示し、神は仏が化身してこの世に姿を現し、神の本体は仏と思念されていた。
通説では、中世における神国思想は、厭世的な仏教の末法思想に対するアンティテーゼとして提唱されたとしているが、著者は明確にこれを否定している。
さらに著者は、神国思想は決して手放しの日本礼賛に繋がるものでは無かったとしている。中世の神国思想は、他界の絶対的な存在の仏が神の姿を取って日本という国土に垂迹しているから神国と考えられており、それは取りも直さず神の背後には普遍的な真理を体現している仏が存在していることになり、個別の国土や民族を超える側面を有していたという。これは、従来の神国思想に新たな認識を迫る見解となっている。
本書の中でもう一つ注目すべきは、神国思想と天皇の関係について全く新しい光を投げかけていることである。通説では、天皇の存在こそが神国思想の基盤とされている。確かに、神国思想が生まれた七世紀末の天武天皇の時代にはそれは当てはまるが、中世になると「天皇は神国の目的ではなく、神国が存在するための手段と見なされるようになり、悪しき天皇は神から天罰を受け、徳を積まない天皇は退位も当然という共通認識」があったという。これは、古代末期から中世初期にかけて律令体制が動揺し、それに伴って天皇の地位の低下という歴史的背景がある。それを窺わせる一例として、中世に女官によって書かれた『讃岐典侍日記』の中では、臨終の際に病苦に悶えひたすら神仏に極楽往生を願う堀河天皇の姿が生々しく描かれている。そこには、「大君は神にませば」と謳われた古代の天皇とは遠く隔たった姿が垣間見られる。
著者は終章で、中世の神国思想に内存されていた普遍的な真理に繋がる仏の存在が、近世における統一政権のもとでは否定され、体制を支えるイデオロギーに変化させられてしまったことで、この思想が保持していた拡がりが失われ偏狭なナショナリズムに堕していくことの契機となったことを明確に指摘している。
以上、本書のエッセンスを紹介して来たが、従来とは全くことなる神国思想の捉え方をしており、読者に再考を迫る刺激的な論考となっている。
また、千年に渡る神国思想の流れをこれほど見通し良く、しかも平易な言葉で叙述する著者の能力には際立ったものがある。コンパクトながら、名著と評すことができる。

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紙の本

引っ張りが強すぎるが、労作。

2006/06/22 19:43

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ちひ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 タイトルに掲げられた微妙な問題を学術的スタンスで解き明かそうとする労作。
 本来の・手垢のつかない神国思想が何であるのかを追求するのは学術的に意味のあることであろうし、実際「そもそも神国思想とは何であるのか」を歴史的に明らかにしようとする著者の試みの数々は非常に興味深く、相当数の資料の精査をもとにした言説にも一定の説得力がある。
 だが、このように「イデオロギー」のにおいがぷんぷんする概念を学術的な立場から扱おうとする書物でよく行われる残念なことが、この本でも粛々と行われてしまった印象も否めない。
 著者は、一部からは熱烈に受容され、一部からは毛嫌いされている「神国思想」が本来どういうものであるのか、その性質を歴史的文献なども参照しながら明らかにする。
 その上で、誤解を乗り越え、そもそもの神国思想の本当のところを理解し受容すべきであると主張し、熱烈受容派には「そうではなく、わたしの明らかにした本来の神国思想を理解・受容・増進すべきだ」と言い、拒絶拒否派には「そうではなく、本来の意味での神国思想は良くも悪くもないのだから神国思想そのものを拒否すべきではない」と言う。
 その主張自体は真っ当であると思う。しかし「神国思想」を正確に分析し得たと自負する自分の主張に耳を傾けない人の多さを嘆くあまり、「神国思想」の生まれた日本という場所的な特異性だけを根拠に、すべての日本人がこの問題から「逃げたり目をそむけたりすることを許されない」(p.218)とまで言ってしまっては、個人的な価値観の押し売りとの誹りを免れ得ないであろう。
 自分が作った土俵の上だけで相撲を取るべきだと言ってはいけないと思う。
 しかし議論のための新しい土俵が提示されたのは間違いないし、それはとても喜ばしいことである。

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2006/07/24 13:42

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2010/07/06 09:22

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2010/09/01 21:12

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2010/10/16 12:59

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2011/03/25 09:24

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2015/02/04 15:58

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