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極寒の冬山、自分が体験したことのない世界で、体験したことのない恐怖感と向き合い、人間の体力と精神力ギリギリのところで、登り続ける先には何があるのか?想像してもきっとそんなもんじゃないであろう世界を知っているのはこの人だけなのかも。日本人にこんなにすごい人がいるんだなぁ。
途中から、完全に本の中に入ってしまいました。読み終わった時、しばらく何も手につきませんでした。
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フリークライマー山野井氏の人物ルポルタージュ。
私は登山もボルダリンゲもしない人間で、危険な行為や高所も好きではない。
ジェットコースターだって乗りたくないし、ジョギングや水泳なんかの辛い運動も苦手だ。
(散歩や歩くのは好きだけど!)
だから当たり前ながら共感は出来なかった。
(だってあんなの前向きな自殺行為みたいなもんだもんなぁ
岩上る人って、ばんばん死んじゃうイメージが…)
しかし彼の半生を読んでいくのは面白かった。
常人とは何かがもう決定的に違っていて、
大した人もいるものだ。人間というのはこういう風にもなれるのだなぁ、ぶっ飛んでるなぁ・・・と思った。
死と隣り合わせのことをしているから生き物に優しくなれる
って作者はまとめていたけれど、
そりゃまぁそうなんだろうけど・・・そこはちょっと極論ではなかろうか。
そうでなくても人や生き物には優しくなれると思うんだけど。
全体的に作者の我というか、主張がちょっと強かったのは気になってしまいました。
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自身も山に登るフリーランス記者、丸山直樹氏による、単独登攀者 山野井泰史氏のルポ。
図らずも借りることになったので読んでみた。
アタックの状況を克明に記しているわけではないんだけれど、それでもソロで岩山をフリークライミングすることは想像を絶する極限の状況であることが伝わってくる。
ボクは山登り、とりわけ彼のようなフリークライミングやアルパイン・クライミングなんかは全くやったことないから、正直彼らの本当の気持ちはわからないけど、筆者が言うような「麻薬的」常習性や高揚感が彼らを駆り立てるその理由だとするならば、ソレに近い感覚は全く想像できないとこともないかもしれない…。(もちろん麻薬はやったことないけれども)
ともあれそんな極限の状況に挑み続ける山野井氏のことを最後の方では少し宗教チックにも解説している部分がある。その例えが陳腐とは言わないし、軽々しいとも思わないけれど、なんとなく違和感を覚えた。きっと山野井氏は我々が持つ言葉や概念では表せない“次元の違う”人なんじゃないだろうか。
あと、丸山氏の主張性の強い文章は、やや読み手を選ぶかも。山野井氏自身が書いたらもっと面白くなったかな。
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さすが物書きを仕事にしている人の文章
読みやすい
表現が「くさく」て閉口するが嫌いではない
8000メートル以上は居るだけで体力が消耗する世界
死ぬこと自体が怖いんじゃない。ひとりで死ぬことが怖いんだ。
痛がったり寒がったりしても何の解決にもならない
思い入れのないクライミングはおもしろくない
怖いがゆえに挑まずにはいられない。血がカッと熱くなる、しかし極めて静謐な~クライマー特有の美意識なのかもしれない。
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沢木耕太郎『凍』を読んだ後、
山野井泰史氏のことをもっと知りたくなり、本書を読んだ。
『凍』がギャチュンカン登攀をメインに据えて
そこに至るまでの過程として山野井氏の人となり・経歴に触れているのに対して、
本書は時系列としてギャチュンカンに至る前の97年〜98年にかけて
書かれた本なので、当然ながら山野井氏にとって
大きな意味を持つギャチュンカンについては本書には書かれていない。
そのため、ソロのアルパインスタイルで輝かしい登攀を行ってきた
山野井氏の生い立ちからキャリアのピークに近い部分までを
本人・関係者への取材を通して詳細に描いた
ノンフィクションという位置づけになる。
両方読んだ感想としては、物語としては『凍』の方が良いが
山野井氏の人となり・考え方・経歴を詳しく知りたいのであれば
本書がいいのではないかと思う。
ただ、かなり癖のあるノンフィクションライターのようで、
相当詳しく取材している分、自己主張・自意識が強く
山野井氏の行動・あり方に対して自分がどう思ったかが
ストレートに書いてあるのは人を選ぶと思う。
登攀失敗時を描いた文章には、
ぶざま・醜態・負け犬などという言葉が並ぶし
何もこんなこと言わなくても(書かなくても)という箇所が
いくつもある。
ただ、山野井氏に対してある部分確かに尊敬し、すごいと思っている
とも感じられるので、個人的には許容できる範囲だった。
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「凍」と「垂直の記憶」を読んでから山野井さん関連本にハマっている。
「ソロ」は山野井さんの生い立ちやクライミングの経歴に関してかなり細かく書かれており、非常に興味深く読むことができた。
関係者の話も多く、山野井さんの人物像がよくわかる。
山野井さんの山にかける情熱、生き方は簡単に真似ができるものではないが、男としてとても憧れる。
最後に、筆者が山野井さんへの取材を通して感じた「ソロで登ること」に関しての考察が書かれており、非常に熱く、胸に響いた。
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著者の知性の乏しい文章が不快だが山野井さんからいろいろと引き出してはいるのは評価できる。最終章の自分の哲学を無理に山野井さんに当てはめようとしているのは特に酷いから削ったほうが良い。
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孤高の登山家、山野井泰史のルポ。
尊敬する人はだれか?と問われたら、私は候補の一人に山野井を挙げる。
本書の最終章、著者丸山が山野井を通じて感じたことが心を打つ。
人は生まれながら善性を持つ。
残りすべては書けないが、事あるたびにここを読み返したい。
自分にとっての人生とは?自分は何者なのか?
私は未だその答えを自分で持ってはいない。