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紙の本
最終目的は 逆襲にあらず
2009/08/17 07:04
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:星落秋風五丈原 - この投稿者のレビュー一覧を見る
NHKで、大阪での元派遣社員の就職活動を追ったドキュメンタリー番組を視聴した。
ドキュメンタリー番組だから勿論筋書きはない。ないのだが、今までならば予測された「本人の努力によって就職への希望が見えた」という、予測された落としどころが登場しなかった。勉強した結果が就職に結びつかず、彼等はいまだ安定した雇用についていない。本書にも総務大臣政務官の言葉が登場するが、よく「就職できないのは個人の自己責任。本人の努力が足りない」と言われる。だが、ドキュメンタリーや本書を読み、自分の努力だけではどうにもならない、もっと大きな力によって、現在の状況になっていることが、改めて感じられた。
タイトルは「逆襲」と銘打たれているが、派遣社員の要求が全て呑まれたわけではない。某派遣会社で、どう考えても不当なデータ装備費は返還されたが、賃金のダンピング、日雇い派遣禁止への根強い反対など、まだまだ問題は山積みである。
それでも、まずは、知ることが大事だと思う。会社に声をあげずにいた不満や正当な要求が、個人でなく団体として要求することで受け入れられる過程。実際の日雇い派遣の労働状況。知らずにいれば「自己責任論」として他人事として片付けていたことでも、知れば、自分の問題として身近に考えられるのではないだろうか。今後、正社員解雇が増えると予測されており、登録型派遣やスポット派遣に従事する人々は増える。労働問題自体、働く人の雇用形態によってひとごとか、そうでないかと分けられるものではない。自分がその身になってから考えるのでは、遅いのだ。
事実や体験したことのみを述べてある、信頼のおける書だった。
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