紙の本
原発を技術力で完全に制御できるという驕りがなかったか
2012/04/23 23:43
6人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MtVictory - この投稿者のレビュー一覧を見る
東日本大震災直後の5月に出た本。
作家である著者は、震災と津波と同時に起きた福島原発の事故に対して、様々なメディアを通じて、発言を続けてきた。本書でも、地震多発地帯、日本列島に建設された原発の危険性を指摘し、全ての原発を停止・廃炉にするよう訴えている。賢明な日本人は既にほとんどの原発は停止させた。
しかし、政府はここにきて、再稼動を目指している。産業界など既得権者から猛烈な圧力を受けているのだろう。日本人の生命よりも、経済的利益のほうが重要と考えている者が確実に存在する。そんな人たちに限って、自分だけは安全だと思っているのかも知れない。安全対策が完了したわけでもないのに。
震災から1年。皆、もう安心しているのではないか。考えたくないのかも知れない。しかし、いつ次が来るかも分からないのだ。原発は停止したから即、安全なのではないことは、本書を読めば分かるだろう。
終章では「これから原発をどうするか、決めるのは日本の国民」だと著者は述べている。「原発と生きる不安で暗鬱な社会を、これからも選択しますか?」と最後を締めくくっている。原発をどうするのか、今後のエネルギー源をどう確保するのか、生活水準を下げるのかどうか、我々には選択が迫られている。なし崩し的に原発再稼動を決めたら、世界中から日本人は笑われることだろう。
日本列島で数千年に渡って生きてきた日本人のDNAの記憶。自然災害の恐怖と適応能力を刻んできた。今回は地震だけでなく、原発事故の記憶も深く刻み込まれることだろう。
投稿元:
レビューを見る
広瀬さんは元気だ。『原発時限爆弾』が遺著になるかと思ったら、福島原発震災が起きたにもかかわらずこの国の人々は、「原発がなくなると困る」と思いはすれ、まだ原発に危機感をもっていない人が半分もいる。ぼくもそれは驚くべきことだと思う。広瀬さんは、それで黙っていられなくなって本書を書いた。中身はこれまでも広瀬さんが言ってきたことだが、福島原発震災のの分析、放射能の恐ろしさ、活動期に入った日本地震列島の現実、使用済み燃料の保管がもうほとんどできなくなってきている現状の深刻さを訴える。これでも、まだ原発はいるのだろうか。
投稿元:
レビューを見る
背筋が寒くなります。もっと恐ろしいのは本に書かれていることが真実だってこと。原発のこと正しく知るために多くの人に読んでほしいです。原発を推進するのも反対するのもそれからではないかと。
投稿元:
レビューを見る
企画コーナー「今、原発を考える時」(2Fカウンター前)にて展示中です。どうぞご覧下さい。
貸出利用は本学在学生および教職員に限られます。【展示期間:2011/5/23-7/31】
湘南OPAC : http://sopac.lib.bunkyo.ac.jp/mylimedio/search/input-find.do?nqid=3&mode=comp&queryid=0
投稿元:
レビューを見る
資源が少ない国だけに、原子力発電は仕方ないとずっと思っていた。
しかし、福島原発事故のように、とんでもないことが発生し、そんなことは言っていられない。
この本がどこまで真実か。どうとらえたらいいのか。
それは読者によるが、言えるのはただひとつ。
原子力発電は無くても困らないということだ。
電気の自由化というのも興味深い話であった。
頼みます。
原発止めましょう。
投稿元:
レビューを見る
広瀬氏は『東京に原発を』他、3.11以前から、原発問題に対して危険性を指摘してきた論客。
⇒原発問題を多面的に考えるための、様々な視点を提供してくれる。
投稿元:
レビューを見る
広瀬さんは、こんなにこのような風になる前から好きな作家さんですが、この本で、地震のマグニチュードの件は、目からうろこでした。確かに、その辺、スルーしていたかも・・・と。
投稿元:
レビューを見る
東京電力福島第一原発で何が起こったのか。
地震発生時から4月末までを解りやすくまとめてくれています。
投稿元:
レビューを見る
こわい。今起きていることも怖いが、あらかじめこんな危険性は分かっていたはずなのに計画が推し進められてしまっていることだ。
投稿元:
レビューを見る
だから言ったでしょ 的なお話。ジャーナリストとして自分の主張がなぜ賛同されないのか なぜ原発Noとならないかが すべてウソ情報/利権で片付けられている もう少し客観的に述べるべきでは? 私も原発は反対派ですが
投稿元:
レビューを見る
「東京に原発を」「危険な話」「原子炉の時限爆弾」などで原子力の危険を訴え続けてきた広瀬隆さんが、
原発震災の本当の恐ろしさを伝えたい、と緊急出版した。
内容については、目次を見ていただければわかると思う。
<序章 原発震災がまた襲ってくる>
福島第一原発は人災だ
私の悪い予感が現実になった
事実も予測も伝えないメディア
浜岡の原発震災を防げるか
「狼」は必ずやってくる
<第1部 福島第一原発事故の「真相」>
<第1章 津波に暴かれた人災>
原発はお湯を沸かしているだけ
「メルトダウン」が起こる原因とは
津波は「想定外」の高さではなかった
後手に回った電源復旧作業
なぜGEに助けてもらわないのか
「海水注入」の功罪
「マークⅠ型」原子炉は欠陥製品だった
地震の一撃で配管が破損したのではないか
<第2章 東電・メディアに隠された真実>
水素爆発を予測できない「専門家」
スリーマイル島原発では爆発を回避
プルサーマルに触れたくないのか
マグニチュード9.0は真実か
情報操作による責任逃れ
<第3章 放射能との長期戦>
放射能はどのように生まれるか
安全論を強調するトリック
数値で表せない「体内被曝」
世界一鈍感な日本の放射線科学陣
放射能の数値に大きな意味はない
移住も考えて西へ逃げよ
<第2部 原発震災、ここで阻止せよ>
<第4章 巨大地震の激動期に入った日本>
なぜ日本列島に大地震が多いのか
4つのプレートの境界線上にある
日本列島はケタ違いに若い土地
プレート境界型地震と内陸直下型地震
中小地震の頻発は巨大地震の前触れ
激動期に入った日本列島
<第5章 「浜岡原発」破局の恐怖>
原子炉の直下で起こる「東海地震」
ウランの核分裂を止められない
安全性よりも計画を優先
根拠のない耐震性の引き上げ
砂丘が津波対策になるのか
<第6章 活断層におびえる「原発列島」>
<終章 安全崩壊した日本の原子力政策>
原発は温暖化対策の切り札か
原発がなければ停電するか
全国の原発はまもなく行き詰まる
メルトダウンの最終処理
・・・
正直、これでもかと突き出される重い事実の羅列に、途中で嫌気がさして、飛ばし読みしてしまったのですが・・・
なるほどと思ったところは、
地震直後はたしか「マグニチュード8.4」と言われていたのに、それが「マグニチュード9.0」に引き上げられたカラクリ。
気象庁が途中でマグニチュードの物差しを変えてしまったので、このような修正がされたらしく、
その理由が、当��のマグニチュード8.4のままだと、
今回の地震が「想定内」の天災ということになり、東京電力が巨大な損害賠償を支払わなければならないため、
そのような操作がされたということ。
原子力損害賠償法という法律に
「想定外の天災などで原子力の事故が起こった場合は、企業だけに責任を負わせるのではなく、国も国民の税金で被害補償をすることがある」
とうたわれているらしい。
まだ、福島第一原発の事故現場の収拾すらメドがついていないのに、
こういうことはいち早く手を回すのか、と思うと暗たんたる気持ちになる。
知りたくない事実がまだまだあるんだと知って、読後、絶望感に満たされる。
どうやってここから脱出すればよいのだろう・・・
投稿元:
レビューを見る
ノンフィクションライター、広瀬隆氏の新著です。一番印象に残っている本は私が学生時代に読んだ、「ジョンウェインはなぜ死んだか」。原爆試験場近くで西部劇のロケを行ったことが原因で俳優や映画関係者ががんで死んだ、という衝撃的な内容でした。福島原発事故について、東電の発表した不十分なデータをもとに、「すでにメルトダウンしている」「注水は冷却ではなく溶け落ちた核燃料をじゃぶじゃぶ洗っているだけ」など冷静な指摘を行っていきます。この後後半の、どれだけ人的被害が出るかという部分に差し掛かります。事故後短期間にこれだけの本が出るのはすごいことだと思います。断片的な報道やブログでは全体像が解りません。1冊の本なればこそ、の力です。
投稿元:
レビューを見る
作者の本は、以前「東京に原発を」を読んで以来である。
本を読んだあの頃、今回のような事態は考えていなかった。
安心、安全の言葉の裏にある実態・・・・
未来ある子どもたちが安心して暮らしていけるようになってほしいものである。
投稿元:
レビューを見る
反原発の立場をとる広瀬隆氏。次々と今回の福島原発事故の対策の問題点を列挙。また54基ある日本の原発ひとつひとつの欠陥、構造上の問題点を挙げているけど、どうもその部分が長く、その部分はもうちょっとコンパクトにしてもいいのではという感想。
最も、同意できる部分は地震学者でも原発学者でも「専門家ならば、想定される最悪の事態を、起こる前に恐れだけでも伝えられなければ意味がない」といった論旨の部分かな。
投稿元:
レビューを見る
怖ろしい内容でした。そしてこれはSF世界のことではなく、いま、現実に起こっていることなのです。しかし本書を読んで、恐怖に駆られたり怯えても何の解決にもなりません。著者も「パニックというのは、人々が本当のことを知らされていないから起こるものです。」と書いているように、まず私たちは正しい情報を手に入れ、そしてこれからどうすればよいのか考え、行動に移していくべきです。自分の無知を反省し、このことに気づかせてくれた貴重な本でした。