紙の本
女の園にも縁の下の力持ち
2022/08/01 09:04
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
タカラジェンヌの卵たちを陰ながら支える、武骨な男たちに好感が持てます。生徒監から大道具係までと、知られざる舞台裏を覗き見させてもらいました。
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宝塚に関係を持つお父さんやお兄さんの物語。突然、宝塚歌劇団のマネージャーみたいな人になってしまった、元鉄道マンの男の人とか、自分の娘が宝塚を目指すお父さんとか。
宝塚の生徒(団員?)の一途さとか、真剣さが伝わってきて好感が持てる。見てみたい気もするけど。
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宝塚といえば「女性だけ」のイメージだけど、スタッフさんや家族には当然、男性もたくさんいる。
普段は光の当たらないその男性たちの視点から見た宝塚。
6話からなる短編集は軽く連作になっていて、前の話で出てきた受験生が予科生になっていたり舞台に立っていたりするので、「お父ちゃん」たちと一緒に少女たちの成長を見守っているような気持ちになれる。
「月の番人」
阪急の駅長を定年退職後、歌劇団の寮の生徒監になる多々良さんのお話。
生徒監が生徒たちに「お父ちゃん」と呼ばれているのが、なんだかあったかくていいなぁ。
「咲くや此の花」
宝塚受験を目指す万里子のパパ、荒木さんのお話。
OGさんのスタジオにちょっとしたご縁があったので、受験のために一生懸命レッスンに通う少女と親御さんの話は身近に感じる。
「ハッピーホワイトウエディング」
宝塚に合格した美雪のお兄ちゃん、裕一のお話。
予科生の決まり事がいろいろ書かれていておもしろかった。知っている話も知らない話もあったけれど、制服にポケットがないのは不便そう。
「星に願いを」
工業高校卒業後、遊園地で電気関係の仕事を希望したのに歌劇場の大道具に配属されてしまった原口くんのお話。
「コスモポリタン」
本社人事部から歌劇団の制作に異動となった鍋島さんのお話。
制作といっても、実は歌劇団の人事のような立場。タカラジェンヌにリストラ=卒業を促す役目に悩む。
「海外専科」
5話の鍋島さんを中心に、ニューヨーク公演を企画。成功を目指すお話。
4話の原口君も再登場。
各話それぞれ、宝塚の組名を思わせるタイトルになっているのに気付き、また楽しくなる。
ディープな宝塚ファンが満足できる内容かどうかはわからないけれど、ファンでなくてもさらりと楽しめる一冊。
作者さんは教育書や児童向けミステリなどを書かれている方で、本書が初の一般書だそう。
易しい文章で読みやすく、たまにヘンな関西弁もご愛嬌。
ただ、校正したの?と疑問に思うくらい多数の誤植があり、それが残念。
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宝塚の組付おとうちゃん、これ内部の人しか知らない世界だよね!全ツに同行したり生徒の相談にのったり…本当の劇団も内情はこんな感じなのかなぁとわくわく想像しながら読んだ。サンバさんはすっしーさんを思い浮かべながら。
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宝塚歌劇団やタカラジェンヌに、何らかの形で関わる男性たちのお話。フィクションとはいうものの、舞台裏を少しのぞくことができて興味深かった。最後の章はちょっと切なかったけれど…
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宝塚に興味を持ち始めたばかりなので、最初の「お父ちゃん」の話はとても面白かった。2話目のマリコのお父さんは魅力がなくて、読んでてうんざりしてしまった。よくいるわ、こういう視野狭窄親父…。ある意味リアルだった。マリコとアイコの友情が素敵だっただけに残念。
出てくるタカラジェンヌたちは皆魅力的なのだけど、完全オムニバスでもよかったんじゃないかなと思った。同じ人たちばかり出てくるから、全部月組の話に思えてしまう。時代も人もバラバラにしてしまった方がバラエティに富んだ感じがしたかなぁ。
文章は読みやすく、華やかな舞台を影で支える人々の裏話的な感じで面白かった。
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宝塚に関してド素人の私にとっては、とても面白く読むことができた。フィクションとはいえ、かなりこれに近いことが行われているのだろう。深いなー、宝塚!
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女の子達が濃い化粧でまつげつけてキャッキャいってる。そんな勘違いな評価をされがちな宝塚歌劇団。その宝塚歌劇は、阪急電鉄グループの一員である。そこまではファンならずとも知っているが、女の子がキャッキャなんて、そんなに甘かったら、音楽学校の倍率はあんなにならないし、卒業生がみな名女優として活躍しているわけがないのだ。
みな、高い技術とプロ意識・ガッツを持って舞台を務めている。そして、その裏方にいる多くの男性たちも彼女たちがそこらの小娘ではないことを知っているから阪急マンは興行を支えているのだ。
(敢えてこういう呼び方をした。私は…ここには演出から外注のイベントのセット設営スタッフ・阪急電鉄の駅員さんに至るまで含めて書いている)劇団に関わる男性たちを描いたこの小説は大変面白い。
生徒監・受験生の家族・裏方の大道具さん・制作マネジメントスタッフ…たちが登場するが、これを読んでいると、女の子たちが男に稼がせてもらっている(あるいはその逆)というのでもないことがはっきり解る。
彼らは、生徒を支え、興行を成功させて宝塚を一流のカンパニーたらしめているが、生徒たちと同じ努力はできないし、舞台に立てない。
生徒であるタカラジェンヌは、自分達を支えている裏方の仕事に首を突っ込んでも意味が無い。それなら一分でも踊り歌い…芝居の研鑽を積むほうが彼らの「プロの仕事」に余程報いて客を喜ばせる事ができる。
つまりは、適材適所。
最初はなんとなくぎこちなかった男性たちも生徒の厳しさ、本気を知って、段々と歌劇団の人になってゆく。制作記者会見などを見ていると実にその思いを深くするのだ。長いファン歴になってくると、劇場を見上げて想う。
「そうだよなあ…チョロくないからチケット代払ってここまで観に来るんだもんな…。」
宝塚の知られない側面を描いているのは、著者の奥様が、月組の名バイプレイヤーであられた真山葉瑠さんだったから…とも察せられるが。(真山さんは、ご自身の退団公演で当時専科に移籍が決まっていた初風緑さんに「専科に行っちゃダメダメ!」と絡み、初風さんからは「宝塚辞めちゃダメダメ…」と言われてお二人泣き笑い。虹色のアフロヘアのお二人を見て、お客も一緒に泣いて笑ったことを今も思い出す。
作中の「サンバ」という愛称の生徒は、著者である宮津さんのご経歴を知らなくても、もしや、ルンバさんのことかしら…と思って読了。他の方の感想をさっき拝見して、ああやはり…と思った。
宝塚の男役は,アイドルみたいに綺麗で可愛けりゃいいだけではない。渋い芝居のできる名役者があってこそ舞台になる。娘役も同様で…。成熟した女役や老け役までこなす方があるから大人の鑑賞に耐えるものが出来ている。そういう意味では真山さん、本当に惜しい方で、私は残って、場を締めるひとでいて頂きたかった。でも、小説から垣間見るのはお幸せな現在。
こういう面も宝塚にはあるよと旦那様ともじっくりお話をなさったのだろう。ファンとして、心からうれしく思う。
ともあれ。
この本は良質のヅカ���であるだけでなく企業小説としても大変泣かせる1冊である。世の男性諸氏に、ああ、働いてる男って…宝塚でも同じなんだ。父や兄はジェンヌの家族でも俺達と同じなんだ。そう思っていただいて…劇場にも足をお運び頂ければ、女のファンとして心から嬉しい。
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宝塚歌劇大好き。
この作品で宝塚に関わる男性の方の仕事内容が知れてすごく面白かった。
そして子供のころから宝塚を目指し、その夢を叶えるためだけに頑張ってる少女や家族のお話も感動しました。
面白くて一気に読めて心が温かくなりました。
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何かの拍子で宝塚に触れる事になった生徒監、受験生の父、音楽学校生の結婚する兄、大道具、生徒のリストラ担当の男性達の日々。彼らの見守る中、舞台に穴を開けたくないと大声で泣き叫んだりはしゃいだり性転換と言ったりする様が生身の血の通った人間ぽくて、こういうのも親しみ易くて良い。不合格の子のその後も温かい。
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宝塚歌劇団を支える男たちのアンソロジー。
「宝塚なんて観たこともない!」「女子供の観るものだ!」と言っていた男性たちが宝塚に魅了されて、宝塚を支える存在になっていく物語。
宝塚の生徒たちのお世話をする「お父ちゃん」や、舞台を作る大道具さん、娘が宝塚に合格するためにサポートするお父さん…
宝塚に出演する子たちの懸命や、音楽学校のしきたり、宝塚を支える人々の存在が描かれていて、宝塚の魅力が伝わってきて、観に行きたくなった。
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宝塚歌劇団がステキなショーを行うために
たくさんの人が関わっているのだと
当たり前ながらに思いました。
これは宝塚歌劇団はもちろんのこと、
どのようなことであっても、
自分の知らないところで
たくさんの人が関わって成り立っていることが
たくさんあると考えさせられました。
私は宝塚歌劇団を観劇したことがありません。
見に行ってみたいです。
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同じ主人公男の目線で話が進んでいくものかと思いきや、章ごとに主人公の男性が変わった。宝塚歌劇とどんな関わり方をしていくかが異なる。しかし、どの話にもサンバという男役他、ちらほら前の話の登場人物が顔を出し、話が進む事に月日が経過している。
1話/阪急梅田駅長を退職し、月組の生徒監に
2話/一人娘が入団を目指す
3話/タカラジェンヌの妹とその友達
4話/劇場の大道具係
5話/制作・プロデューサー
6話/まとめ
2話の、風と共に去りぬの鑑賞実況が、そうそう!確かに確かに!と、劇場の光景を思い出し、懐かしさと共に舞台の楽しさを追体験で来て面白かった。階段の幅が23センチとあり、思わず定規を探した。憧れる。終わり方もスッキリ。