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紙の本
読めば自転車に乗りたくなります。きっと。
2002/04/27 21:24
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投稿者:MIYA - この投稿者のレビュー一覧を見る
自転車をメインモチーフに悲喜こもごもの物語を描く、シリーズの第三巻。一話完結式の作品ながら、作者の巧みなストーリーテリングが光る良作である。
収録作は7本。各話ごとに異なる自転車が登場するが、そのデザインや機能の多様さにはちょっと驚かされる。
それらと絡むキャラクターの造形及び描写も丁寧で、素直な感動を与えてくれた。
三巻掲載のエピソードからは、特に第三話「忘れ物にサヨナラ」を推そう。盗難自転車を巡る物語だが、身の回りでもよく見聞きするモチーフなだけに切実なものがある。このエピソードでは加害者の少年は不良グループに命令されての行動だったのだが、実は彼自身もかつて同じ経験をしているのである。
ようやく手に入れた自転車を盗まれた少女の悔し涙、周囲の誰しもが犯人に見えてしまう少年の苛立ちには、まるで我が事のようなやりきれなさを感じた。物語は少年自身がグループとの決別を宣言して終わるが、現実の盗難被害はそれで終わり、という事はないのである。
巻末にはシリーズ通しての主人公(?)である「峠アオバ」の両親、峠工一と山咲ワカバを主役に配したエピソードが毎巻一話ずつ掲載されている。二話目は少し趣向を変えて、高校生時代に彼らの親友たちが「親」になってしまった事件を中心に、この時期特有の将来への漠然とした不安を丁寧に描いている。
珍しく自転車が出ないのだが、同等の存在としてリヤカーが出てくる。人生を語る小道具としてみれば、なるほど自転車よりもいっそう説得力があるような気がする。故意にか偶然か、まったく上手いものだ。
評価は星5つ。前二巻同様、派手なアクションや大仕掛けなミステリーがあるわけではないが、独自の確固たる魅力を備えた作品である。自転車に興味を持つ持たないにかかわらず、是非とも一読をオススメしたい。
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