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一般書

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みんなのレビュー60件

みんなの評価4.3

評価内訳

60 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

全国の中学・高校の図書館に忘れず常備せよ——と思わず言いたくなるような……。文学の面白さを教えてくれる、イタリア幻想文学巨匠の質高い短篇集。

2007/06/01 11:54

13人中、13人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:中村びわ - この投稿者のレビュー一覧を見る

  「もう少したったら、我が子がこういうものを読んでくれないかな」と感じさせられる本だった。そうは言っても小学6年生の息子はおバカで、まだ精神年齢が幼いため、中学3年あたりまで待たなくてはならないだろう。本書は別にヤング・アダルト向けの作品集として作られているわけではなし、簡潔で分かりよい文で物語が進められていきこそすれ、一般的な文学作品としての水準は極めて高い。
 ブッツァーティという幻想文学作家、日本ではあまりなじみがないが、生前よくカフカにたとえられていたらしい。もっとも本人は、その評価を決して有難くは受け止めておらず、カフカのことを「一生背負わなければならない十字架」と考えていたと解説にある。「現実世界の不条理」を寓話的な手法により表現した点がカフカに比される理由なのだろう。そこに超常的な不可思議や神秘性が加わる。また、SF味が加わることもある。カフカにも、そういう面がある。そしてカフカ同様、独自性ある作品宇宙の広がりを持つがため、その時代の文学の本流とは違う場所で書かれていたことも、通じ合うものがある証しなのだろう。時代の流れに左右されないがために「奇異」と見なされるのは、確固とした個性がどの時代においても辿る、避けられない運命なのである。
 しかし、せっかく読書体験を味わうのに、日常を追認していくだけではもったいなさすぎる。自分の日常の延長世界が書かれたような本を読み、「うん。この人、なかなか分かってくれているよね。その通りなんだよね」とうなずくだけでは世界は広がらない。もちろんそうした行為で日常的自信を補強していくことは大切だが、より深く物事を考え、よりよい判断をしていくために、内面世界の広がりや深みを耕していくことは必要なはずである。思いもよらなかった物の見方、日常からかけ離れたところにある価値観を提示してみせてくれる作品の「個性」は、変わったものとして遠ざけるのではなく、珍重するでもなく、出会いとして歓迎するものなのではないか。
 22篇も収まっていれば、完成度にかなりのばらつきがありそうだが、バリエーションのばらつきはあっても、アイデアが卓抜しているところ、それを巧みに現実世界との接点を設けながら書いて、読み手を身につまされる気分にさせてしまうところが徹底している。
 22篇のうち12篇はすでに訳されたことがあるそうで、私も『石の幻影』(河出書房新社)という単行本で「コロンブレ」「1980年の教訓」「驕らぬ心」の3篇を読んだことがあるが、再読であっても、そのアイデアに再び感心させられ、いやむしろ新鮮な気分でその見事さをより強く印象づけられた。
「コロンブレ」は、一度ねらった獲物を生涯追いつづけると言われている海獣につけ回される男の話。ページ数はわずか12。つけ狙われてずっと怯えて過ごした運命の終わりに、大きな皮肉が待っている。
「1980年の教訓」は、毎週同じ曜日、同じ時刻に世界の要人に異変が起こる設定。イタリア民話にもあるような「くりかえし話」のリズムに呑まれて読めば、この世の何たるかを考えさせる終息が訪れる。
「驕らぬ心」は、都会の荒野の片隅に住む修道士の元をたまに訪れる聖職者の話。これもくりかえし話のようになっていて、聖職者は決まって同じ告解をしにやってくるのだが、懺悔する罪そのものが「誠実さ」につながっている。
 「誠実さ」「意気」「善意」「誇り」「安らかさ」「希望」など、人間の意識のプラス要素が直接書かれず裏返しの形で表されるとき、そうしたものの真価に気づかされることを、1篇1篇が教えてくれる。

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紙の本

「七階」はすごい作品

2022/01/13 22:07

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

私が大好きな作品「タタール人の砂漠」のブッツァーティが残した中篇・短篇から光文社古典新訳文庫に収められた22篇、どれも、やはりすばらしい。なかでも「七階」はたまらなく好き、初期の軽い症状だけど、評判の高い療養所があるからと勧められて入院した主人公、7階がもっとも軽い人の病室で、階が下がるごとに病状が重くなり、1階の人は死を待つばかりなのだと聞かされる、私には関係ない話だ、すぐに退院するんだからと主人公、しかし、彼の病室は「一時的なことだから」とか「治療に都合いいから」といった理由から一階、一階、下げられて、最後には・・・という怖い話、また「グランドホテルの廊下」もいい、私もそうなんだと思わず叫びそうになった、「あいつ、トイレに行こうとしているな」となぜか思われたくなくて、一度、行き過ぎてしまう、これって、なんなんだろう

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紙の本

奇妙な味わい

2015/09/19 11:41

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:obandegans - この投稿者のレビュー一覧を見る

著者はイタリア人で短編の名手。この本にも22編が納められている。幻想的ながらイメージが作りやすい作風は、一筋縄では行かないひねり、皮肉、怖さに充ち満ちている。一編毎に気持に染み込んできますよ。

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電子書籍

「戦艦《死》」が衝撃的

2018/05/29 05:31

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る

第二次世界大戦下で開発された戦艦が、戦後も彷徨う姿が圧巻でした。戦争の理不尽な暴力について考えさせられました。

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紙の本

人間の宿命

2016/02/15 10:26

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:つよし - この投稿者のレビュー一覧を見る

コロンブレを読みたくて買った。堀江敏幸の「河岸忘日抄」に、ブッツァーティの「K」として印象的に引用されている。航海中の船をいつまでも追いかけてくる海の怪物としてコロンブレは描かれる。この怪物に魅入られた主人公の少年は、文字通り死ぬまで、怪物の追跡を逃れられず、本人や家族のほかに怪物の姿は見えない。もちろん、海に出なければ追われることはないが、怪物を見てみたいという「暗渠の誘惑」に勝てず、主人公は成長した後に、再び海に出ていく。面白いのは、最後の結末だ。主人公が怪物だと信じ、逃れ続けてきたものが、実は全く違うもので、気付いたときには時すでに遅く、主人公も怪物も老いさらばえていた。コロンブレとは何の象徴だろう。人間の運命であろうし、思い込みや迷信や弱さのことであろうし、幸福とはなにか、ということでもあろう。様々な解釈の余地があるのが、この短編の魅力だ。コロンブレ以外の「七階」や「アインシュタイン~」など、いずれも毒を含んだ秀才揃いである。

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紙の本

苦味の効いたコーヒーで一服、の短編集

2007/07/27 17:46

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 冷ややか、というか苦味が残る短編集である。表題作は他人の眼を気にして行動する人間、というものを一匹のイヌを上手く使って淡々と描いていく。天空から人間世界を見下ろす聖人を扱った話も幾つかあり、選び方かもしれないが宗教に対しての冷めた視線も感じられる。
 ロシアとアメリカの対立を描いた「最終兵器」や病院の患者の扱いを描いた「七階」などは、風刺漫画のコマのような感じもする。著者は絵も描いたと解説にあるが、そのせいかもしれない。

 どの作品も、読み終わってあまり楽しい、という気分にはならない。嫌な苦さではないが、ちょっときびしい。その中で、なにか暖かいものが残ったのは「天国からの脱落」である。これも聖人を扱った作品であるが、聖人はそれ以上の幸福を未来に望めない、という皮肉。そして地上の若者のつらくても熱い、未来のある姿に惹かれる聖人になにか共感を感じるのである。

 この翻訳者は、同じく光文社古典新訳文庫の「ロダーリ「ネコと共に去りぬ」」も訳しているが、ロダーリは軽いお茶菓子で一服、という感じの短編なら、こちらプッツァーティはビター・チョコか、ブラック・コーヒーでの一服、といったところであろうか。

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紙の本

唇に夢の跡

2009/07/14 23:06

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る

幻想小説、奇想小説、そういったものは、人間を想像力の限界に追い込む作用に価値があると思ってた。だけどこの短篇集で見るブッツァーティは、そんな世界の周縁部から中心に向けて読者をいざなうような、逆方向のベクトルを志向しているように見える。
表題作のように、例えば神や聖人といったガジェットを持ち込んでも、神秘や聖性の在処というよりはありきたりのお伽噺の枠組みの中で、道徳や正義、信仰などからは離れたところにいる人々の幸福を示唆する。そういうストレートすぎる作品の眩しさがもっとも特徴的に見えるが、シニカルな作品も、不思議な鮫の幻影に捕われる男の話「コロンブレ」、病院入院患者を襲う不条理「七階」、政治的なファンタジー「1980年の教訓」「秘密兵器」「アインシュタインとの約束」などがある。それらの幻想の先に狂気が待っていたり、あるいは狂気の果てに幻想に到達するといったこともなく、平凡な日常の延長にある恩寵、ちょっとした事故、毎週日曜に天使の姿を見るように、「この世の終わり」で突然空に現れる握りこぶしのように、それは訪れるのだ。
また「七階」では入院患者の病室が七階、六階、五階と不可避的な順番に降りていき、日常に潜む悪夢的なシンメトリ「グランドホテルの廊下」、質量(?)不変の法則の悪魔的な適用「呪われた背広」、心の中の無限合わせ鏡を一枚ずつ踏み越えていくような「驕らぬ心」など、幾何的な面白さを追求したものもあり、また「護送大隊襲撃」や「戦艦<死>」のように、大いなる死の影を荘厳に描いた作品もある。
そういう何でもありの茫洋さ加減は星新一にも似ている気がするが、時事的な設定を決して使わなかった星新一に比べると、日常にも世界にも介入しようとする意欲は満々に見えて、先鋭さでもあり、鷹揚さでもあり、ハイセンスではないかもしれないが朴訥な力強さにも感じられる。エスカレートしていく物語、奇跡や心理を解き明かしていく論理、死の恐怖などの持つ力を散りばめているが、それも結局は希望、信じる力といった平凡な属性を謳って、誰の心にも少しだけの熱をもたらしてくれる作家ではないだろうか。ひたすら凡俗に生きて、時にそれに苛立って卑怯になったり、意地を張ってしまったり、ヤケになって飲んだくれても、また朝になれば日が昇る、その時に小さな奇跡の記憶だけを残してくれるように。

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2007/06/29 00:56

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2007/05/24 23:29

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2007/09/05 18:06

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2008/05/14 14:03

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2008/10/05 19:38

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2008/09/15 00:00

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