紙の本
だまされた!
2020/03/01 17:12
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投稿者:ケロン - この投稿者のレビュー一覧を見る
こんなに心地よくだまされたのは久々で、「そうだったのね!」と謎が解けた時の爽快感がすごかったです。
こういう作品に出合えるのはとても幸せですね。
紙の本
表紙の意味がここにある
2016/04/16 16:40
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投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
『忘れられた花園』の作者による新作。
舞台はやはりというか、イギリスとオーストラリア。 女の子が船に乗っていく、とか、前作とかぶるモチーフも。
2011年、イギリスの国民的女優となっていたローレルだが、少女時代に男を刺し殺す場面を目撃。 事件そのものは正当防衛としておとがめなしだったが、母と父が何かを隠していることを、「見たことは他の家族にも誰にも言わず、秘密に」と言われたことがずっと気になっていた。 母・ドロシーが病に倒れ、死の淵が近いと感じられると尚更、ローレルはあの事件に隠された“秘密”を解き明かさなくては・・・と思う、という話。
物語は2011年と、ドロシーの青春時代である1941年とを行ったり来たりする。
1941年のロンドンは、あの<ロンドン大空襲>の年で、コニー・ウィリスの『ブラックアウト』&『オール・クリア』に描かれているのと同じ場所・時代だから、出てくる用語に見覚えがあるというか、ロンドン大空襲を追体験したかのような気持ちになった。
今回は前作のような<オーストラリア気質:結構大雑把?>な部分があまりなかったことにもびっくりした。 やはりロンドン大空襲はきっちり取材しないといけない素材だったり、それだけ資料が残っているということなのかもしれない。
物語としては“秘密”の正体は途中で予測できるものではあったけれど、登場人物への愛情にあふれる描写がこちらの感情移入を容易にし、もう最後の4節ぐらいはほろほろと涙がこぼれてしまうほど(電車で読んでいたあたしは大変狼狽した。 もうちょっとで読み終わるから、と最寄駅のホームのベンチでハンカチ片手に最後まで読んでしまった)。
ざっくりしたようにも読めるけど、実は計算し尽くされた構成(それ故にヒントがフェアに提示されており、“秘密”が予測できるのですが)。
そして最後にはとても美しくあたたかいエンディングが待っている。 だからこそ泣けてしまうのですけれどね。(2015年1月読了)
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下巻の後半は怒涛の解決編。
これまでに提示された謎がパズルのようにはまり込んで行く様子は気持ちがいい。
尤も純粋にパズル……というか、謎解きという意味ではさほど凝ったことはしておらず、ミステリを読み慣れた読者ならば、かなりの確率で終盤のストーリーは予測がつくのではないだろうか。
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50年前に母に起こった恐ろしい事件の真相を娘が調べていくのだが、最後は二転三転、思いもよらぬ結末に。娘の母に対する愛情が伝わり、清々しい読後感でした。久しぶりに良い外国作品に出会えました。
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面白かった! 色々あって上巻から時間があいてしまったが、難なく入り込み余韻いまだ冷めやらず。ヘンリー・ジェンキンズが暴力男なのはすぐわかったけど、最後のどんでん返しには空襲に遭うシーンまで気付かなかった。『さよならドビュッシー』読んでたのに(笑)。またしても名探偵になれなかったのは、筆者の語り口が上手すぎるから、と日記には書いておこう。
確かにレベッカっぽかったね。
p119 手足を光の速さで動かすんだ。
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こういうの大好きだ~。「真相」はなんなの?どんな「秘密」が明かされるの?とドキドキして読んでいきたい人は、まったくレビューを読まずに手に取るのがおすすめ。面白いよ~。
前作「忘れられた花園」と同じく、子どもの頃、外国の物語を息を詰めて読んだあのコーフンを思い出した。こういうのってなかなかないように思う。
途中で、おや?これはもしかしてアレかな?と見当がついたのだけれど、どこがどうつながるのかなかなかわからず、終盤にきて、なるほどねえと、作者の語りのうまさに納得。このワザはミステリで時々使われるけれど、ここでは無理矢理な感じがなくて、共感を誘う所が秀逸。
そしてそして、最後の一押しがすごく効いている。お話全体の色合いがサーッと明るんでいくようだ。セピア色の写真に写った人たちみんながしみじみと胸に迫る。良かったです。
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久しぶりに読み応えのある本。
上巻の後半あたりで、母親の「秘密」は想像がつきました。想像がついてしまうと、1941年ロンドン編を読むのがちょっとしんどかった(主にドリーに対する苛立ちで…)。『忘れられた花園』は上巻で挫折したので、今回も上巻挫折パターンを危惧(どちらもやりきれない悲しい未来が待ち受けている気配が濃厚)したものの、ジミーのいい人ぶりに救われました。もちろん、過去と現在から「秘密」の謎を解明していく作者の手法が非常に巧妙だったこともありますが。
ジミーはいい人すぎて、ドリーの特異気質(?)には最後まで気がつかなかったのでしょうね。もしあの後、共に人生を歩む未来があったとしても、振り回される人生になった気が…。
ともあれ、幼いローレルと初めて会った物語の最後のシーン。「秘密」に気が付いたジミーの姿がとても切ない。その後の人生が穏やかで幸せなものであったのがせめてもの救いです。
最後まで答えに確信がもてなかった疑問がひとつ。
ヘンリーは結局、誰だと思って会いに行ったのか、ということ。あの恨み言はどちらに対しても当てはまるような気がするので。まあ、新聞記事を見て会いに行ったのだろうから、顔、分かっているのでしょうけど。
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これは大当たり!
母ドリーの秘密とは?
過去と現在を行き来する展開。
じらされつつも真相へ少しずつ近づいていくこのドキドキヒヤヒヤ感がたまらない。
とある女性の人生を追いかけて過ごした濃密な時間。そして、その後の充実感と爽快感。
出会えたことを幸せに思う一冊。
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1961年の夏。少女だったローレルは母親が訪ねてきた男を殺してしまうところを目撃する。それは両親とローレル3人の秘密。
やがて時は流れ、女優になったローレルは母親の死に際してその秘密を探り始める。
母親は生まれた時から母親で、彼女に青春時代があったなどと思いもよらない人は大勢いるであろう。
だけれども、人間は誰しも生まれて来た時からずっと人生を歩んでいる。皆がその中に秘密を抱えて。
さて、ローレルの母親の秘密は?
真相は予想通り。だけどそんなことは瑣末なことで、そこに至るまでの道のりが実に読ませる。
『リヴァトン館』も『忘れられた花園』もそうだったけど、本当に豊かなキャラクタを描く作家だ。
最後の一章に溢れる悲しみと嬉しさが混じり合った空気が堪らなく素晴らしい。訳者のあとがきから伺えるラストシーンに対する作家の姿勢が見事に反映されている。
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こうなるといいなぁと思っていた結末に落ち着いてくれた。
ただ、読んでいる途中ではどうやってそこに行き着くのかが考え付かなかった。最後に納得。
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何か途中からこうなのかなって思ってたらそうだったって感じ。ちょっともの悲しい余韻があって、そこがまた良い。
あ~でも、ジミーは気の毒だなぁ。
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いやはや、来る、来るとわかっていても、思わず声をあげてしまったラストどんでん返し。切なくて暖かい。
最後の数ページ小さな章は必要ですか? ちょうど今頃の季節のように爽やかに描かれているけれど、わたしはもう胸がえぐられてしまって、気持ちを持っていきようがなく少し狼狽えて、理由を探して訳者のあとがきを何度も読み返しています。
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驚愕のラスト…って半分くらい読んだ時点で予測ついちゃうな。構成は見事だけど、丁寧すぎてアダになったかも。
ゴダードに比されるけど、そこまでの重厚さはない。「リオノーラの肖像」に及ばないと思うけど、あれを読んだころはこちらが若かったからかな?
でも、まあ爽やかで悪くはないです。
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面白かったです!
懸命に生きた人の思い、悲劇を悼み包み込むように、優しさが繰り返し揺れるような、切ない後味。
過去と現在、複数の人の視点で展開する物語。
お手の物の技ですが、上巻では焦らされて~時にイライラしかけることも‥
ここへ来て、怒涛の展開に。
老いた母の若い頃に何があったのか?
国民的女優となっている長女のローレルと学者になっている末っ子の弟ジェリーが協力し合い、過去を探っていきます。
登場人物は個性的でにぎやか。さまざまな思惑が飛び交います。
戦争中に記録が失われていたり、手がかりが尽きたかと思うと、思いがけないところから資料や証言が飛び出すのが面白い。
ネタバレになってしまうと、これから読む方の面白さが減るので具体的には書けませんが‥
(書いちゃ駄目ですよ、皆さん! 読む人もレビューは直前には読まないほうがいいと思うけど)
終盤は癒される展開になっていて、後味がよかったです。
歴史が好きで、年月がたつ話が好きな私には、ツボでした。
こういうタイプの小説、なんと分類したらいいんでしょうねえ。
ミステリ読みにも人気は出ると思いますが。
ロマンチックなところもあるけど、甘さは濃すぎない。
ドラマチックな話の好きな女性向け‥
とだけとも、言い切れないし。
面白い小説を探している人に☆
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過去と現在を交互に描くスタイルは『忘れられた花園』と同じ。過去パートと現在パートがそれぞれを補う形で、一枚ずつ秘密のベールをはがしていく。
メインとなるのは過去パート。戦時中のロンドンという設定ながら、幻想的な雰囲気がある。男女三人のドラマもお伽噺のようで、ロマンチック度が濃い。小公女的世界観は今作品にも顕著に表れている。過去パートは主人公が入れ替わった直後から俄然面白くなってくる。もうその頃には“秘密”の正体に気付いているので、どう収束させるのか、このドラマの終点はどこになるのかというポイントに絞って読んでいた。
サプライズはありがちだけど、よく練られているお話だと思う。冒頭に帰結させる繋げ方はスマートでさり気なくて◎。ローレルの存在が途中から薄くなってきたけど、ラストでキレイにはまったという感じ。ちょっとキレイすぎるけど、ノスタルジックな余韻を味わえるいいラストだと思う。