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青い城 みんなのレビュー

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一般書

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みんなのレビュー85件

みんなの評価4.3

評価内訳

85 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

モンゴメリの幻の名作の文庫化 愛を描いた心温まるハッピー・エンディングストーリー

2009/04/08 15:30

20人中、20人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:まざあぐうす - この投稿者のレビュー一覧を見る

 主人公のヴァランシー・スターリングは29歳になる独身女性。
 母親と従姉のスティックルズと3人で貧しくひっそりと暮らしている。住んでいる家も与えられた部屋も醜い。平均を下回る身長、美しくも醜くもない容姿に加え、子どもの頃から病弱だった。性格も内気で陰気と見なされ、母親や従姉をはじめとする親族に虐げられるように生きている。自分の服装や髪型を決めることから、図書館で本を借りること、医師の診療を受けることに至るまで生活の一切がままならい。世間からはオールド・ミスと見なされみじめな存在だ。
 ヴァランシーにとって、唯一の救いは、空想の中の“青い城”。
 それは、誰も知らない美しい国に聳え立つ城だ。松の茂った高い山にそびえ、小さな塔がいくつもあり、旗がひるがえり、青霞の中に美しく浮かんでいる。そこには、ありとあらゆる美しいもの、すばらしいものがあり、ヴァランシーは幸せに暮らしていた。“青い城”は、ヴァランシーが夜になったらとびこんでいける夢の世界であり、現実の窮屈な生活を乗り切っていくために幼い頃から築き上げてきた夢の住処だった。
 そんなヴァランシーが、ある日心臓病で余命一年と診断され、悔いのない人生を送ろうと決意したところから新たな物語が展開してゆく。 さて、ヴァランシーの決意とは、そして、ヴァランシーのとった行動とは…。

 本書は、『赤毛のアン』で一躍有名となったカナダの小説家ルーシー・モード・モンゴメリの1926年の作品である。何の取り柄もない主人公が自分の余命を知り、勇気ある決断と行動によって夢の世界だった“青い城”を現実の世界へと導く痛快なラブ・ストーリー、辛口のユーモアとともに展開される心温まるハッピー・エンディングストーリーだ。
 物語の展開上、周到な伏線が準備されているため、予定調和的な単純なハッピー・エンディングストーリーと見なされる可能性は否定できないが、愛のない人生の空しさを訴えるヴァランシーの言葉に着目したい。
 「生きてゆく上での激しい、美しい感情は、あたしをよけていってしまったのだわ。深い悲しみさえ感じたことはない。あたしは、心から誰かを愛したことがあるかしら?おかあさんを本当に愛しているかしら? いいえ、愛してはいない。それが恥ずべきことであっても、それは真実だわ、あたしはおかあさんを愛してはいないー愛したことなどなかった。もっとひどいことには、好きでもない。つまり、あたしは、愛というものを全然知らないということなのよ。あたしの生涯は空しかったーからっぽだわ。空虚というほど、恐ろしいことはないわ、恐ろしい!」と余命を知らされたヴァランシーが独り言で苦しそうにうめいている。
 愛のない人生の空しさを嘆いていたヴァランシーは、自らの勇気と決断によって愛を得ていく。ヴァランシーに託したモンゴメリの強い思いが感じられる。それは、愛することと自分を信じることと夢を持ち続けることの大切さではないだろうか。また、ヴァランシーが幼いころから築き上げてきた夢の世界の“青い城”は、モンゴメリの豊かな想像(創造)の世界とも重なるのではないだろうか。
 モンゴメリの自叙伝『険しい道』を読むと、2歳になる前に実母を病気で亡くし、母方の祖父母に引き取られて育った幼少時代にはじまり、若き日々の苦悩や作家としてデビューするまでの数えきれない挫折、そして、牧師夫人としての結婚生活も決して順風満帆ではなかったことを知らされる。モンゴメリ作品のユーモアは実人生の険しさの賜だろう。
 『険しい道』の日本語訳の「はしがき」に「わたしと同じように、うんざりするような人生という道程を、苦しみながらいまもなお歩き続けている人々を励ますために」自叙伝を書いたとモンゴメリが述べていることが紹介されているが、モンゴメリは『青い城』も同様の思いで書いたのではないかと思った。
 『モンゴメリ日記 愛、その光と影』の中で、モンゴメリの実人生における愛の光と影が浮き彫りにされているが、モンゴメリはアンシリーズに始まり、一貫して愛を書き続けた作家ではなかっただろうか。モンゴメリの愛への希求が読者を慰藉する。小説が読者を慰藉する文芸であることを『青い城』は100年近くの歳月を経て教えてくれているように思う。『青い城』をモンゴメリ作品の中の名作として評価するとともに幻の名作であった本書を見出し、このたびの文庫化まで漕ぎ着けた谷口由美子氏の翻訳の功績を称えたい。

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紙の本

死を見つめたことではじめて生きたヴァランシー

2010/07/11 20:55

12人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る

最近、回想モードである。

思い当たる理由はいろいろとあるのだが、書評が600本を越えたのをきっかけに、
書評仲間のwildflowerさんとmarekuroさんが、
過去の書評から何点か選んで、感想をフィードバックしてくれることがそれに拍車をかけた。

私自身の書評は、2003年11月3日から始まっていて、
本日10周年を迎えたbk1さんの歴史の中では、
意外と初期からお世話になっていたことになるのだが、
投稿数が増えたのは、ここ1、2年のことである。

思い出すのは、書評を書くことをまだ知らなかった時代に読んでいて、
夢中になっていたり、大切だったりする本たちにまで及ぶ。

これは当時夢中になった本の意味をもう一度今の自分で確認する作業のように思う。

そして、やっぱり本質は変わっていないんだと確認する。

そうやって確認しようと思えるのも、このように書きとめる場があるからだろう。

さて、この『青い城』は、高校時代に取りつかれるように読んだ1冊だ。

モンゴメリが大人のために書いた作品という言葉に惹かれてのことだったと思う。

本書については、すでにまざあぐうすさんが素晴らしい書評をお書きになっている。

内容要約、印象的なセリフ、モンゴメリがどんな思いで本書を書いたのかなど、
もう書き尽くしていると言っていい。

それでも、私がこれを書いているのは、こうやって過去を思い出し、
自分の本書に対する思いを書ける場があってよかったとお伝えしたいためである。

ヴァランシー・スターリングは、29歳のオールド・ミス。

彼女は、実家で一族の者たちを顔色を窺うように生きているような女性だった。

具合の悪かった心臓を診てもらいに医者に会いに行ったのだが、
なんとその時は、医者の息子が事故に遭ったと連絡があったところ。

彼はすっかり動転してしまっていて、ヴァランシーはちゃんと診てもらえない。

医者にすらきちんと相手にされないのだと落ち込むヴァランシーだったが、
その後衝撃の手紙が彼女のところに届く。

そこには、狭心症のために余命1年と書かれていたのだ。

だが、彼女は、ここで大きく変わるのだ。

  死を恐れていないといっても、それを無視するわけにはいかない。
  ヴァランシーは、死を恨んでいた。
  生きてきたという実感もないのに、もう死ななくてはならないとは、いかにも不公平だ。
  暗闇の時間がすぎていくにつれ、彼女の心の中には反抗の炎が燃えあがってきた。
  それは、彼女に未来がないからではなく、過去がなかったからだ。
  (中略)
  あたしは、いつも、ぱっとしない、取るに足らない者だった。
  そう言えば、こんなことを何かで読んだことがあるわ。
  女には、それで一生幸福だと感じる一時間がある、
  それは、見つけようと思えば見つけられるものだ。
  でも、あたしには見つけられなかった。
  もう、決して見つけられないんだわ。
  ああ、もしその一時間があたしのものになったら、いつ死んでもいい。

この燃え上がるような気持ちに強く強く共感する。

私は、決して、抑えつけられて生きてきたわけではないのだが、
生きたい、生きたいと思ってしまうのだ。

この思いは何なのだろう。

彼女は、家を出て、「がなりやアベル」と呼ばれる老人の家に住み込み、
アベルの娘で、胸の病で余命いくばくもなく、また、過去の心の傷により、
ほぼ人づきあいをしなくなっていたシシィの看病をするのだ。

彼女自身も死を意識しながら、同じく死に臨もうとするシシィを看病する。

ふたりは心を開いていき、そして、ヴァランシーはシシィを看取る。

彼女が幸せそうに死んでいく姿をヴァランシーは「なんと美しい!」と思う。

実家に住んでいる頃から、なぜか気になる存在だったバーニイ・スネイスに、
彼女は病のことを打ち明け、自ら結婚を申し込む。

なぜなら、彼女は気づいてしまったから。

  今や、ヴァランシーは自分がバーニイを愛していることをはっきりと知った。
  きのうまでは、彼女は自分だけのものだった。だが、今はもうこの男のものだ。
  しかし、彼が何をしたわけでもない―何を言ったわけでもない。
  彼女を女と見てくれもしない。だが、それはどうでもいいのだ。
  彼女は無条件に彼を愛しているのだ。彼女の中のものすべてを彼に捧げるのだ。
  もはや、この愛をおさえつけたり、否定したりすまい。
  ヴァランシーは自分があまりにも完全に彼のものだという思いがして、
  彼以外のことを考えること―彼のことを考えずして物事を考えること―すら
  不可能な気がしていた。

もし、自分の命があと1年しかないのだとしたら、いったい自分は何をするだろう。

いや、自分の命が1年しかないとして後悔しない生き方を自分は今しているの?

そう考えずにはいられない。

ヴァランシーに深く共感する点は、さらに2つある。

ひとつは、タイトルにもある「青い城」の存在だ。

現実がどんなに苦しくても、誰しも、自分だけの世界を持っている。
たとえ、呼び名は違っても。

そして、心の支えとして、本があったこと。

彼女は、ジョン・フォスターの本の影響を受け、
その本の言葉が、決断を促したり、
過去のしがらみに戻りそうになってしまったときに気づかせてくれたりする。

「世の中のほとんどすべての悪は、その根源に、
だれかが何かを恐れているという事実がある」や

「もしあなたがある人と、三十分間口をきかずに座っていられて、
その上なんの気まずさもないのなら、あなた方二人は友達になれる」など。

作中作家であるジョン・フォスターは、印象的な言葉を残している。

自分にとってちょっと意外だったのは、
本書の語り口がかなりの毒舌で辛口だったことだろうか。

私は毒の強いものはダメだと思っていたのだがそうでもなかったらしい。

身近なある友人に似ているこの語り口をにやりとしながら読了した次第だ。

その友人とモンゴメリはどこか似ているのかもしれないと思ったのだった。

自分の心の支えとしての自分だけの世界と本と本読み本語りを共にできる友だちの存在。

リアルはいろいろなことがあったし、これからもいろいろなことがある人生だけれども、
本当に必要なものはちゃんと求めてきたし、ここにあるんだと感謝したいと思った。

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紙の本

わくわくします

2021/09/22 23:25

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みみ - この投稿者のレビュー一覧を見る

退屈しないモンゴメリ。赤毛のアンの作者ですが、主人公はアンのような性格ではなく、人間観察力はあるがもう少し皮肉な雰囲気の漂う、いわゆる「人生あきらめた」感のある若い女性です。おもしろくて何度も読んでしまいました。

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何でも出来る

2019/11/24 20:30

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る

モンゴメリと言えば赤毛のアンしか知りませんでした。オールドミスでも、死ぬ気になれば何でも出来る!といった感じでしょうか。

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青い城

2019/04/19 14:49

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:apple2 - この投稿者のレビュー一覧を見る

代表作と言われる『赤毛のアン』よりも個人的にすきな本です。
自分だけの「青い城」には未だ憧れてしまいます、実は。

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さえない外観の女性が幸福になるストーリー

2015/08/28 20:31

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:おたま - この投稿者のレビュー一覧を見る

ヒロインのヴァランシー29才の退屈でつまらない女性できれいでもないと周囲から思われている。しかし、心臓の病気で1年の命だと医者に告げられる。ヴァランシーは周囲の顔色を窺って生きるのをやめ、自分の心に忠実に生きようと決心し、行動に移す。自分のほうから男性バーニイに結婚を申し込む。実はその男性は、著名な作家であり、億万長者の息子だった。最後にはお互いがお互いを愛していることがわかり、幸せな人生を送るであろうところで終わる。ヴァランシーのユーモアや切り返しが面白い。バーニイである作家ジョン・フォスターの自然の描写も美しい。思いっきり、カナダの自然に耽溺できる。

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2009/03/04 07:36

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2009/04/02 21:39

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2009/04/05 00:00

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2009/04/19 14:22

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2009/07/12 12:35

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2009/10/20 14:31

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2009/12/06 21:22

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2010/01/02 16:10

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2010/01/20 23:23

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