紙の本
絆・繋がりが蔓延するこの日本でもっと読まれるべき本
2015/01/04 01:06
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ほう - この投稿者のレビュー一覧を見る
縁を切る時の5つのポイント・人間関係への諦念・4章での愛する人との死別・終章の筆者の最後の文章が心に刺さる
紙の本
縁を切るのではなく、交友関係を選択する
2015/07/05 22:30
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
縁というものは果たして切れるものなのだろうか。縁には切れる縁と、切れない縁があると言われている。親子の縁を切るという言葉は時折聞くことがある。親が子を勘当することは、この縁を切ることになるのであろうか。
この場合は縁を切るといっても、単に個人の交わりを断つというほどの意味であろう。本来の親子の縁などは切れるものではないはずである。どこまで行っても死ぬまでは縁が切れることはないと思うのだが。
本書の著者、中川は不惑を超えたネットニュース編集者である。すでに書籍も数冊ものにしている。本書を読むと中川が経験した体験談がふんだんに書かれている。色々な人物との交友が描かれているのだが、実に多様な人がいるようだ。
また、これは業界の特徴なのかどうか分からないが、無責任で適当な連中も少なくない。人との付き合い方の基本を踏みにじって生きている人間。こういう人は早々に縁を切るべきだと中川は憤慨する。当然であろう。こういう人物は敬遠するに限る。こちらのストレスがたまってたまらない。
中川は、縁を切る人、縁を持ち続ける人を峻別して生きている。ただし、中川が言っているのは付き合う人と付き合わない人を区別するということであって、縁をそのように捉えている。一度会ってみて縁を得て付き合っていく。一度会って縁ができてもおかしくはないが、親子の縁、同窓生の縁、とは所詮異なると思うのだ。
一度会って縁を得たが、自分の生き方とは合わないので付き合いをやめるというのは、縁を切るというよりは、要は交友関係を断つ、すなわち絶交ということである。私の定義としては絶交であって、縁を切るとは言わない。
タイトルにあるとおり、縁の切り方と書かれているので、やはり絶交という意味である。親子や同窓生などの縁を切る方法を論じているわけではないのだ。サブタイトルにある絆、孤独は交友関係に関わる言葉である。親子関係に絆は無関係である。
中川はその縁とかかわる一つの要素として、金銭の貸借を例に挙げている。交友関係の縁は金銭の貸借の有無で変わってくるようである。交友関係に関して言えば、本書はなかなか興味深いのである。最後に孤独という問題を持ち出している。一人で過ごすことができるか否かである。自分にとって孤独とは何か、どういう状況を孤独と捉えるか。
老後は交友関係は限られてくるし、新たな交流を求める意欲も減退してくる。すると、その数も自ずと減ってくる。その場合に孤独とどう向き合うかは人によって異なる。一人で生きるということは出来ないとすれば、どのように交友関係を築いていくかを考えることはけっして無駄にはならない。
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2014/12/31読了。Kindle
先日初対面の人が小中の友人とまだ会ってる人に、冷たい人ですねと言われてはぁぁ??と思ったときのモヤモヤを思い出した。
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読書時間が3時間20分(読書日数 10日)
ネットニュースの編集者として活躍をされている筆者の「人の縁とはどういうものか」ということについて、かなりの切り口で書かれている。
流石というか、ネットの世界の裏側を、ちょっと斜めな切り口で書いてあったり、想像を超えた実体験をかなり織り交ぜていて、読んでいて飽きなかった。
私自身も「人とのつながりを求めないとダメなんだ」という凝り固まった考え方をしていたところがあったが、本書を読んで「それだけではダメだ」という気づきをもらった。
「社会人は家族と仕事関係者以外に重要な人間はいない」
これに尽きるんだということ。だからこそ、自分というものを大切にして、人の縁とつないだり切ったりしていく必要があるのだということがわかった。
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ネットニュース編集者41歳による人間関係の考察。題名からすると7、80の著名人が書いてそうだったので意外かつためになった。
自分のアメリカ高校時代、婚約者の自殺、友人への金の貸与(踏み倒され)などを赤裸々に綴り、本当に大事な家族、仕事仲間だけを守れれば、他の関係はこちらに理があり長期的なダメージがコントロールできるのであれば、バッサリ切れば良いと説く。
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絆が何より大事という風潮に多少違和感を感じていたので読んでみた。頷けるところもあったが、この著者のような仕事でないとできないのではないか。あとこの著者、面倒くさい性格のようだ。
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別に誰かと縁を切りたいわけではないんですが
読み始めに共感が多そうなので読んでみた。
例えば、SNS上の結束とか、共通の敵を見つけた時の人間の執拗なバッシングとか。
あれ、何の本読んでるんだっけ?って途中何度か思いますが
少し屈折した考え方を持つ著者の伝記本に感じました。
読了感としては小説でいうと何者を読んだ時と似てる。
人間ってこんなもんなんだよな、ていう。
そして最後にビートたけしの成る程という言葉があったので下記抜粋。
「2万人が災害で死んだ時、人の命は2万分の1ではなく、1人が死んだ事件が2万件あったってことなんだ。そして一個人にとっては他人が何万人死ぬことよりも、自分の子供や身内が1人死ぬことの方がずっと辛い。自分の大事な人が生きていれば、10万人死んでもいいと思ってしまうのが人間なんだ。」
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縁の切り方についてもさることながら、自分の自身を見つめるヒントになることが満載。婚約者との死別体験はあまりにもきょうれつであった。
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"著者はひねくれすぎな面もあるが、とかく世知辛い世の中を生き抜く処世術を提言している。
無理して、自分と会わない人と付き合うことがいいことなのかを問いかける。
ゼロサムの分岐点を著者なりに見極めている。爽快な瞬間でもある。
多くの人は、自分なりの良心の尺度で、人間関係を構築している。時には思い切って縁を切ってもいいんだよ。今、目の前にいる人が、自分にとってどれだけ大切な人物なのかを環境変化に応じて見極める必要があり、縁を切ると決めた場合は、それなりの行動に出ることなる。
それなりの行動がとれる人もいれば、できない人もいる。
著者の性格的な部分も大きいが、人との付き合い方を考えるきっかけを与えてくれた本。"
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縁の切り方 絆と孤独を考える(小学館新書)2014/12/6
重要な人間関係はその時々によって変わっていく
2015年11月22日記述
中川淳一郎氏の著作。
人間関係・・それもやっかいな人間との縁を切るにはという内容ではある。
ただあまり本のタイトルと関係の薄い話しが多めだったように思う。
救いなのはまだ読みやすかったことであろうか。
学校で習うような綺麗事は書いていない。
その点で評価できる。
分かり合えない者同士が分かり合えるはずがないという指摘はその通りだ。
だったら最初からTwitterなどで言いたい放題つぶやくなという結論になる。
ネットなどお知らせ専用にするしかない。
少々著者のさめた意見と実際の著者の行動が伴っていないように違和感を感じた。
知人に貸した金が返ってくるこないも参考にはなる。
なるけれどもそもそも論として金を貸すなと。
金貸す貸さないは一切無しにするで良いではないか。
色々とツッコミたい点もあった本書ではある。しかし参考になった項目を列挙すると
必要な人間関係の5階層
1、一緒に会社を作れるほど超深い関係の人。まさに同士。
2、仕事を無理にでも発注してくれるほど深い関係の人。
3、悩みを一晩かけて聞いてくれる優しい人。
4、飲みに一緒に行ってくれる気の合う人。
5、普段は会わないが、いざ、という時は便りになる人
「お前が窮地にいるのであれば・・」と言って仕事をなげうってでも助けてくれる人。
社会人は家族と仕事関係者以外に重要な人間はいない
重要な人間関係はその時々によって変わっていく
縁を切る時の5つのポイント
1、自分の方に圧倒的に理があり、相手に非がある状態であることを確認できる。
2、その人と縁を切ったとしても、1の状態であるが故に自分の評判は下がらないことが見込まれる
3、その人との縁が切れても生活が困らないことが確信できる。
4、その人との縁が切れることで、ストレスが軽減される。
5、その人のヒドさを認識している知人が存在する。
人間は多種多様な考えを持っている。
その考えを他人が変えることは出来ない。
だから他人には期待しない。
他人を変えるよりも自分が変わることの方が圧倒的に簡単なので、自分を変えて環境に適応させた方が人生はラクである。
アメリカは自由な国で、頑張る個人を評価すると言われる。
しかし現実的に田舎の保守的な地域ではそんな空気は滅多に見られない。
日本人が言う「アメリカでは・・・」は本当は「シリコンバレーでは」「NYでは」である。
著者がアメリカにいた時代1987年10月(14歳)~1992年(18歳)、
彼女が自殺してしまった話しなどかなり衝撃的な体験も書かれている。
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「縁の切り方」ではなくて、「縁を切る理由」という趣。
著者の諦め具合や、絆とか感動話が嫌い、というところは理解できる、気がする。何が好きかより、何が嫌いか、というほうが意気投合できたりもする。
さて、縁を切っていく相手が、要するに自分に利さない場合はどんどん切れ、ということである。相手は変わらないから自分が変わる、というその変わり方が、縁を切る、という選択なのだ。
自分の変え方として、我慢する人、相手のいいところを見つけようとする人、いろいろだろう。僕は著者のように明確に縁を切ったことは(ほんの少ししか)ないが、縁を切るという自分の変え方も、なかなかエネルギーがいる。
前半は、まあいつもの調子だな〜、なんて思っていたのだけれど、後半にはとても衝撃的な縁の切れ方が2人分登場する。婚約者の自殺と、それにまつわる最も大事な友人との縁切り。これは、かんたんに癒えない切れ方だと思う。エネルギーがいる、どころではない。
かねてから、この著者には厭世的なものを感じていた。本書でも紹介される自堕落な生活を見ると、厭世観も含めて親近感さえ覚えたのだけど、実はそういう自堕落さからくるものではなくて、深い絶望からくるものなのかもしれない。だからもう、縁なんかバシバシ切れてしまう。
なんだか可哀相な感じだよ。読書感想としての可哀想であって、大きなお世話でも感傷でもないけれど…。