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ある雨の日「Yuregi Detective Office」の表札がある部屋の前で、女の人が一人で煙草を吸っていた。「あの、もしかしてここの事務所の方ですか」「そうよ」「探偵さん…ということですか?」「そうなるわね」「すごいですねえ。あの。探偵さんってことは、推理とか、するんですか?」「まあね。あなた、もしかして最近、新しく靴を買ったんじゃない?」史上最短、デビュー2作目で今年度本格ミステリ大賞受賞。天才モリカワによる前代未聞の名探偵、登場!春夏秋冬、そしてまた春―雨女探偵が出会う5つの事件!
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「雨女探偵」 「てるてる坊主」 「雨天決行」 「雪女探偵」 「狐の嫁入り」
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タイトルからして雨だらけである。なぜなら女探偵・揺木茶々子(ゆれぎちゃちゃこ)が雨女だから。そしてこの物語の主人公であり、大学に合格し、同じマンションに探偵事務所があるという興味から部屋を決めた野崎圭人は、偶然というか当然というか、成り行きで揺木探偵の助手を務めることになる。出会いの時から揺木の一瞬の目のつけどころが鋭く、野崎ともどもわたしも先が愉しみになる。雨女探偵なので、雨が降らないと事件を解決に導く推理が成り立たないという弱点もあるが、そもそも雨の日しか活動していないようなものなので、そこは深く突っ込まなくてもいいのかもしれない。いまひとつとらえどころのない揺木のキャラクター隣幸助手の野崎という適当なコンビがなかなか魅力的な一冊である。続編もぜひ読みたい。
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20141212
表紙のイメージとなんだか違う…みたいな。
話は不可なく面白く読めた。
格別にこれー!というのはなかったけど、退屈しないので、のめり込む必要のないこのタッチは読みやすかった。
最後の狐の嫁入りが一番よかったな。
春夏秋冬春、という流れ。
雨女探偵
てるてる坊主
雨天決行
雪女探偵
狐の嫁入り
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図書館って利用券なくても借りられるのでは?そもそも「利用券」じゃなくて「利用証」?
と気になって調べてみると、どうやら大学図書館では「利用証」というらしい。知らなかった。
そして著者の出身大学の図書室の貸出冊数の上限は5冊。おお!
なるほどきっと大学図書館は利用証がないと借りられないのだな。
そうすると、著者は公立図書館を使ったことがない、もしくは使っていない、という推理が成り立つかしら。
はあ、利用券忘れたら借りられん公立図書館があるのかも…うーん、どうでもいい。ヒマか。
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外に出れば雨が降る女探偵と同じアパートに住む男子大学生の短編集。
事件現場では雨が降っていたり雨にまつわるものだったりその状況から探偵が事件の真相をつきとめるもの。
雨を主軸に各物語を展開させる設定に面白みを感じる反面、出てくる謎に関して読者が共感できるかぎりぎりのライン。なんでこの人達はこんなことに謎を感じてこだわるんだろうと思ってしまったらなかなかいい評価はくだせない。
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「なぜなら、雨が降ったから。」
大学入学後、一人暮らし用の新居を決めた野崎。下には探偵、揺木茶々子が住んでいたー
彼女の推理は鋭いが、かなりの雨女という特徴をもつ。また、その雨のおかげで犯人が仕掛けたトリックが暴かれることも。
揺木探偵は20代半ば。最近、探偵役の女性が年上&恋愛関係にならない年下の主人公ーの作品が多い。流行り?
雨が必ず降るというと、死神の精度を思い出してしまうのだけどね。
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【収録作品】第一話 「雨女探偵」/第二話 「てるてる坊主」/第三話 「雨天決行」/第四話 「雪女探偵」/第五話 「狐の嫁入り」
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野崎くんの日常を見抜くところと雪女探偵の章は面白かったが、それ以外は可もなく不可もなくといった感じ。雨女探偵の設定は好きなので、上手いこと完成させて欲しかった。
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雨女で探偵の揺木茶々子が的確な推理を展開する物語だが、同じアパートに住む野崎圭人のからみか面白かった.「雨天決行」で連続放火事件現場に落ちていた口紅棒の意味を的確に推理する過程が良い.その他の4篇も、推理の展開が楽しめる.
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森川作品を立て続けに買ってしまった。
買いすぎただけでなく、買いかぶり過ぎたかもしれない…
キャラで押すミステリなはずで、押しも弱くはないが、ミステリとの互換性がそこまで高くないように感じた。
少し無理している感が否めない。
面白くないわけではないが、『キャットフード』シリーズくらいの改心の出来を求める。
3-
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「なぜなら、雨が降ったから」
「ま、詩的にいうなら、宇宙のしわざね。私が探偵するときに雨が降るんじゃない。雨が降るときに私が探偵するんでもない。宇宙が雨を降らし、同時に、私に探偵させるのよ。突き詰めると、この世の中に許される主語はただ一つ、宇宙だけ。お分かり?」
「…これもまた、宇宙のしわざなの。宇宙が一つの大きな主語となり、何かをどうかさせる。そして、別の何かをどうかさせる。結果、人が死ぬこともあるわ」
「原因が同時に結果であり、結果が同時に原因。因果関係ではなく包括関係でもなく、相関関係ね。」
「たとえば、イコールのキーというものがあるわね、野崎君。電卓で計算をするのなら、あのキーを押すのは結果を導くための手続きになるんだけど、本当は違う。なぜなら、イコールはそもそも、方程式の中枢だからよ。方程式の左辺と右辺は、この世界に同時に現れて、同時に消える。どうかな、分かるかな?」
「それにしても、本当、子供は頭が柔らかいですね ー ぼくにはあんな方法、思いつきませんよ」
「そうね。それに比べて、『子供は頭が柔らかいですね』というステレオタイプないい回しは、いかにも、頭カチコチって感じがするわね。どうかしら」
「…雲から水滴が落ちるとき、人々は、雨だ雨だと騒ぐ。しかし水滴を落としている雲は、人々がうれしくて騒いでいるのか、悲しくて騒いでいるのか、分からないの。同じように人々は、水滴を落とすことが、雲にとってうれしいことなのか悲しいことなのか、どうやっても、分からないのね」
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《なぜなら、天才モリカワが書いたから》
すべての事件で雨が降っている。
もちろん、解決するのは探偵の仕事だ。
彼女は天を指し言う。
「なぜなら、雨が降ったから」
このセリフがすごい。
ミステリだったら、犯人の失言とか、失策とか、アリバイとか、暗号とか。
とにかくいろいろなことから事件の解決を試みる探偵がすべて「雨が降った」ことを背景に論理を紡ぎ真実を明らかにしていく。
「なんでわざわざ…」とか思ったり、結局探偵(一部助手)の推量で真実はどうだったのかと思ったりする部分もあったけど、そこらへんは死人に口無し、真実は誰にもわからない、ということで。
これから雨の日には不思議な謎を探してしまいそうになりそう、そんな一冊。
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大学入学のため一人暮らしを始めた野崎は同じ下宿先で探偵事務所を開く、揺木茶々子と出会う。
彼女と出会うときはいつも雨天。
彼女は雨女だったのだ。
いつの間にか助手となった野崎。
彼らの前に今日も雨の中、事件がおきる。
真実はどうなの?というモヤモヤがダメで、しばらく放置してしまった。
雨が降ったことで事件を解決する糸口が現れるのは面白いんだけど。
今日は最後までいっきに読む。
「なぜなら、雨が降ったから」
新幹線も止まるような大雨だったね。
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大学生の野崎と、同じアパートに住み事務所も構える揺木探偵が織りなす連作短編集。20代半ば(のようにみえる)の揺木探偵は雨女という設定なので、作中はほとんど雨模様。そしてどの事件でも雨が一役はたすことになります。陰惨な事件もあるのですが、筆致が軽やかなので、読んでいて暗い気分になりません。4つ目に収録されている『雪女探偵』が一番好きかも。