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本書の白眉は、あとがきのさらに後ろに載っている角田光代との対談。
「書くことと読むことと生きることは不可分だ」という青臭くカビ臭い文学観が不器用に語られる。もっとスマートなテクスト論が好きな私が、こういうベタな文学論は嫌いな私が、思わず胸を熱くしてしまった。
わずか16ページのメインディッシュを引き立たせるために本編が用意されたと言ってもいい。もっとも、本編があるからこそ対談が光り輝く、というのもまた真実。
著者は、略歴によれば「島田雅彦、よしもとばなな、小川洋子、角田光代のデビューに立ち会う。新人作家の発掘、育成には定評がある。」という根本昌夫。うん、好きな作家ばかり。なるほど、こういう小説観/文学観/物語観なのか。暖かく厳しい。
小川洋子や村上春樹などを取り上げた作家論も面白い。一冊で何度もおいしい本でした。
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冲方丁のライトノベルの書き方講座
http://booklog.jp/users/murasakiasano/archives/1/4796688080
に続いて、この本を読んでいます。
『ライトノベルの書き方』が、作り手が内側から描いているのに対して、
この本は、外側から描いています。
内が偉くて、外はそうでない、というのではなくて、
両者とも、対象に誠実であるという点では、変わりありません。
両方を読むと、新鮮です。
(2013年10月11日)
読み終えました。
「小説を書くことの魅力」の部分、魅力的です。
(2013年10月28日)
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「小説家というのは、社会への適応能力がありながら、その実きわめて感受性が強く、内面に葛藤を抱えながらも社会生活に努めて適応している人たちだということをいっておきました。読者の共感を呼ぶ作品が書けるのも、その葛藤ゆえなのでしょう」 ー 44ページ
どの仕事においても、その人の精神的な需要みたいなのがないと続けることって難しいなと思っていて、特に創作物においてそれは顕著に感じる。葛藤があるから書かなければいけないみたいな精神は、やはりなるほどなかなか頑強だ。僕は基本的にあたまゆるふわな感じの人間でストレスを避けたがる傾向にあるため、あまりそのへんで実りがないのかもしれないなと思わされた。まあ下手なりにやるんですけどね。
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小説教室を開き、新人作家の発掘・育成に定評があるだけあって、小説家指南者にとって説得力がある指南書となっている。
また、小説を楽しむためにも、読み方・解釈も深く参考となる点が多い。
添削の例も実践的で面白く読める。
小説を読みたくなり、書きたくさせてくれる本だといえる。
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うひゃー。おもしろかった!私がコラムを書くとき、インタビューを書くとき、大事にしていることと同じだった。私はせっかちで結論を急いでいるから、いわゆるところの小説はまだ書けないなあと思う。今はね。しばらくたったらまた開きたい。
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小説を書くことの面白さと魅力を詰め込んだ、約250ページ。
書くことを始めている方にも、始めようとしている方にもお勧め。
実在の作品を引用し、そこに組み込まれた仕組みを解説しているので大変勉強になる。
小説のためにあったと思えば、これまでの人生は無駄ではない。
そして、小説修行もこれからの人生の無駄にはならないと語る。
私はかつて漫画家を目指したが、改めて物語を紡ぎ出したいと思える様になった。
小説家以外でも、夢や目標を持っている方には良い心構えのヒントを貰える一冊。
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ざっくり読みました。うーん、私の小説は理に勝ちすぎているのかなー。そう言うのは評論かエッセイで書けと言うことなのか。トルストイやメルヴィル読んでるとどうしても理屈っぽくなってしまうような…。
…まぁいいや、今書いているのは賞に応募できない二次創作だし(笑)趣味なら好きに書いてもいいよね。
とはいえ、改稿の参考にしようかな、と思った次第。
名作批評は「博士の愛した数式」以外は読んでいない作品だったので、読んでからまた読もうと思います。
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元「海燕」編集長の根本昌夫氏による小説指南書。多数の作家を見い出し育ててきた著者ならではの視点と、小説に対する愛ある視線が印象的である。もちろん着想やレトリックにも触れているが、結局のところ書ける人は書けるし書けない人は書けない。たくさんのよい小説を読み、伝えたいことを物語という手段を通して表現できるか、そこに尽きると思う。
著者自身が元編集者であり現小説教室主催者であり、村上春樹氏『海辺のカフカ』や綿矢りさ氏『蹴りたい背中』の読解は非常に興味深い。編集者や読者が作品へどういう視点で触れるのか、作家の優れた文章とはどれで何が優れているのか、小説的フィルターを通した教室生徒のビフォーアフターなど、「小説ってそもそもなんだっけ?」と改めて考え一段二段深く小説を楽しめるようになる本である。
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ちょっと気張りすぎの志望者には丁度いい本なんじゃないかな。日々教室でレクチャーしている人だけあって躓く志望者のポイントを押さえて書かれてあると思う。肩の力が抜けて楽しく書こうかなという気持ちになれる。
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「ゴロウデラックス」で紹介されていたので読んでみました。
作者の小説教室で、今年度の芥川賞受賞作家2名が学んでいたという事実はやはり説得力があります。
とはいえ、紹介される内容はあくまでもサワリ程度です、もっと知りたい方は小説教室に通ってください、というPRメッセージを感じたのは私の思い過ごしでしょうか?
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琉球大学附属図書館OPAC
http://opac.lib.u-ryukyu.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB13244745
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<感想>
よくある精神論の本かと思ったが、編集の現場を経験した人ならではの切り口が新鮮だった。「葛藤」という言葉は良く聞くが、それによってドラマが始まる理由は理解できていなかった。本書の「誰もがそこで初めてものごとを深々と考えるから」という解釈は個人的に腹落ちするものであった。
小説とは「新しい自分になろうとする」試みを描くことなのだ。
<アンダーライン>
・小説は「内面のノンフィクション」
・「人間には愛が必要です」と言葉で言われるよりも、小説を読んで「ああ、人間には愛が必要だなあ、愛ってやっぱり大切だなあ」と感じるほうが、心にしみて、いつまでも残るのではないでしょうか
・人生の中で特にどんなことがテーマにしやすいかというと、「分岐点」や「節目」「転回点=ターニングポイント」です。言い換えると、心理学の世界で「発達的危機」「状況的危機」と呼ばれていることです。
・「発達的危機」とは、思春期、入学、就職…
・「状況的危機」とは、社会的、偶発的な要因によって生じる危機で、予測することはことはほとんど不可能です。病気、事故、自然災害、戦争、倒産、喪失、離別、転居、異文化生活、転職、死ぬなどがそうで、自分個人ではどうしようもなことが多い
★こうした「分岐点」「節目」「転回点=ターニング・ポイント」が、なぜ小説のテーマになりうるかというと、誰もがそこで初めてものごとを深々と考えるからです。わが身に降りかかってきた状況に、今まで通用してきたやり方や考え方ではとうてい太刀打ちできないからです。
そうなると人は自分を変えざるを得なくなります。これまでのものの見方、考え方を壊し、新しい自分になろうとするのです。その際にもがき苦しむことや、次第に見えてくる真実が小説になるのです。
・「希望を信じている」のではなく、「信じたいことを書けばいいんだ」
・小説を書くことは単なる回想ではなく、過去のある一点から生きな直すことだ
★批評家だったら三行ぐらいで片付けることを、六〇〇枚かけて、それこそ小説の中の主人公の言葉として表現する。
・小説家が考えることというのは、おそらく一つのことでいいと思うんです。それをゆっくりゆっくり、答えが出るか出ないかはわからないけれど、ゆっくり書き続けるというのが小説家だと思うんです。
・すぐに結論を出す人は批評家になったほうがいい
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自身の小説講座から、数々の新人賞や芥川賞受賞者を輩出した、文芸雑誌の元編集長による小説の書き方指南書。小説とは何かという基本から、自分にしか書けない小説の書き方まで、すぐ実践できるような工夫も盛り込んで説明します。また、良い小説を書くためには「読む」ことも重要だと、有名作品を取り上げ、その読み解き方も解説。これから小説を書いてみたい人におすすめの一冊。