紙の本
地政学の観点からリアルな現代を読み解く
2016/02/03 09:30
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ZATO - この投稿者のレビュー一覧を見る
米国人の書いた本特有の取っ付き難さがあり、読み疲れそうになる部分もありますが、地政学の観点に従って、現代世界の状況を見事に読み解いてくれている本だと思います。また、マッキンダー等の地政学の古典からその後の展開までもわかりやすく解説してくれています。現代世界の現状や行方に関心を持つ人には、必読書といって良い内容だと思います。
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モーゲンソーは地政学を、地理的要因を絶対的原理に仕立て上げる似非科学と呼んでた。
ナチスが利用していたからだろう。そしてモーゲンソーはナチスの迫害から逃れたユダヤ人だからそう言っていたのだsろう。
ドイツは20世紀半ばまでロシアよりさらに強くチリを意識しいてたい。
ロシアで地政学が資本主義軍事国主義の手段として叩かれていた時代は終わった、ロシアでは学問分野として地政学が復権した。
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これでも、政治経済学部卒業なので、政治学は普通の人よりも詳しい。
そして地理については、姉の影響で小学校時代から地図を見る事が好きだった。
その両方を含む地政学となると、自分が読むべき本であると思って読んでみたが、正直読むのが大変だった。
これを読むと、色々な技術が発達しても地域の特性(山岳地帯、砂漠など)により、政治が左右されるのは以前と変わりないと言う事がかなり難しい文章で多種の例を用いながら書かれている。
それでも何とか読み進めてみると、ランチェスターの法則にある商圏の話を思い出した。
そう気が着いた時、地政学と言う観点で考えると難しいがマーケティングの商圏と言う視点で考えると分かり易と思った。
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積読書、挫折本にならないように、最後まで一応、ざっと目を通した。なかなかの力作であった。
アメリカが地政学的(地理的?)にも恵まれた上で、現在の地位を築いていること、これと対照的に、地政学的に条件の悪い地域は、それなりの発展しかできていないことは、なんとなく理解できた気がする。世界史においては、地政学的要因も少なからず影響するようだ。
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カプランは、ニューヨーク出身のユダヤ系。
現在、テキサス州に本拠地を置くストラトフォー(ストラテジック・フォーカスティング)という世界的なインテリジェンス企業の地政学チーフアナリスト。
このストラトフォーは「影のCIA」と呼ばれてるんだって。
カプランは、リアリストだ。
「
20世紀中ごろ、ハンス・J・モーゲンソーがシカゴ大学の政治学部で教えていた頃・・・・・モーゲンソーが現代における現実主義を定義したのに対し、マクニールは世界史における、ホジソンはイスラム史における現実主義を、それぞれ膨大な著作を通して定義した。彼らの研究では常に地理が参照された。
p.64
モーゲンソーの世界観が、冷戦初期の張り詰めた時代に危険を警告しているのに対し、マクニールの世界観は、もう少し後の安定期に示されたもので、希望を告げている。
p.73
中国を例にとってみると、毛沢東は大きな犠牲を払って、中国を近代国家として統一した。中国は今も経済力と軍事力を急速に拡大し、モーゲンソーの予想をはるかに超える規模でユーラシアのチェス盤を埋めつつある。
p.74
モーゲンソーは地政学を「地理的要因を絶対的原理に仕立て上げるニセ科学」と呼んだ。
p.85
モーゲンソーはマッキンダーに厳しすぎるのかもしれない。
p.86
ナチスの地政学者ハウスホーファーは、マッキンダーの熱心な賛美者だった。
p.108
ブローデルは歴史研究に自然と言う視点を取り入れ、それによって歴史学を計り知れないほど豊かなものにするとともに、地理が学術界において本来占めていた地位を回復した。
p.160
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交通網や情報通信の発達で、「フラット化した」と言われている21世紀の世界。
しかし、国と国との対立は無くなることがなく、現在も世界各地で戦争・内戦が起こっています。
この本は、「人間の活動は、地理およびその波及産物である歴史・文化に、深く影響(制約)を受けている」と主張しています。
前半部分では、これまでに展開されてきた、地政学の主要な学説を説明しています。
中盤以降は、21世紀初頭の現在、ヨーロッパ、ロシア、中国、インド、中東等々世界各地で起こっている出来事を、前述の地政学論を切り口に解説し、今後の展望についても言及しています。
自分自身、地理・地政学の視点で、世界規模の動きを論じている本を読んだのは本書が初めてでした。
もちろん、「持論にあてはめる」という部分はあるかとは思います。
しかし地政学的な視点で世界の動きを見ていくと、これまで「何のことやら?」と感じていたことを、理解できるようになるのだなと、素直に感銘を受けました。
特に、「中東地域ではなぜ紛争が絶えないのか」については、今後ニュース等で見聞きした時に、本書に書かれていることが自分の理解の基礎となるかと思います。
著者はアメリカ人ということもあり、「アメリカは今後、どうしていくべきか」という視点で書かれています。
日本については、「アメリカの安定した同盟国」という視点での記述にとどまっており、日本人読者にはその点では、物足りなさを感じるかもしれません。
しかし、日本に(地理的な)関連の深い、中国、ロシア、インドについての解説は、日本の今後を考える上でも、参考にすべき点が多い内容だと思います。
読んでいて痛感したのは、「自分が場所を知っている国名は限られているなあ」ということ。
途中から、世界地図を広げながら、読み進めました。
現在世界で起こっていることを理解する上でも、今後の世界情勢を見据える上でも、読んでおくべき一冊、だと思います。
『塩の世界史(下)』マーク・カーランスキー
https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/412205950X
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この本も、タイトルで損をしている。中身はまっとうなことを言ってるのに、影のCIAというような煽動的なタイトルを付けているせいで、謀略本の一種と敬遠されるのではないか?
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国際ジャーナリストから、米政権ブレーンを歴任した著者による、地政学を主軸に置いた国際関係論。多くの文献により、世界の地域の地理と歴史を紐解き、それぞれの文明がいかに地政学に基づき反映してきたかを説明し、現在もその影響が大きいことを論じている。米政権の中枢にいただけあって、論理展開は理解しやすい。面白く読めた。
「どんな独裁政権も本質的に不安定だということ、また今の状態は、永遠に続くように思われてもつかの間でしかないということ。唯一永続的なのは、地図上に占める位置だけだ」p18
「ドイツ再統一が実現したことを考えれば、統一朝鮮の誕生に備えるか、少なくとも想定しておいたほうがいい」p19
「単なる経済的・文化的な発達段階でしかないグローバリゼーションが、歴史と国際安全保障体制の道徳方向性になるという思い込みを、われわれは突如として持つようになった」p26
「ジェノサイドを止めるという目的において、軍事力の行使は最後の手段ではない。それは最初の手段なのだ」p39
「出口戦略の原則は、戦争の本質を根本的に誤解しており、より一般的には歴史作用の本質を誤解している。この原則は、用心という御旗を掲げて、人間社会の偶然性を否定するものだ。ものごとがどのような終わりを迎えるかは、あらかじめ知りようがないのだ」p39
「ルワンダでは、1994年の大虐殺で100万人のツチ族が命を落とした。もし西側諸国が殺戮を止めるために介入していたなら、たとえ軍事的泥沼に陥ったとしても、あの惨事よりましな結果に終わっていたはずだ」p39
「(モーゲンソー)民主主義国家は大衆感情に配慮する必要があり、そのせいで外交政策それ自体の合理性が損なわれる」p49
「(ランドルフ)力には力をもって対抗しなければならない。したがって現実主義者は、国際機関だけによって平和を達成できるとは考えない」p50
「現実主義者は自由より秩序を重んじる。彼らが自由を重視するのは、秩序が確立されたあとだ」p51
「中国は、世界の自由を脅かす黄禍(イエローペリル)になるかもしれない。なぜなら中国は巨大な大陸の資源に加えて、海にアクセスできる出入り口をもっているからだ。これは、ユーラシアの中核地帯を占めるロシアには得られない強みである」p218
「中国は現状維持勢力ではない。なぜなら中国は、世界人口の約1/5を占める国民の生活水準向上を図るために、エネルギー、金属、戦略的鉱物を確保する必要があり、そのために海外進出せざるを得ないからだ」p229
「(中国に対し)ロシアが懸念するのは、モンゴルの場合と同様、軍隊による侵略や正式な併合ではなく、中国の移住者と企業によってなし崩し的に地域を乗っ取られることなのだ」p233
「1億5400万人のイスラム教徒人口を抱えるインドは、インドネシアとパキスタンに次ぐ、世界第三位のイスラム人口国である」p277
「アフガニスタンが安定し、適度に穏健化すれば、中央アジア南部だけでなく、ユーラシア全体の真の中心地となるだろう」p285
「オスマン帝国が1918年に西側連合国に敗れるまでの約850年間、トルコ人はイスラム地域を主導していた。アラブ人がイスラム文明を主導するようになったのは、ここ一世紀のことでしかない」p338
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【由来】
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【期待したもの】
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【要約】
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【ノート】
・何とか読了したけど、要再読
【目次】
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・「たとえ世界が滅びようとも正義は行われるべきだと、個人はいうかもしれない。しかし国家は、指導者の名でそう宣言することを許されない」国家は個人よりもずっと狡猾でなくてはならない
・ヒズボラはベイルート政府をいつでも望むときに転覆させることができるが、あえてそうしない。国家は特定の原則にしたがわねばならず、そのため狙われやすくなる。「国家は重荷である」そのため準国家集団は、「統治する責任を負わずに、権力だけを求めるのだ」
・オスマン帝国のただ一人無敗の将軍ムスタファ・ケマル・アタテュルクは、帝国がバルカン半島と中東を失ったあと、アナトリアに近代国家を樹立した
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茂木誠氏の推薦コメント。
「著者は米国人の国際ジャーナリストで民間情報機関の分析官。古典地政学をベースに、21世紀初頭の国際情勢を概観する名著」
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ドイツ再統一が実現したことを考えれば、統一朝鮮の誕生に備えるか、少なくとも想定しておいた方がいいだろう。文化と地理の力がすべてを圧倒する日が必ずやってくる。自然な境界地帯と一致しない人為的な国境は、とくに脆弱なのだ。
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国際情勢を、地理と歴史から読み解く。
地理と歴史という、永続的なものを基にした議論であるから、ウクライナ戦争やイスラエル・ハマス戦争などで時代が大きく動いた後の今も、通用する内容となっている。