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みんなのレビュー8件

みんなの評価4.3

評価内訳

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  • 星 1 (0件)
8 件中 1 件~ 8 件を表示

紙の本

破壊の後の世界

2020/05/15 00:30

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る

オーストリアは第一次世界大戦で酷い目にあった。その次も酷かったが、この作者はその前に死んでいる。大戦前の栄華と没落について著者は「ラデツキー行進曲」で描いたが、本当に希望のない戦後の人々のことも的確に観察していた。
「蜘蛛の巣」なにこれ怖い、のやつ。主人公は軍を退いて不遇を嘆いていたところを政治結社に目をつけられるのだが、そしたら金と女に汚い、嘘と裏切りだらけ、陰謀を巡らせ、犯罪も犯す、とにかく私欲のためには手段を選ばない。そして反共や差別主義を煽る。今で言えばサイコパスだが、実際にそういう人間がいるとはなかなか気づかないものらしい。本当に当時こんな人間がいたのかと言えば、確かにそうとでも考えないとこの時代のファシズムの蔓延は説明できないのではないか。その結末、つまり彼らの勝利を作者は見ていないわけだが。
「四月、ある愛の物語」ある小さな町での純愛物語、時代の閉塞感の中で行き詰った男と女がそっと寄り添うように見えて、この男はその閉塞感から一人脱出してしまう。
「ファルメライヤー駅長」これも戦争の混乱の中で、美女をものにしてしまう男の話。だがまさかと思った彼女の夫が現れた時に、彼はどうするのか。
「皇帝の胸像」帝国崩壊後には、民族主義こそが正義とされ、帝国は悪玉呼ばわりされたのだが、そんな単純な話だろうかと言いたいところ、過去への郷愁のように語っている。しかし現実はそんな異論すら許さない、専制的体制と変わらない、いや尤もらしい大義名分を掲げている分だけタチが悪いかもしれない。
「聖なる酔っ払いの伝説」ある種イノセントな人物が、わらしべ長者のような幸運の道を辿るのだが、読者はカタルシスを得られない。戦後の現実はそんなに甘いものではないらしい。
純粋な情熱の持ち主でも、真摯な生き方をしていても、この時代には皆もう一つの虚無的な顔を持っている。人生のターニングポイントになるような場面で、筋を通すでも、自我を通すでもなく、逃亡を選んでしまうような虚無だ。その虚無感ゆえの無節操というところで、ファシストも純真な勤労青年も実は繋がっていたのではないか。一人でひっそりと破滅するか、多くの人を巻き込んで暴走するかは、小さな違いなのだ。もしかするとこの時代のこの地域でしかわからない人間の心情なのかもしれないが、ちょっとした条件で誰でもそうなりうるということだ。戦争に負けたせいなのかもしれないが、今まで自分の所属していた体制が破壊され、価値観が否定され、積み上げてきた人生が無に帰する、信じていた人々から裏切られる、そんな経験の果てには、それまでと同じように生きているように見えても、中身はもう別の何かに変わっている。大規模な破滅のようなことが無くっても、そういう人は常にいるし、誰でもそうなる可能性があるということを、作者の眼は捉えていたのだと思う。

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紙の本

冷たすぎず温かすぎず、な絶妙な筆致

2015/06/04 08:45

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:アトレーユ - この投稿者のレビュー一覧を見る

短編集。「ファルメライヤー駅長」の最後の一文にすごい衝撃! この結末を予測はしていても、それをこうも簡潔に、1文で表し、これで締めくくる。結末より、この1文そのものに衝撃。登場人物を、温かくない目で見守り(笑)、でも皮肉ってはいない、達観(諦念?)した視点で描き、そこに池内訳のほんのり感も加わって、絶妙ブレンドな作品。

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2014/08/09 10:41

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2014/12/19 10:04

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2016/03/12 19:14

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2017/05/25 16:18

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2021/04/20 11:09

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2022/01/08 22:53

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