紙の本
出張!何でも鑑定団……というわけではない。
2015/08/24 17:44
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ef - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルに惹かれて読んでみました。
骨董品などにまつわるペダンティックなミステリかなと思ったのですが、かなりライトな作品でした。
コージーミステリと言っても良いかな?
主人公は、オークションハウスの女性経営者ジョシーです。
ある日、とある富豪から家財道具の売り立て依頼があり、品物を見せてもらった上、何度か交渉を重ね、最終的な契約を結ぶために約束の日時に家を訪ねたのですが応答がありません。
約束を忘れてしまったのだろうかと思っていたところ、家の中でその富豪が殺害されていたのです。
彼女が富豪との間で売り立ての仕事をしようとしていたこと、殺人があった日に富豪の家を訪ねていたことはすぐに警察の知るところとなり、犯人の嫌疑がかけられます。
また、凶器のナイフからは彼女の指紋も検出されます(以前、家を訪ねた時に、富豪に頼まれてお茶菓子のケーキを切ってあげたことがあるのですよ)。
このままでは逮捕されかねません。
もちろん、ジョシーは殺人などしていないのですが、身の証を立てるため、弁護士を依頼し、新聞記者を使って自ら調査に乗り出します。
ミステリとしては、特に凝った点はなく、特別なトリックもありません。
犯人の意外性という点でも特筆するようなこともないでしょう。
被害者の富豪は3点の名画を持っていたのですが、ジョシーはそんな名画など見たことはありません。
どうもこの名画が事件の鍵になっているようですが、どこかに隠されているとしか思えないのですね。
でも、結構あっさりジョシーが発見しちゃうんですけれど。
ですから、ミステリとしてのトリッキーな面白さという点ではあまり期待しない方が良さそうですよ。
作者は、自ら古書や骨董品を扱う店を経営していた経験があるそうで、骨董品業界やオークションハウスのスタッフ達の仕事ぶりは良く描かれています。
その辺りを楽しみながら、物語の展開に素直に従って流れに乗るというのが良い読み方かもしれません。
なお、本書はシリーズ化されているようで、第2作の「落札された死」も刊行されましたので、本書が気に入った方はそちらも併せてお読みになるとよろしいかも。
投稿元:
レビューを見る
港町ポーツマスでオークションハウスを営むジョシーは、ある日地域の警察署長の訪問を受ける。家財の出張鑑定をした老富豪が自邸で殺されたというのだ。
容疑者となった彼女は、家財リストにあるルノアールの絵が見つからないことを出発点に、仕事と並行して独自の調査を進めるが──
確かな審美眼を持つ腕きき女性オーナーが主人公となる、アンティーク×ミステリのシリーズ第一弾。
訳者あとがき=高橋まり子
投稿元:
レビューを見る
オークションハウスを営むジョシーは、出張鑑定した老富豪殺害の容疑をかけられ、事件に巻き込まれていく。
ありがち、と思いきやペットがいないんだよなぁ。
他にも疲れてくるとマティーニを欲したり、ジャンクフードを避けたり…はなんか新機軸だった。
冒頭はファザコンのように思たけど、読んでいくときちんと自立した女性だった。いい。
きちんと合法な捜査をするところも高感度高し。
はやりのコージーよりもこっちの方が好き。
アンティークの蘊蓄を更に期待して次巻を待つ。
投稿元:
レビューを見る
献本でいただいた1冊となります。
アメリカはニューハンプシャー州を舞台とした、
アンティーク×ミステリーな内容、シリーズ第1弾のようです。
主人公はオークションハウスを経営するジョシー、
元はニューヨークで働いていたのですが、、
とある事件がきっかけで都落ち同然にこの町に。
最愛の家族も亡くし、精神的にもなんとも不安定。
そんな彼女が、仕事や現実と必死に向き合い、
立ち直ろうと悪戦苦闘している最中、一つの事件が起きます。
出張鑑定の約束をしていた一人の老富豪が自宅で殺され、
当日打ち合わせの約束をしていた彼女も容疑者の一人に。
最初は警察などに囲まれるその恐怖に、
ただ打ち震えるだけであった彼女ですが、、
一つ一つと向き合い、心を奮い立たせ、自分と向き合い、
結果的には様々な“過去”も乗り越えていくことに。
主人公の感情の振幅の大きさに、少々戸惑いを感じながらも、
ググッと引き込まれて、一気に読んでしまいました。
アメリカ社会における弁護士の位置付けや、
“骨董品(アンティーク)”市場の実情なども興味深く。
日本だとどこか有閑な趣味といった感も強い“古物”ですが、
向こうではもっと生活に根付いているような、そんな印象も。
ただ物語は、そんな身近な雰囲気から一転して、
戦時中のナチスによる絵画強奪にまで幅広く。
マティス、セザンヌ、そしてルノアール、
殺人の動機としてはいずれも申し分なく、、
それでは“犯人”は、、結構王道な顛末でした。
ラスト、一つの恋の始まりを予兆させる内容もあり、
働く女性の物語としてみても面白く、続きも気になりますね~
しばらく手元に残しておこうと、そう感じた1冊です。
投稿元:
レビューを見る
実は期待してなかったんだけど、面白いじやん。
続きも早く出してほしいな。
ジョシーと署長の関係も気になるし。
投稿元:
レビューを見る
アンティークに絡むコージー・ミステリの新シリーズ。
まじめな雰囲気です。
ジョシー・プレスコットは、アメリカはニューハンプシャーの港町ポーツマスでオークションハウスを営んでいます。
家財を鑑定したばかりの老人が事件に遭い、警察に尋問されることに。
思わぬ事件に動揺するジョシー。
実はかってニューヨークの大手で働いていましたが、そこで痛い目を見た経験が。
正義感から不正を告発したところ、誰にも話しかけられなくなり、辞職に追い込まれたのです。
その後最愛の父をなくし、恋人とも別れ、仕事を立て直すまでに数年かかった様子。
老人の屋敷にあった名画が行方不明になっていて、絵画とアンティークの知識が必要なために、警察から協力を求められます。
正義感の強いヒロインという設定で、でもやたらに無謀な行動をするようなことはなく、着実な展開にほっとします。
その分、にぎやかな楽しさは少なめかもしれないけど。
過去のトラウマから涙もろくなっているのがちょっと、なんだけど、本当は経営者としてやっていけるしっかり者のよう。
警察署長のタイロン・アルヴェレスは40歳ほどで、どうやら釣り合いそうな‥
信頼関係がこれから順調に築かれていくようです。