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仏教を「思想」「哲学」という観点から捉えることを否定し、実感と生活感を伴った「信仰」「宗教」(非科学的・不合理なものをも包含するもの)として捉える。
そして、日本に根付いた「日本仏教」に対して肯定的であり、根本仏教・原始仏教やテーラワーダ仏教を純粋なものとしてあがめる傾向に注意を促す。
具体的には、ゴーダマ・ブッダが、必ずしも呪術を否定していなかったこと、出家主義の採用、生産活動の否定及び在家の葬儀への不関与という方針は、当時のカースト制度によるやむを得ない選択であったことなどを指摘する。
また、東日本大震災に関連して、仏教の僧侶に対し、「鎮魂」の役割が求められているとも指摘する。
日本の仏教に肯定的であり、日本の仏教への批判への応答に多くを割いているため、「入門」と言いつつも、何をもって「仏教」というのかについては、あまり詳細に述べられていない。
それが、「お坊さんのための」という題名の意味なのかも知れない。