紙の本
求めてやまない森
2015/08/31 19:06
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投稿者:タンポポ旦那 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最終話を除いて、思い込みの強さや自尊心・自己過信といったやや過剰とも思える人物設定に押され気味にもなるが、森と森番によって浄化されていく様は、季節感ある森の描写とともに、各話を読み終える毎に清涼感さえ覚える。
各登場人物にしてみても、思い返せば自分の今までの人生でも時折顔を覗かせ、人に指摘され、改めてきた部分が多いように思う。
里山でも、ハイキングで訪れる山でもない、都会の中の森と森番の設定は、ファンタジーの異次元であるけれど、今まさに自分が求める“森”なのだと気付かされた。
紙の本
「ではない」場所。
2016/11/19 18:37
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投稿者:うりゃ。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
描かれる森は、社会的肩書きやレッテルをはがして、一個の人間として自身を内省する場所。
現状や感情の底にある原因さえも、よくよく相対すれば見えてくるのは、森の外で与えられた評価の存在しない場所だからだろう。
北欧の黒い森よりも宮沢賢治の「虔十公園林」のような、どこかつきぬけた明るさを感じる。
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読んだタイミングもあいまって、とらわれの木は胸が痛かった。
「自分の人生くらい、責任を持ちなさい」
ここに責任を持たなかったらどこに持つんだ。
と思うくらい尤もで心に響く言葉。
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札幌のどこかにある都市森林公園を舞台にした連作短編集。どこがモデルになっているのか気になるけど、それぐらい気になる気持ちのよい森。森林公園に逃げ込んでくる人々と、彼らが出会う森番。どの話も最後は彼らの抱えた葛藤を克服して森を出ていく。最後の1話はよくある通り森番自身の話。よくある話の構成だけど、読後感が爽やかで、読んでも苦痛にならない。
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作者の描く、追い詰められ感には、まいどやられてしまう。
自分、この作者は好きなのですが…、いや、きっとこういった内容も求め。いや、最後の話は心安らかに読めましたし、大変美味しゅうございました。
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「もしかして・・・」と途中、色んなことを想像したけれど、どれも当たりませんでした。
全体的に、いい話です。
ボクの中では本屋大賞です。
でも、あまり知られてません。なんでだろ?
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大きく広がる森 色々な悩みに行き詰った人達は広大な自然の中で森番と出会う。優しい話の短編集。
「てふてふ荘」を思い出させる素敵な話。森の描写が気持ちがいい。散策してみたいなぁ こんな場所。
袋小路に迷い込み、思い詰めた登場人物たちを森と森番の静かな優しさが迎えてくれる。「雪待つ木」の森番からの手紙にじーんときた。
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街の中にぽっかりと存在する森。
そこに辿り着く人は何かしらの悩みを抱えている。
人を妬み、羨み、蔑み、憎み、自分を庇い、痛め付け、貶める。
それぞれが自分の映し鏡を見るようで
胸苦しくなりながらも頁を追い続けた。
【図書館・初読・3/12読了】
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フクロウも棲んでいる森の森番が、傷つき、自分の居場所を失ってしまった人たちを見守り、そして、一歩を踏み出すためにそっと背中を押してあげるという物語。誰しも傷ついたり、自分が必要とされていないと思ってしまうと、周りが見えなくなってしまうもの。それでも、こんなはずじゃなかったと何か自分ではないものに原因を求めてしまう。そして、がんじがらめになってしまい、出口が見えなくなってしまう。そんな状況にいる森に彷徨ってきた人たちに、一筋の光を思い出させる、見つけるお手伝いをする森番。
現代にはこの森番のような人と人、人と社会を結び付けられる人がめっきり少なくなってしまった。能力主義、効率主義がうたわれ、生きにくい時代になっている。それでも、人は自分の居場所が必要なのだ。失敗してもやり直せる機会が必要なのだ。そんなことをぐるぐる考えさせられた。それは学校という社会で特に顕著になってきているように感じる。少しの間の逃げ場を作ってあげたい。森番のように、そっと見守り待つことができる人になりたい。
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癒される。そう、癒されるんだ。都会の真ん中にある不思議な森。心が傷ついた人達が偶然辿り着く。そして不思議な森守り青年との接点で少しだけ前向きになる。
小さなストーブにお茶をいれる道具を持って林道をバイクで走って、そして素敵な場所に出会ったらお茶を飲む。そんな事が出来る季節になってきたし、行ってみよう。そんな気分になりました。
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【収録作品】色づく木-鏡の森/春めく木-我は地に伏し/雪待つ木-インディアンサマー/病の木-夏の名残のバラ/育ちゆく木-五十二歳の秘密基地/とらわれの木-揚げひばり/新たなる木-光差す場所
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問題のある人間ばかりが森にやって来て、森番の青年と出会うことで心が変化していくのだが、傍から見ると応対する青年が大変だよなとつい思ってしまった。それでも最後には納得のいく終わり方をし、青年がなぜ森番になったのか最後まできちんと書き上げられていたので気持ちの良い読後感があった。
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人は挫折すると森に入りたくなるのか。
幸い、この森には、大きな心を持った人間がおり心を癒してくれる場所だった。
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森を案内してもらう前の日に読みたくなった1冊。家のすぐ近くにこんな森があったら&管理人のお兄さんがいたらいいなぁ。みんな、いろんな思いを持って、森に入り込む。
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とある街中に存在する自然に満ちた森と、それを管理する森番の青年。何故そんなところに森があるのか、そして森番の青年は何者なのか……という謎の部分はミステリではありますが。それは最後のお楽しみ。
森を訪れる人々はさまざまな悩みを抱え、鬱屈して、憔悴しきっています。だけど森に来ることで癒され、何かしらを得ることができたり。社会で生きることの難しさや厳しさがなくなるわけではないけれど、少しは柔軟に受け止めることができるのかもしれません。穏やかな気持ちで読める一冊です。