紙の本
西洋史入門
2015/10/26 23:20
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たる - この投稿者のレビュー一覧を見る
なぜ美術を学ぶ必要があるのか。それは識字率というパラメーターにある。 文章での伝達が困難な社会では絵画が最大のメディアだった。絵に込められたメッセージを読み取ってはじめて、その絵が描かれた当時の人々の考え方を理解することができる。 現代では美術はメディアとしての存在理由を失ってしまった。本来、美術は美術館で厳重に管理されているものではないはず…。 もうちょっと早く知っていたら世界史とか好きになってたのになあ。
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大好きな「恋する西洋美術史」の著者が贈る、西洋美術史の考え方。この本は他の本のように著名な作家と代表作を列挙して解説しているスタイルとは異なり、西洋美術を見る上での基礎知識を教えてくれる貴重な一冊だ。
絵が趣味になったのはごく最近のことだという。それまではずっと教会や皇族・貴族、そして後世では商人などをパトロンとして、「彼らの描いて欲しい絵」を描いていたのが画家という「職人」だった。
この本を読んで、富の分布と絵画を求める人の分布は一致するのでは、と思った。日本もバブルの頃、成金達がこぞって絵画を収集したし。
こんな時代だから、こんな絵が流行った、など他では読めない考察が多く、目からうろこの一冊だった。
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西洋美術史を読むための土台を紹介している。
・基礎トレーニング
・知っておくべき単語
・whyを4W1Hから迫る
絵を読むための基礎トレーニング
・スケッチスキル:パッと見て概略を描く
・ディスクリプションスキル:絵を言語で表現する
理解するための単語
・アレゴリー(寓意画)
例:はかなさをシャボン玉で示す、剣と天秤で正義を示す
・アトリビュート:個体認識のための要素
例:ペテロは鍵をもつ=天国の門の鍵を授かったため
聖セバスティアヌスは体に弓矢がささる
・コード:美術を読むための約束ごと=コンテキスト
コードは失われていることがある。
失われたコードを発掘する学問を図像学=イコノグラフィーという。
また、その絵がなぜか描かれ受け入れられたかを考える学問を図像解釈学=イコノロジーという。
5W1Hのwhyを知るために残りの4W1Hを探ることが大切である
when いつ=年代
who 誰が=作者
where どこで=地域
what 何を=絵の対象、描かれているもの
how どのように=素材、手法
とりわけ、時代背景は重要である。
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高校生を第一の対象にした西洋美術史の入門書。絵を読むための基礎的な手続きとして、対象をスケッチするスケッチ・スキルと対象を文章で記述するディスクリプション・スキルをあげているのが興味深い。文化人類学等のフィールドワークに必要なスキルと同じであるからである。内容は、美術史に興味を持っている一般人の知的好奇心も十分に満足させてくれる。
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しっかり内容の詰まった良書。
ただ、見るだけでなく、絵画を読むための基礎が語られています。
わかりやすく、よくまとまっていると思います。
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美術作品の鑑賞の仕方や美術史の楽しみ方について、予備知識のない人に対して概略を説明した1冊。絵画鑑賞に興味を持ち始めたけれども、全く知識がない人への最初の1冊にしてもらいたい。巻末に目的別推薦文献が掲載されているので、その後の学習の参考になる。
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西洋絵画を制作に結びついた時代背景を絡めて紹介してます
渋澤龍彦に影響されている作者は
絵画をイメージとシンボルとした切り口で紹介しており
ニヤリとさせられることが多かった
新書でもあるので紹介する絵画が少ない
どこかの機会で続編を出してほしい
簡単に読めるので通勤途中読まれることを勧めます
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高校生でも読める美術史入門書。
絵の見方と、歴史的背景の二つに大別できる内容。かなり解りやすいが、筆者も記しているとおり、枝葉を切り取って幹の部分だけを解説している形である。入門書なので致し方ないのだが、この本だけだと少し物足りない感もある。
しかし、この本には次に読む本の足がかりとして、巻末にリストが付属している。それも含めて、買って読む価値のある良い本だと思う。
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息抜きに買ってしまった。
網羅的ではないけれど、分かりやすくコンパクトにまとまっているので、買ってよかった。
巻末の推薦図書リストを活用したい。
しかしプリマー新書、全体的に高い??
この本も950円はちょっと高いと感じてしまう。
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西洋美術史についての概説。
この本の良いところはルネサンス期の絵画における宗教的なシンボルについての記述がある部分だと思う。絵画の鑑賞では宗教的なシンボルをどう解釈するのか、についてはあまり意味をなさないけれども、実はハリウッド映画においては宗教的なシンボルやエピソードがかなり多用されていたりする。
なので、こういう元ネタがあるのか、と知っているだけで、映画に対する理解もかなり深まるのではないか。観て楽しむだけでも十分だけれど、創作者であれば深い部分も知っておきたいわけで。
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西洋美術が好きで、大きな展覧会には足しげく通っているが、知識ほぼゼロで、この絵の感じがすきだなぁ、と思っていた程度。そろそろ少しは知識つけたいと思い「入門」とあったのでこの一冊から初めてみる。
文章は小難しい言い回しはなく、口絵など多く掲載されていて大変分かりやすかった。解説されていたトビアスと天使の話はちょうど最近見にいった美術展でも描かれた絵があり、「これかー!確かに魚持ってる」と今までより深く楽しめたのが実感できた。
次に読むとおすすめな本の紹介もあったので、大変参考になりました。少しずつ絵について知っていこうと思う。
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オススメの理由
東京芸術大学を卒業後、同大学の修士課程を修了。現在、國學院大學文学部准教授をしておられる
著者が、美術史の入門として書かれた本です。同書は、著者が授業で受け持っている美術史の入門
授業の概要をまとめたものとなっています。美術史の知識が全くない人でも、一から美術史とは何なのか
について学ぶことができ、また美術史における考え方の一部を理解することができます。
長い歴史のなかで連綿と続いている美術、とくに絵画を如何に読み解くのかを理解することで、今まで
見えることのなかった絵画の意味や裏側へと目線を向けさせてくれる、そのような本になっています。
もちろん、入門書であるので、すべてを網羅できる内容とはなってはいませんが、美術に興味のある方
であれば、その初めの一冊としては非常に、手に取りやすい本だと思います。
推薦者のページ
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最近、名画の鑑賞法について書かれた本がいろいろとでています。『怖い絵』の中野京子先生や『名画の言い分』『印象派という革命』の木村泰司先生など・・・。この本の著者池上英洋先生は國學院大學で教鞭を執られています。
先生によると、絵画は「テレビやラジオの無い時代における最大のメディア」であり、当時の送り手(作者)と受け手(注文主や鑑賞者)がその絵画の約束事(コード)を共有することによって成り立っているとしています。ですので、ある絵画の真意を理解するためにはそのコードを「再発掘」しないと分からないと言うことです。このコードを「再発掘」する学問を『図象学(イコノグラフィー)』と呼びます。本著ではこの名画を“読む”ための訓練法や実際に読み取った具体例などが書かれています。例えば有名なミレーの『落ち穂拾い』、あの絵を見た人は当時の農民たちの質素ではあるがつつましやかでささやかな幸せの中にいる生活を思い浮かべるかもしれません。しかし実は当時落ち穂を拾うことが許されていたのは貧農や小作人、つまりミレーは最下級に置かれた人々の苦しい生活を、現実の過酷さを描いたともいえます。また、死が身近にあった時代はそれを想起させるもの、資本主義が発達してきた時代には富裕者(つまり注文主)が自分の善行を神に示すためにあえて貧しい人々を描かせたりもさせていました。
「絵画」というものが純粋に美術作品として人々の鑑賞対象となったのはつい最近のことです。それ以前は作者や注文主が何かを誰かに伝えるための手段として描かれました。そういう背景を考えながら名画を見ていくと、今までとは違う新しい発見があるかもしれません。
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西洋美術史入門と題した本書は、一言で言えば、絵画の”読み方”のTips集である。
絵画の読み方は意外と難しい。例えば、中世、ルネッサンス期の西洋絵画の多くの意味を読み解くには、キリスト教の予備知識を必要とするし、キリスト教の影響から脱した近現代絵画だって、その時代にその絵画手法が採用された理由を知っているのと知らないのとでは、鑑賞の仕方が全く違ってくるだろう。
日本の義務教育では、残念ながら、そうした「美術の読み解き方」は教わらない。教わらないどころか、下手をすると、そうした読み方があることにすら気づかないまま大人になってしまう。
そうして、読み解くのに予備知識が必要な美術全般に対し、なんとなく苦手意識を抱いたり、場合によっては僻みっぽく否定的な意見を述べる人の、なんと多いことか。
でも、実は入口は、結構身近なところにあるのだ。ちょっとした技法を知っているだけでも、絵の見方がずいぶん変わるし、ちょっとした歴史背景を知っているだけでも、注目する部分が変わってくる。
西洋絵画に苦手意識を持っている人にこそ薦めたい一冊です。
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美術史の本当の意味での入門書。
他の入門書と違い、基礎知識がなくても読めるし、わかりやすかった。
第五章のフォントが見づらいのが難点...