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「コンシェルジュ」の仕事-「サービス」と「ホスピタリティ」の違いとは?
2010/06/23 12:49
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サトケン - この投稿者のレビュー一覧を見る
コンシェルジュ(concierge)という仕事がどういうものか。このコトバが日本語でも使われるようになってきたので、単行本初版がでた2001年当時とはだいぶ状況が変化したのではないだろうか。お客様の要望にはどんなものでも応えるというコンシェルジュが、比喩的な意味で使われることもしばしばある。
しかし一方、コトバは拡がっても、実際に日本国内でコンシェルジュのお世話になることがあまりないのは、外資系ホテルが増えたとはいえ、まだまだコンシェルジュの絶対数が日本では少ないからだろう。日本を一歩出れば、私もいつもコンシェルジュのお世話になっているのだが。
その意味で、コンシェルジュというホスピタリティの仕事がどういうもので、そのために必要な能力は何が求められるのかについて語った本書は、現在でも貴重な一冊である。「サービス」と「ホスピタリティ」の違いについては、直接読んで確かめてほしい。
著者は、コンシェルジュに憧れながらも、まだその職種が日本になかったため断念、10年間別の仕事を経験してからヨコハマ・グランド・インターコンチネンタルで念願のコンシェルジュに就くことができた人である(・・現在はグランド・ハイアット東京のチーフ・コンシェルジュ)。この回り道が、実は意味があったことも本書で十分に語られている。
コンシェルジュに必要なのは、お客様のばくぜんとした要望を限られた質問内容から感じ取り、イメージし、的確で具体的な解答を説得力をもて提示する仕事だからである。そのためには、好奇心を全開にして、五感をフルに活動させて、実にさまざまな事を実際に自分で見て、体験しておく必要があるわけなのだ。そして何よりもすぐに聞ける人脈をもっていることも不可欠であるという。
本書はコンシエルジュになりたい人、コンシエルジュをもっと知ってみたい人だけでなく、人に接する仕事には何が必要なのかヒントを得たい人にもひろく薦めたい。
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コンシェルジュは何をしているのか?
2015/05/24 21:35
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者はホテルに勤務するコンシェルジュである。昔はコンシェルジュと言ってもどういう役割を担っているのか知っている人は少なかったであろう。最近はホテルでなくともコンシェルジュと称する人たちがいるようだ。要するにはホテルに滞在して困ったこと、分からないこと、相談したいことがあると、それに応じてくれる人を指す。
本書では阿部さんの考え方と経験が綴られている。世の中には色々な人がいるものだと思う。日本人はどちらかというと自分自身の困ったこと、つまり悩みはなるべく自分で解決しようとする。それでも解決できない場合に外部の助けを借りようとするのではないか。ホテルにはコンシェルジュという何でも承ることのプロがいるので、是非利用して欲しいという。
ホテルのロビーの目立つところに大きなデスクを構えて座っているのがコンシェルジュであるという。今でもコンシェルジュのいないホテルもあるとのことで、探してもいないかも知れない。本書を読んで疑問が一つ。何でもという中に、これを明日までに翻訳しておいて欲しいという要望があるようだが、秘書業の代行を依頼されて無料で引き受けるのだろうかという疑問である。
無料かどうかまでは書かれていなかったが、最近ではパソコンやOA機器を備えているビジネスコーナーがあるホテルも多いと聞く。そこで有料で受けるのなら理解できるのだが、コンシェルジュが無料で引き受けてしまっては、コンシェルジュが何人いても足りないのではないだろうか。
海外のドア業者が宿泊した際、どこに行けば販売できるかという相談を受けたことがあるという。まさに突飛な相談であるが、これにNoと言えないのがコンシェルジュである。だとすれば、どこかで相談客と折り合いをつけることと、仕事を整理、処理する能力を付け、経験を蓄積していくことを具体的に実現することが肝要であることが分かってくる。
阿部さんは、コンシェルジュにとって重要なことは、その内容について知っている人を知ることが重要であると言っているが、まさにそうであることは想像がつく。そのために私的な時間でもホテル周辺や有名店には自分で直接行ってみるという。努力の積み重ねがものをいう職業かもしれない。
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当たり前のことを当たり前にやる
2015/11/16 12:39
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投稿者:シンジー - この投稿者のレビュー一覧を見る
一見、誰でもできそうな気がするが、実行力、根気が大事だと感じた。後は人脈、仕事の中で信頼関係の大事さを改めて痛感させられた。
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サービスのプロ
2015/11/12 12:36
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投稿者:ほし☆ - この投稿者のレビュー一覧を見る
NHKプロフェッショナルにもご出演された阿部さん。サービスのプロであるコンシェルジュの仕事について、興味深く楽しく読める1冊です。
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彼女はとても運がいい。コンシェルジュがまだ浸透していなかった時代だからこそ2ヶ月でデスクに座れたのだから。その後変わらぬホスピタリティー精神があったからこそ今があるのだけど。
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娘がホテルで働きたいと言っていた時期があり、それでちょと手に取ってみたものの、私自身はコンシェルジュという仕事にはまったく興味がない。
・・・・ていうか、できない。
だけど読んでいてとっても啓蒙されるのは、彼女の仕事に向き合う姿勢は働く人のお手本のようだからだ。ホスピタリティを大切にし、いかに気持ちよくお客様に過ごしていただけるか。そのためには例え無駄になっても日々の努力を惜しまない。・・・えらいっ!
異動で仕事が変わったばかりなので触発され、背筋の伸びる想いです。
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仕事の参考。
概念整理。要素の抽出。
・ホスピタリティ
・おせっかいはしないが、望んだ以上の満足を提供
・質問はあまりできない。2回のチャンス
・回答までの時間を明確に伝える。相手の緊急性も考慮
・コンシェルジュは自分の目で見たものしか案内しない
・休みの日は、関係を築く、情報収集をするなど「栄養」を得る
・コンシェルジュはいろんな人から助けを借りる
・コンシェルジュの最大の友人はコンシェルジュ
・コンシェルジュは個人によるサービスでなく、チームによるサービス
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ホテルの「コンシェルジュ」という職業。
その内容はよく知らなかった。
この本を読んで「コンシェルジュ」という職業の奥深さを知ると同時に、どんな職業でもプロに徹するということの難しさと素晴らしさを感じた。
最近、自分でホテルの予約をするようになり、ホテルを身近に感じるようになった。
と、同時にホテルが「泊まる場所」から「過ごす場所」に変化した。
そうなると、ホテルのスタッフの対応や動きに否が応でも目が行く。
そしてこのスタッフの対応がホテルでの時間の快適さを左右することも知らされた。
今までは、快適さはホテル側が提供してくれるものと思っていたけれど、快適に過ごすためには自分自身がホテルを上手に利用しなければならないのだ、とこの本よ読んで感じた。
これからはもっとホテルを上手に使おう!そして、もっと楽しもう!と思う。
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【本の内容】
国際的なシティ・ホテルに集う人々は千差万別です。
そのゲスト達の不満、トラブル、観光案内から尋ね人探しまでを速やかに解決してしまうのが「けっしてNOとは言えない」職業のコンシェルジュなのです。
チーフコンシェルジュが明かす究極のおもてなしとは。
そして、ホテルをもっと楽しく使いこなす方とは。
[ 目次 ]
プロローグ お手伝いできることはありませんか?
第1章 なじみの薄い職業ですが
第2章 コンシェルジュになるまで
第3章 ロビーは舞台、コンシェルジュは役者
第4章 ホテルも風景、スタッフも風景
第5章 コンシェルジュランドへようこそ
第6章 アクロバティックなサービスを
第7章 ホテルをもっと使いこなして!
エピローグ どうぞ、お立ち寄りください
[ POP ]
宿泊客の唐突な質問に、知の機動力が問われる職業。
ヨーロッパでは町の名誉町民が、その役を担っていたという。
「20年前、家の側に住んでいた鈴木さんを捜して」というアメリカ人の客の依頼に、本当に当人を捜し出してしまった著者は、パルコや幼児開発協会を経て現職へ。
「人の心持ちにいかに近づくか」を試行錯誤する日々が、綴られている。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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仕事でホテルのコンシェルジュ設置をどうやって推進するかを考えていたところ、六本木ツタヤで目に飛び込んできた!しかも飛行機でちょうど読み終わるぐらいの分量。なんて運命!
そんなわけで帰りの飛行機で読みました。
コンシェルジュ、使ったことはないですが、すごい職業ですね。何かを成し遂げるためにさまざまなツテや人脈を頼って動くというのはいろんな調整型の仕事でも同じだと思うけど、それがほとんど知らない他人の要望で、しかもその真意をたった2つの質問で慮るということが大きく違うなと思った次第。
ロボットコンシェルジュとか考えられないかなーと思ったけど、心を通わせるところがコンシェルジュの真髄なら、見当違いでしたね。
また、日本では旅館の仲居さんスタイルで、ホテルスタッフ全員が相談も受ける、というのは納得の話でした。
そんなホテルを使うことはないけど、いつか利用したら話しかけてみよう。
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プロフェッショナルで取り上げられていた著者の方のお仕事ぶりに感銘を受けて本も購入。
相手の心持ちを読む、というのは、コンシェルジュだけでなくて、あらゆる仕事で求められることだと感じた。「役を演じる」というのにも納得。
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情報のネットワークの重要さを痛感されられる作品。インターネットでどんな情報も簡単にアクセスできるが、口コミサイトやまとめサイトのように情報のチョイスをしてくれる存在が求められるようになってきていて、コンシェルジュはそういう意味ではそのホテルに特化した最もパーソナルで最適な答えをくれる最強の検索エンジンであるんだろうなと思う。
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この本は私にとって本当に勉強になりました。
コンシェルジュが読み手の気持ちを汲んで書いたのか、本当に読みやすい!
分かりやすい!
今度、ホテルを使うことがあったら、コンシェルジュデスクに寄ってみようと思えました。
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「日本で買った金魚をタイまで持って帰りたい!」、「ドアを日本企業に売りに行きたいんだけど、どんな企業にアプローチしたらいい?」などなど。宿泊客からの様々な要望に答えてきたコンシェルジュによる1冊です。この仕事についた理由や、仕事についてが語られています。10年以上前に出版された本を文庫化したものですが古さはほとんど感じませんでした。
読んで思ったのは、「コンシェルジュって白鳥みたいな人たちだなあ」ということ。水面下ではお客様の要望に答えるためものすごく奔走しているのだけれど、お客様の前では決してそんな姿は見せない。究極のホスピタリティーを持った人にしか務まらない仕事だと思いました。
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難問・珍問にどのように向き合っているのかしら、という純粋な興味と、自分の接客態度にも活かせたら…といった自己啓発の期待も込めて手に取りました。
阿部さんという方の、持ち前の好奇心やセンス、日々の積み重ねや経験、仕事への矜持…
パワーと良い刺激をもらいました。