グリーンブラット投資法 ──M&A、企業分割、倒産、リストラは宝の山 みんなのレビュー
- ジョエル・グリーンブラット(著)
- 税込価格:3,080円(28pt)
- 出版社:パンローリング
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紙の本
訳者まえがき
2001/10/22 19:02
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:奥脇 省三 - この投稿者のレビュー一覧を見る
第一章のタイトルを私は「成功への道をまっすぐ進め」と意訳したが、原文は「Follow the Yellow Brick Road」だ。これはフランク・ボームの『オズの魔法使い』で、主人公がオズの王都へ入るときにたどった道の名前だ。出世街道、成功への道の意味か。
王都へ続く正しい道を賢く選択することが株式投資で成功する秘訣と著者は言うが、その「王道」はどうやら人があまり通らない道のことらしい。著者は本書のなかで、自分は逆張り屋だと盛んに言う。しかし、地図なき道を通って割安な株を見つけること、つまり真の逆張りこそ王道だと言いたいらしい。そう言えば「人の行く裏に道あり……」という格言がこの国にもある。
複雑な数学を駆使した現代の投資理論や、ルールと営業利益のしがらみから解放されないアナリストや資産運用者が、この王道から遠ざかってしまっていると著者は言う。読んでいて目からウロコの個所が随所にあった。
この本がすごいのは、理論だけでなく、実際のケーススタディを豊富に取り入れ、著者が実際に儲かる株を発見し、投資を実行した過程を開示していることだ。彼の投資会社、ゴサム・キャピタルが過去に上げた成績がその裏にあるだけに、このケーススタディには迫力がある。残念ながら、著者が紹介する具体的な投資手段、分割企業や合併関連証券などは日本には存在しないが、基本的な手法、考え方などは十分応用できよう。
著者、ジョエル・グリーンブラットはきわめて多才な人だ。彼は大手国防企業であるアライアンツ・テクシステムの会長を務めた後、投資業に専念するため自分が創立したゴサム・キャピタルの会長となり、かたわら母校のコロンビア大学で非常勤講師として金融論や経済学を教えている。著者の持ち味である、ユーモアとゆとりはこの有能さのゆえか。この本の八章で著者は、成功する投資家とは、投資を長い人生の伴侶と考え、その旅程そのものをエンジョイする人だと言う。「かの地に至ることこそ、喜びのすべて」と古い歌は言うが、投資の旅には「かの地」はないのだから、旅そのものが楽しみであるべきだと言う。
この本全体を貫いているのは、著者のユーモアだ。気の利かないこの翻訳者がどこまでそれを表現できたか心配である。ちなみに、ゴサムとは愚か者ばかりいたことで有名なイギリスの村か、またはワシントン・アービングがそれにちなんで命名したニューヨークの別名だ。著者は一体どんなつもりで命名したのだろう。
このように面白い本を手がけさせていただいたパンローリング社の後藤康徳社長と編集の阿部達郎氏(FGI)に心から感謝する。
二〇〇一年七月
奥脇 省三
(パンローリング社サイトより転載)
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