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田舎町のローカル広報誌がなぜかアツいことに!
2017/12/26 22:49
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投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
表紙とタイトルにつられたのですけどね。
新藤結子。大卒新人、東北の高宝町役場採用、広報課配属。
転勤族の親とともに都市部を転々とし、直前の十七才から大学
卒業までは都内のマンション暮らしという、ありふれた人です。
それが人口一万人弱の町役場に勤めることになったのは理由が
あるのですが、そこはお約束で物語の中盤まで秘密です。
たいした秘密でもないのですけど。
広報課は、係長の伊達と結子の二人しかいません。
それなのに、伊達がとんでもなく厳しいのです。
結子は自分のことを、背が高くて体力がありそう、
女性の柔らかさも期待されているのかなぁなどと配属理由に
思いをめぐらせているのですが、
つまり嫌なんでしょうね、広報課が。
希望もしていなかったですし。
広報課は、書面のこうほう日和とホームページ更新が主な
業務です。結子はこうほう日和の発行を担当することになりました。
伊達がフォローしてくれつつ、仕事が軌道に乗ってなどと
期待していたのでしょうが、残念ながら最初の担当である
五月号の作成段階で連日の深夜残業です。
伊達がまた、嫌みったらしい指導で、結子はすでにキレ気味です。
申しつけられた防災会の取材もいやいや出掛けていきます。
ところが、この取材ですったもんだを起こしてしまいます。
中に入り込んで、あれこれと画策し、丸く収まるころには防災会も
広報誌もうまく出来上がってという期待通りの展開になります。
全部で五章です。
楽しい展開は第一章で、第二章もそれなりに楽しいのですが、
三・四・五章になると、漫画じみた動きとか不自然な悪意とか、
無理やり感がじわじわと沁み出てきたことが残念でした。
つまらないというほどでもないのですが、没頭しづらいという
感じです。著者紹介を読むと、本格推理小説が得意な方の
ようですので、少々ぶれてしまったのかもしれません。
広報誌の作り方や取材での起伏など、全般的に楽しめる
作りでしたので、次回作に期待したいと思います。
紙の本
熱血広報女子物語
2016/01/05 21:51
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投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
やる気ないのは最初だけ、見る見るうちにいなかに溶け込み、町の出来事をうまく記事にしようと奔走する主人公。その熱血っぷりは時にうっとうしく感じられもするが、読み進めるうちに引きつけられもした。
事件というほどではないが、小さな謎めいた出来事が起こり、主人公がそれを解くというミステリ要素が加わっているのもよい。軽く楽しめた。
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日常の謎解きミステリー。人も死なないし、嫌ミスでもなくいい気分のまま読み終えました。続編があるなら、主人公がどちらかの男性と恋に落ちるなんてのもありですね。
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葬式組曲以来久しぶりのこの作者さんの本でした。地方の市役所の広報誌のお話。面白く読んだし、続編ないかなーって感じ。ただ酔っ払った結子が何をしたのか…なぞのままでしたよね?
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四方を山に囲まれ、平地には川が流れて田んぼが広がる、「なにもない田舎」の高宝町に東京からやってきた結子。ある理由からこの町の役場に就職した結子は、志望していた税務関係の部署ではなく、なぜか広報課に配属されることになった。さらに、リニューアルした広報紙を全て担当することになる。そもそもやる気のない結子は悪戦苦闘しながらなんとか広報紙を作り上げていく。その先に見えてきたのは……。
お仕事メインのちょこっとミステリー。前半やる気ないあたりは読んでて辛かったけど、後半は勢いが出てきてよかった。しかし一年だけ働いてあとは適当に遊んで暮らしたいってどんだけお嬢さんなんだ。あと県の名士だからちゃんと仕事して成果だせって言われてなぜ町役場なのか。わかりやすい成果出すならせめて県庁なのでは、地元民ならともかく、と、違和感。そして町長のキャラクターがきつすぎてつらい……。あとバスケ部は辛辣すぎる、要するに元彼に横恋慕していたのではと思うほど……。あと片倉さんは頑張れ。
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【収録作品】こんなの、公務員の仕事じゃない!/「聖地がある」と云われても…/主人公は、わたしじゃなかった/新しい景色は見えたけど/『こうほう日和』は必要か
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わけあって田舎の町役場に就職した結子は、やる気も地元愛もなくすぐ退職すると決めているが、自治体の広報誌の編集を任された。仕事熱心な上司のもと、毎月取材と〆切に追われててんてこ舞い。しかもたびたび発行を妨げるような事態が起こって、その謎を解く羽目に…
広報誌編集というお仕事小説としても、それによって結子が変わっていくのも楽しいし、謎を解いてもさらに発行がピンチに陥るというのが面白い。少々ご都合主義でわざとらしい展開もあるが、かなりコミカル路線なので(「話はきかせてもらった!」と机の下やロッカーから出てくる町長とか)あまり気にはならなかった。読んで元気になれる話。
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確かに謎解き広報課の話だけれど、謎解きより広報課の方が強い気がした(^^;)しかし最初は全然やる気のなかった新藤結子が一年でここまで変わるとは!Σ( ̄□ ̄;)
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とある理由があって公務員になったものの、広報課に配属されてしまった結子。まったく仕事に熱意を持っていなかった彼女がさまざまな謎を解き明かしながら、やりがいを見つけて成長していくお仕事ミステリ。
伊達さんのキャラクターが素敵です。実際にいたら大変そうなのですが(苦笑)。あの毒舌は他人事だったら抱腹絶倒。しかし彼の真意がそういうところにあったとは……。
何事にも熱くなる、ってのは悪いことじゃないと思うのだけれど。実際どんどん仕事にのめり込む結子の姿は爽快な気がしました。馬鹿にする方が悪いよなあ。
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ど田舎の役場で広報課に配属された無気力女子が主人公の日常の謎系連作短編ミステリ。主人公の成長物語にもなっていて、さわやかな読後感は◎。ただ、そろそろ「キョウカンカク」シリーズの続編をお願いします。
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一行目:「新藤くんはエスパーではありませんよね?」
とある片田舎の町役場に就職した結子。配属先は広報課。
公務員のレベルを超えた、広報への情熱を注ぐ変わり者上司・伊達とともに、新聞のことで頭を悩ませる日々。
そこへ廃刊の波がー。町民の声やいかに。
後半のどんでん返しも面白いが、全体的にはセシューズ・ハイのとび抜けた感じのほうがすき。
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スポ根広報+軽いミステリーといったところでしょうか。
ミステリーや彼女の過去の方はなんとなく、ありがちな感じではありましたが(そもそもなぜ、彼女にはあんな探偵じみた能力があるのだろう。過去も必要あったのか謎…)、個人的には広報とは何か、誰のためなのか、どんな力があるのかを掘り下げていたのがとても良かったです。
広報にお金をかけるくらいなら他に回してほしいという気持ちもすごいよくわかります。その視点を、広報担当者が持つか持たないかで広報の質は絶対に変わる。
内容とは逸れますが、わたしは事務連絡みたいな広報のほうが意味がないと思う。それこそ、誰も読まない。住民にとって役所の大切なお知らせなんて、選挙と健康診断日、ごみの日くらいでしょう。それ以外のことは、まず広報によって普及啓発が必要だと思う。
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役場の広報課で働くことになった女の人が主人公。やる気があるのかないのか、でも一生懸命な女の人なんだなぁ。
2015/12/30
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とある東北の田舎町・高宝町の役場に就職した新卒の女性が主人公。あるトラウマを抱え、東京からやってきた結子。希望とは違う課・広報課に配属となり、温厚な顔と口調で毒を吐く上司・伊達にしごかれながら、広報という仕事に邁進していく。
はじめはやる気なんて微塵もなかったのに、町の人の言葉や行動にパワーをもらい、段々と情熱を注ぐようになっていく。
まず、物語の運び方が面白い。仕事を通して成長していく、というだけでなく、一つ一つの章で、ちょっとしたトラブルが毎回起こるのだが、結子が探偵のように、その謎を解いてみせるのだ。
なので、この小説は単なるお仕事小説というカテゴリーではなく、日常の謎ミステリというカテゴリーにも属すと言える。そして伊達のアシストがまた魅力的だ。これは最後にもつながってくるから、彼の一つ一つの行動は見逃せない。
また広報という仕事は、少なからず今の自分の仕事にも近いものを感じるので共感できる部分もある。
ライバルがなく、自分たちの思うようにできる、ということが町の広報誌の大きな特徴。
終盤はどんでん返しあり。しかし、今回は私も裏を読む事が出来た。
これはいい本でした。ミステリー好きの人にも、ビジネス本好きの人にもオススメしたい一冊だ。
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高宝町役場に勤める結子は、自分が思ってもみなかった部署に配属になった。
その部署とは「広報課」。
そしてそこで広報誌を作る仕事をすることになった。
覇気のない結子。
それには理由があるのだけれど、それに輪をかけて、こんなの誰も読んでないって......という思いが余計に仕事に対するやる気をなくしている。
いろいろと毒を吐きながら、公務員の仕事を淡々とやるはずが......?
演劇部と新聞部を掛け持ちしていた私からすれば、広報誌作りなんて是非やらせてくださいという気持ちだが、結子はそうではないらしい。
活字中毒の私からすれば、と説くの広報誌は毎月の楽しみであるのだが、高宝町民は鍋敷きだと思っているようだ。
でも、そんな鍋敷きにだってちゃんと予算が組まれている。
さて、鍋敷きからどうやって読んでもらえる、町民のための広報誌に生まれ変わるのか?
防災会、ゲームに登場する聖地巡り、地域の祭り......。
結子と広報誌は少しずつ自分自身の持つ魅力に気づき、光を放っていくのに、なんと年度末には広報紙はその存在意義を大きく問われることとなる。
広報誌に使う予算があるのなら、福祉に、経済に、もっと必要なところに使ってくれよ!この問題は多かれ少なかれ、日本全国の自治体に当てはまるものではないだろうか。
予算には限りがあり、必要なものはたくさんある。
そして住民たちの意見は一人一人違う。
そこをどうやって理解を得、その予算に見合う、あるいはそれ以上のものを生み出すのか。
それが公務員の義務であり、やりがいと言えるのではないだろうか。
さて、この危機とやりがいに挟まれ、結子はこの一年で変われたのだろうか。
死んだ魚の眼は再び蘇るのだろうか。彼女の中にもともとあった情熱は蘇るのだろうか。
広報紙。
地味だが熱い自治体の気持ちが込められたもの。
たった数ページの中に、熱い、人の思いがあなたには見えるだろうか。