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みんなの評価4.9

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紙の本

9月20日発売の文春新書。徳岡孝夫著「完本 紳士と淑女」のために。

2009/09/12 17:09

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:和田浦海岸 - この投稿者のレビュー一覧を見る

今月9月20日に出る文春新書新刊。徳岡孝夫著「完本 紳士と淑女」。内容説明には『30年間、雑誌「諸君!」の巻頭を飾ってきた辛口名物コラムの筆者が遂に正体を明かした。精選された決定版』とある。どうやら、選ばれたコラムが読めそうです。
その興味から、古本で「五衰の人 三島由紀夫私記」を読んでみました。三島由紀夫の小説を読まない私なので、この題名では、けっして買わない本。けれど、徳岡孝夫という名に惹かれて読みました。みごとに、1970年という時代を掬い上げており、その時代を象徴するように三島由紀夫氏が登場する。そんな錯覚を抱きました。ということで、三島由紀夫を知らなくとも1970年の時代を知る貴重な一冊となっております。ところで、割腹自殺をした三島由紀夫なら、どなたも御存知のはず、あれから四半世紀後に、この本が書かれている。その距離感からも、内容のぶれない的確さが読後感としてあります。
けれどもね、「死後自分の文学は疎んぜられるはずだと見透した三島さん」とありますから、この本の発売1996年当時、あまり売れなかったかもしれません。ここでは一箇所だけ引用。雑誌コラム「紳士と淑女」の魅力の基幹を、読み解くキーワードのような読後感がある箇所なのです。

「1969年5月には、クアラルンプールで人種暴動を取材した。マレー人とシナ人の衝突で、主に後者が殺されたが、何百人または何千人やられたかは今も分らない。24時間外出禁止令で人っ子ひとり通らない都会を、警官同伴とはいえトラックで走る恐ろしさは、ベトナムの前線とはまた別種のものだった。・・・・
東京から届く新聞には、ほとんど信じられないことが載っていた。すでに人間二人を射殺した犯人が、人質を取って温泉旅館に籠城しているところへ、文化人が訪ねていって共鳴したりしている。この世のこととは思えなかった。ベトナムでもタイでも、いやラオス、マレーシア、シンガポール・・・私の知る東南アジアの国なら、金嬉老は一発で警官隊に射殺されていたことだろう。人質が巻き添えになって死ねば、お気の毒でしたで片付けられていただろう。日本では殺人犯が差別反対闘争の英雄になっているのだった。
酷暑の東南アジアから振り仰ぐ日本は、平和と繁栄の中で人命第一、人権を何より優先する結構至極な湯加減の湯に浸った特異な国に見えた。成田闘争、国際反戦デー統一行動、佐世保の『エンプラ帰れ』、安田講堂などと新聞は大騒ぎしているが、ベトナムの前線を見ている者にとっては、お嬢様のお遊戯の域をさほど出ないように思えた。誰も命を投げ出していないではないか、本気ではないんじゃないか、と疑いたくなった。日本のやり方が良いとか悪いとかではなく、それは東南アジアの『常識』に照らし、あまりにも異質に見えた。サイゴンの米大使館をベトコンから奪還するためには、コンクリートの塀の外から両手で自動小銃を差し上げ、引き金を引いて盲滅法に掃射しておいてから突入したのである。・・・日本の新聞は明らかに感傷的な共感をこめて三派全学連の『闘争』を囃していた。だが、東京の大学紛争など比較にならない本物の戦争の現場でそれを読むと、正直のところ阿呆らしかった。まだしもアメリカの若者はベトナムの戦場へ行くか投獄されるかの瀬戸際に立って徴兵令状を焼いている。そのために逮捕されている。だが日本では『ベトナム特需で儲ける企業には行きません』と言って採用内定通知書を焼く学生は一人もいない。・・・『いいじゃないの幸せならば』という歌が流行しているという。・・・三島さんでなくても『けつこうな国ですねえ』と言いたくなる・・」


それでは、文春新書「完本 紳士と淑女」の新刊発売に、期待しつつ。


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紙の本

哀切の三島由紀夫像

2010/09/03 10:18

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:CAM - この投稿者のレビュー一覧を見る

 雑誌『正論』10年10月号掲載の、「“あの事件”から四十年―三島由紀夫と私」という題の徳岡孝夫氏インタビュー記事を読んで、ひさしぶりに本書を手にとった。

 ひさかたぶりに本書を読み返したが、何度読んでもおもしろい。著者が「面白い人」三島氏との交情を心底から良き体験として想起し、真に故人を敬愛し、偲びつつ書かれているからだろう。そして、著者の三島氏への態度には新聞記者が大作家に媚びるというようなところは感じられない。こうした点が最後において三島氏から信頼を得ることになったのであろう。関川夏央氏は巻末解説の中で、本書では「対象との間に、親しみと礼節とが適切に維持されるほどの距離」が置かれており、「評伝と自伝を融合結晶させて、冷静に感動的な作品」となっていると評している。

 現在では、三島由紀夫氏を直接に知る人々も次々と亡くなって、少数になってきている。既に本書でも「三島さんに近い人々は、なぜか急ぎ足に去っていく」と述べられている(p.307)。 三島氏より5歳年下であった著者であるが、既に本書でも「足が萎え耳が遠くなった身を押して月修寺まで聡子門跡に会いに行った『天人五衰』の本多に似た醜態である」と自嘲(それとも悟達か?)されている(p.308)。

 本書では、「長い年月を隔てて振り返るのだから、私は三島さんの言動の中で驚いたことや突飛なものだけを覚えているようである。他にもっと大切なことを見たり聞いたりしたかもしれないが、それは歳月に洗い流され、驚きと突飛さだけが記憶の潮の引いた後の干潟のところどころに残って姿を見せている」(p.133 )と述べられているが、これは1995年ごろであるから、三島氏亡き後25年ぐらいの頃である。 そして本書刊行の15年後の上記インタビューでも本書の内容が相当部分繰り返されている。人間の経験談、懐旧談とは、「歳月に洗い流され」た後に「記憶の潮の引いた後の干潟のところどころに残った姿」が語られるものだということであり、残っていくものの中核はそう変わらないということであろうか。

 本書では、昭和40年代前半の社会が活写されている。 石原慎太郎氏とのこと、ヴィエトナム戦争、文化大革命・・・もう40年以上前のごとなのか・・・と思う。

 本書では、三島氏の「6億もの人間が、言葉にしろ、宗教、生活習慣にしろ、これだけともかくも西欧化に抵抗して旧套を守ってゐる。これはやっぱり“なにごとか”だと思った」というようなインドについての印象が述べられた部分(p.123)も興味深い。そして、著者は「生きている人間の上にのしかかり、人間に命令し、人間の行動を縛り、人間の生死を左右するものとしての文化的伝統を、三島さんはインドで激しく感じた。なんでもありの日本、外来文化に媚態を示し自己本来のものを捨てて恥じない日本に比べ、これは“なにごとか”だと思った」と述べる(P.129)。

 三島氏は死の直前に「日本はなくなって、その代わりに、無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜目がない、或る経済的大国が極東の一角に残るのであろう」(「私の中の25年」7月7日サンケイ新聞)と述べているが、この文章が発表された2週間後(7月22日)に、三島氏は奈良・円照寺を訪れている(p.138)。 このことを知った上で、そして三島氏のインド観を踏まえて読むと、『天人五衰』の「記憶もなければ何もないところへ、自分は来てしまったと本多は思った。」という結びがあらためて深く心に響いてくる。

 本書は、『豊饒の海』全4巻をきっちりと読み直さなければ、という気持を起こさせる。

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2005/05/18 13:04

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2012/09/07 19:56

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2018/11/04 20:15

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2024/04/05 13:37

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