紙の本
グリム童話を元にした作品を諸星大二郎が
2015/08/19 16:07
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投稿者:オキシジェン - この投稿者のレビュー一覧を見る
グリム童話を元に諸星大二郎が作った短編集です。
個人的にはタイトルになっているトゥルーデおばさんが、
不気味ながらも一番好きです。
電子書籍
「のような」物語
2019/03/05 02:23
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投稿者:夜メガネ - この投稿者のレビュー一覧を見る
まるでいろんなキャラクター、設定をパッチワークしたようなものなのに、
パクりのような不快感がなくて、「うっわー、夢に出てきそう(な不気味さ)!」。
「Gの日記」は主人公、夢か現かわからないところも「不思議の国のアリス」を彷彿。
ですがおばあさんのキャラの強さがすごい。好きな人は好きだろうなーという世界です。
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グリムを元にした短編集。
表題作の「トゥルーデおばさん」もいいですが、どれが一番好きかというと「Gの日記」かなあ。
それ以外の作品でも、登場している女の子たちがしたたかでたくましくて好きかも。
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グリム童話の世界を諸星流に落としこんだ作品集。中でも「赤ずきん」のお手本のようなどんでん返しの巧さが好き。
例えば同じ翻案物でも東元『江戸川乱歩怪奇短編集赤い部屋』 が乱歩作品の怖さをそのまま伸長させる方向で翻案しているのに対して、この作品は元ネタをミスリードとして独自に物語を構成している。
諸星作品は本格的な活劇物よりも、この作品や『栞と紙魚子』シリーズのように雑誌「ネムキ」に掲載されるちょっとお間抜けでメルヘンチックな幻想譚のほうが私は好み。
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気持ちの悪い輪郭線で描かれた悪夢の童話。
諸星大二郎の手にかかると、グリム童話もこんなに悪意的なものになるのか。
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「Gの日記」、「トゥルーデおばさん」の2作は、なかなか、読ませる感じです。
でも、あとは、なんか、ギャグっぽくなっていきます。
悪くないんですが、最初の2作で、ちょっと期待がふくらむと、肩すかしをくらいますねぇ。
諸星 大二郎の持ち味といえば、そうなんですが。
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いや、もう、たまりませんな。手塚治虫亡きあと、本当に諸星大二郎の新作を読むことができる次代に居合わせた幸せよ。何度も書くけど、本当にそう思う。
Gの日記、グリムの悪夢のような世界をそのまんまえがいた素晴らしさ。全編にわたって漂う灰色。悪夢であるから、名前もはっきりしない。「夢十夜」を諸星が描くとどうなるんだろう。
トゥルーデおばさん、主人公の女の子の性格がいちばん怖い。これもグリム「らしく」、パンを踏んづけて泥沼に落ちていく女の子を思わせる。
夏の庭と冬の庭、現代に戻ってほしくなかった。いっきに怖くなくなって、ちょっと鼻白む。どうせならコミックスの最後に、エピローグみたいな形で掲載してほしかった。赤ずきん、展開は読めるけれども、ピーターがかっこいいからときめいた。
鉄のハインリヒ、これはそのまま。あえてのナウシカだが、これはあの世代の人には永遠のテーマなんだろうか?
いばら姫、ネムキにはいちばん合っている気がしたが私はさらっと読んでしまった。
ブレーメンの楽隊、好き。普段はファンタジーより現実モノが好みなんだが、諸星に関しては真逆になる感じ。
ラプンツェル、これが本当の御大の真骨頂。悪夢であり旅人であり、淡々とシュールであり、薄い恐怖が折り重なって灰色の読後感が残る。
8編の短編、中編集。ぜいたくで恍惚とした時間でございました。
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漫画のストーリー・絵から不気味さが伝わってくる。Gの日記は面白かった。一番最初にもってくるだけはある。美女と野獣はすごく上手くできてると思う。
諸星さんの作品ははじめて読んだけど、他の作品も読んでみたい。
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『瓜子姫の夜』に続き、諸星大二郎さんの童話、民話の翻案ものの作品集を読んでみました
やはり、女性の人物造形がとても好ましく、フェミニズムに配慮しているというよりは、諸星大二郎さんが行動的で賢く胆が据わってて、恐ろしいことや理不尽にもへこたれない、怪異に立ち向かえる人物像を(性別問わず)好ましく感じるし、そういう人を物語の中に置きたい作家さんだからなのかなと、まだ2冊しか読んでないけど感じました
各話感想を書きますが、八編の短編集なので前作よりは感想文あっさり目です
『Gの日記』
元になった作品が何なのかとっさには分からず、終盤の展開でようやく分かる仕掛けの怪奇譚
Gがすごく強い、強すぎる
呪術が扱える上、巨大な足場を組んで作業もできる技術と肝っ玉が強い
陰鬱な風景が崩壊し、そこから逃走する途中に叫ばれるGの名前のオチの気持ちよさも含めて最高です
『トゥルーデおばさん』
本書の表題作になっているだけあって、怖い
しかしその怖さを押しのける“会いたい知りたい”という欲求と好奇心に駆られる気持ちに共感して読める
原作のオチのこれで終わり!? という風味を残しながらも、トゥルーデおばさんとの対話のシーンが論理的で小気味良くていいです
『夏の庭と冬の庭』
『美女と野獣』を元にする作品ですが、脚色の大胆さが思いがけないところからやって来るし、そのビジュアルの面白さがすごいです
“魔法がとける”のがふたつの意味があるのもいい
『赤ずきん』
タイトルのままに赤ずきんちゃんの話かと思ったら、この話集の中でも断トツの血生臭さと推理ものっぽさがたまりませんでした
『鉄のハインリヒ、または蛙の王様』
この話集の中での最推しはこちらです
『かえるの王子様』の翻案作品ですが、“鉄のハインリヒ”という大胆すぎる要素を取り入れているところや、そのハインリヒと心を通わせて従える姫様の傑物ぶりが素晴らしいです
原作の『かえるの王子様』でのお姫様は厚かましくてろくなことをしない人物像だったから、この物語でそんなモヤモヤを晴らしてくれたように思います
『いばら姫』
現代のアパートが昔話のようないばらに覆われるが、その原因は? という話でしたが、ちょっと物足りない話でした 囚われた青年が犯人だったという真相だと良かったと思うのですが…無関係ならただのとばっちりではないだろうか
しかし怪異が人を襲うのは、とばっちりの事故みたいなもんだぞってことなのかな
『ブレーメンの楽団』
わりと直球なブレーメンのスピンオフ
怪異とかはなく、きっとこうだったかもという風味です
ところで、諸星大二郎さんの動物の絵がすごくいいです
ぜんぜん可愛く描いてないし、まるで人間みたいな悪辣な表情になっててぐっときます
『ラプンツェル』
一番の解釈が難しい作品でした
ラプンツェル×胡蝶の夢 のようで、ラプンツェルにあたる少女は黒髪だし名前も和名なので、はっきり日本の怪奇譚になっている
でもその行動や結末は、これまで登場してきた女性のキャラたちに遜色ない逞しさがあった
自ら髪を切り落とせるラプンツェルって、実はここにしか無いと思います、すごい