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紙の本
明るい闘病と夫婦の話
2009/03/31 00:51
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トマト館 - この投稿者のレビュー一覧を見る
躁鬱病を含めた精神疾患に対して、
たくさん語られるようになり、
また、必ずしも暗い話ではなくなったのは(例えばコミックエッセイなどで)
北杜夫の功績がたいへんに大きいのは、
いうまでもないと思う。
わたしが始めて躁鬱病という病気の存在を知ったのは、これ以外の
北杜夫の随筆だったが、精神科医でもあった北杜夫の随筆だからこそ、
この病気に対しての認識が、かなり正しいところからスタートできたと思う。
本人はとってもつらいだろうけど、
笑える!明るい!闘病と夫婦の話なのである。
北杜夫の言動をさらりとかわす妻や娘の言葉がおもしろい。
こうなるまでにはかなりの苦労と時間がかかったのだろうなあ、
と思う。
病気にかかる前の、
結婚までの、新婚のころのマンボウ氏の話も、
ほほえましかったりでなかなかのもの。
とくに、奥さんの膝小僧がかわいかった、
というところが、印象的だった。
電子書籍
「恐妻記」といいながら「愛妻記」
2022/01/19 09:41
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トッツアン - この投稿者のレビュー一覧を見る
昔から躁鬱病と言っていた北杜夫氏。子供の頃は、どんな病気かもよくわからず、面白い作家程度にしか思っていなかったが、双極性躁鬱病の結果どんな生活を送ってきたのかがカミングアウトされ、ビックリ!確かに、北杜夫氏の言う通り、折に触れ躁鬱と言ってきたので、なんとなく世間でも認知されているかもしれない。もっとも、北杜夫氏と狐狸庵先生(遠藤周作)の場合には、どこまでが本当か分からないところもある。ユーモアのセンスたっぷりの両者。本当のことでも、マァものの見事にサラッと深刻にさせずに読ませてしまう。北杜夫氏は謙遜して劣った作家と言っているが、性等アンタッチャブルなものに手を染めず、ガップリと四つに組む正攻法で表現する純文学等素敵な作品で一息に読ませてしまう最高の作家のひとりだ。
本編は、「恐妻」となっているが、私には仲の良い夫婦に思えた。勿論、奥様やお嬢さんにすれば、大変だったかもしれないが、奥様への愛情に溢れている。この世代の男性は、素直に奥様のことを褒めたり愛情表現できる世代ではない。それでも、言葉の端々に愛情と感謝が滲み出ている。
あれこれと要らぬ修飾語や美辞麗句の無い北杜夫氏の巻末の言葉がストレートでよい。男はこうでなければ。
久々に北杜夫氏の作品を読んだが、やはり面白い。自然淘汰されるのは仕方がないが、こういう著者の本は、亡くなられてまだ50年も経っていないのだから今しばらく絶版にせず、文庫本で全作手に入るようにして欲しいものだ。
単に、売れればよいといった読みやすい軽い本を出すのはどうかと思う。北杜夫氏の作品は重たい内容も、必要以上に重くせずに読みやすく、しかもシッカリと心に残る作品だから、もっと文庫本で読んでみたい。
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