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『幼児教育の経済学』にも書いてあった、初期教育の充実による貧困への投資の費用対効果の高さが、表になっており、わかりやすかった。初期でなくとも、間に合う。教師一人一人が当事者意識を持って仕事に臨むことで、ある程度のことはできるはずだ。例えば、高校の場合、進路指導と、中学までの学習内容の確実な習得、そして、自己肯定感を存分に高めてあげることが大事だ。家庭科、保健、道徳。これは、貧困家庭の子どもにとって、生命線にも等しい。ここの部分について、国はもっと投資し、拡充すべきだと強く言いたい。
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貧困とは縁がなさそうな購読者層を抱える日本経済新聞社の社員が投資の観点から貧困問題を取り上げる一冊です。
本書の中で登場する母子家庭の為のシャアハウスを運営する企業の社長は云う。
『事業として成り立つモデルでなければ、長続きはしない。ひとり親を「助けよう」という気持ちが強すぎると、それは福祉の領域になる。』
投資とは未来のために今お金を使うこと。何かを解決するためにお金を使い方はいろいろあるが、こういうことがとても大事だと思う。
貧困ビジネスが弱者の為の公的扶助から収奪行為をするのとは対照的に、貧困を投資の観点から捉え、貧困を解決するためにビジネスを創造することはとても素晴らしいことだと思う。
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ニッポンの貧困 中川雅之著
「投資」で問題を解決する
2015/9/27 3:30 朝刊
このところ、「貧困」をテーマにした出版が相次いでいる。高齢者や子ども、非正規労働者など日本の至る所で貧困が目立つようになってきたためだ。普通に暮らしていたはずの人でも病気や失業などを機に簡単に生活苦に陥る。もう人ごとではない。なんとかしなければならない社会的課題であるとの認識が広がっている。
本書もそんな問題意識を持ち、住む場所がなくネットカフェで暮らす人、奨学金を返済できず自己破産してしまった人、子育てと仕事で疲弊するシングルマザーなどの姿を克明に描写する。ただ、丹念なルポならば、他にもある。そんな中で本書の意義は問題の解決にビジネスの手法が使えると説く点にある。
横須賀市では実の親が育てられない子どもの養子縁組を民間の資金で進める試行事業を実施中だ。縁組が成立すれば、子どもを児童養護施設に入れる必要がなくなり、行政経費が減る。その分を還元することによって、出資者が利益を得ることも可能になる。いわゆる「投資」が成り立つわけだ。欧米ではこのような手法が広がりつつある。
本書は「日経ビジネス」の特集記事などが基になっている。貧困とは一見関係のないビジネス人に現状を知ってもらい、行動を起こしてほしいという強い思いが伝わる。(日経BP社・1400円)
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著者は同世代なんだろうな、と思ったら8つも若かった。
すごいモノを読んだなというのが一番の感想。
全ての文がぐいぐい刺さってくる。
もしかしたら、日経の記者とはいえ、経済学系ではなく文学系の学部を出ている著者の経歴も関係するか。
著者は恐らく貧困とは無縁のエリート。
エリートが出来得る一番の貧困対策を模索したのだろう。
それは慈善でも憐れみでもない、投資だと。
全てが腑に落ちた。
特に教育費の面で、教育がギャンブルであるという指摘には激しく同意。
一面を照らしているだけであることを念頭に置いて、広く読まれるといいなと思う。
特にバフル世代より上の方々に。
さらに団塊より上の方々には、あなた方が目指したモノはこういう結果になりましたけどいかがですか、と問いたい。
結局は隣の芝は青く見えるし、過去は途方もなく美しく見えるから、人との繋がりが疎ましくなり、都会の生活が全てを解決してくれそうな気がした(高度成長期)結果今の密室ができ、それが行き過ぎて今度は寂しくなった(それが今)のでコミュニティーとか言われだしたりと、繰り返すモノなのだろうなと思う。
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気骨を感じさせるルポルタージュだ。書く姿勢と書かれた文章に清々(すがすが)しさがある。人としての正しい資質は、両手に抱えた荷物の重みに耐えるバランス感覚に現れる、というのが私の持論だ。中川は自ら重いテーマを掴んだ。
http://sessendo.blogspot.jp/2015/10/blog-post_82.html
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貧困とは解消しなければいけない。単に貧困によって浮くコストである費用、さらに本来得られるはずであった税金から考えても当たり前だ。この考え方が日経ビジネスで語られたことに意味がある。あまりにも貧困に同情的な視点で書かれるのではなく、日経ビジネスに掲載する、ジャーナリスティックに貧困という現状を見つめた姿勢がすごい。貴重な本。
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限られた財源を有効に使うためには、投資効率を考えた、福祉施策が必要だと感じる。公的福祉施策にも是非取り入れて欲しい。
また、生活保護の不正受給は問題だが、だからと言って本当に必要な人に保護の手が及ばないことがあってはならない。不正受給をあげつらって、生活保護自体の重要性を貶めるような報道はやめるべきだ!
この本が広く読まれることを期待したい。
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さすが日経「そうか、貧困って、自分には関係ないと思っていると足元をすくわれるのか!」と思わせる1冊。
ただ、観点が高すぎて今日から何をしようとはなれない、が、機会があれば常に意識しておこうと思わせる。
読ませる、見せるという意味でさすがの日経である。
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貧困についての統計データは様々あるが、本書でとりあげた「2014年の消費増税に合わせた低所得者層に1万円の特別給付の対象人数2400万人」は衝撃である。これは「住民税免除世帯」の人数であるのだが、日本の貧困層の一つの数字でもある。
こんな社会が持続可能なのだろうか?
いろいろ考えさせられるが暗い思いを持つばかりである。読後感はあまりよくない。
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日本における貧困は衣食住がままならないような「絶対的貧困」ではなく、「関係性の貧困」と言われている。
この本でインタビューを受けている人たちもその例に漏れず、親子関係が悪かったり、他に頼れる人たちがいないので貧しい暮らしをしている。
助け合える仲間がいれば実際、お金はそんなになくても生活していけるように思う。
単純に貧乏なことよりも、信頼できる人間が皆無っていうのはとてもおそろしいことだと感じた。
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非常に丁寧に調査・執筆された印象。あいりん地区やSIBの例にも触れていて、日経の読者層にどう訴えるか、試行錯誤されたのだろう。エリート層の人に感情論で訴えても、自己責任で終わってしまう。まずは問題を知ってもらう、さらには地域が没落したらエリート層の生活も成り立たなくなるという認識に立ってもらうにはどうしたらよいか。金だけでなく人のつながりを如何に作るかは、地方創生にも繋がる本質だと思う。
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貧困の具体例が多くて考えさせられた。が、いまだにこんな貧困層が日本に二割もいるというのが実感できない。貧困の記事をネットに載せて、ワンクリックで募金できるシステムとかあったらするんだけど。現状で自分に何ができるかはわからないままだ。