投稿元:
レビューを見る
谷川さん、17歳から詩を書いていたんだ。豊多摩高校の学生の時からだな。すごい。
谷川さんのお父さんは哲学者で法政大学の学長もやったのに、谷川さんは大学に進学しなかったんだ。
小説のほとんどは人間関係、そこに興味がないと小説は書けない。
投稿元:
レビューを見る
私の目は便利になんでも見よう、とするけれど
見えるものしか映さない。
谷川さんの詩のなかにいると
こんな目は必要じゃないような気さえしてくる。
>どこかで揺れているぶらんこ
>どこかで泣いているあかんぼ。
>どこかで傷ついている兵士。
それは目を閉じて出来た暗闇の外側。
光を無視して拵えた闇の向こうの明るい光。
よちよち、と手を引かれて
(詩、に手を引かれて)
ようやく出会える光が好きだ。
タイトルの『詩を書くという事』
ー日常と宇宙と
その言葉に込められた意味が良くわかる、谷川さんのおはなし。
投稿元:
レビューを見る
NHKBSプレミアム「100年インタビュー」の単行本化。
聞き手(石澤典夫アナウンサー)の上手さもあって、谷川俊太郎は、60年以上にわたる長い詩人としての過去を振り返りながら、率直に詩を巡る様々な思いを語っている。
「自分を空っぽにしていると、思いがけない言葉が入ってくる」という。意識に縛られないでいると、意識下にあるものに触れて詩が生まれる。知らない自分、自分ではない誰かが詩を生み出すとも言える。中原中也の詩群は「名辞以前」という場所から誕生したことが想起される。
人類が誕生し、言語が生まれ、やがて意味が生じたという過程を踏まえて、「宇宙っていうのは基本的に無意味なものだって僕は考えていて、それに人間が言語によって意味の衣を着せている」とも。言葉は、事物を<分ける>ことから発達し、過剰とも言える<意味>をまとってきたが、知らないうちに<無意味>を忘れてきたのかも知れない。
青い空の向こうの忘れ物・・・
社会的存在であるために意味という病に冒されつつあることに気付かされる。だから、谷川は、意味に囚われることなく、無意味(ナンセンス)と戯れる。「自分が<社会内存在>であると同時に<宇宙内存在>であるという二重性を生きている」という哲学的とさえ感じられる存在論に触れて、彼の詩を思い出した。
そして私はいつか
どこから来て
不意にこの芝生の上に立っていた
なすべきことはすべて
私の細胞が記憶していた
だから私は人間の形をし
幸せについて語りさえしたのだ
「芝生」
(『夜中に台所でぼくはきみに話しかけたかった』)
詩に何ができるのかという質問に、<詩情(ポエジー)>を持ち出し、「非常に過酷な現実に対しての詩情の力っていうものが、非常に微少な力だけれども、暴力、財力、権力という巨大な力に対抗する、ひとつの<よすが>になると考えているんですけどね」と答えている。この言葉は、現在を生きている詩人の証明のように思われる。そして、夏目漱石の『私の個人主義』という講演を思い出す。今から100年前に生きていた漱石は、学習院の若者に向かって、財力や権力に対抗するためには「自己本位」「個人主義」をもってせよと熱く語りかけていたのだった。
ここまで考えてきて、またひとつフェルナンド・ペソアの言葉も想い出してしまう。
「文学は、他の芸術と同様、人生がそれだけでは十分でないことの告白である」 『不穏の書、断章』
投稿元:
レビューを見る
2010年6月24日 NHK BS-hiにて放送された「100年インタビュー/詩人・谷川俊太郎」をもとに単行本化されたもの。聞き手は石澤典夫アナウンサー。
とにかく、読んでいて心地いい。谷川さんは心の奥深くを自由にしてくれる。癒された、とも違う、開放感。自由とはこういうことなのかな。
谷川さんのざっくばらんな語り口や自分に素直で正直な受け答えがどの質疑応答にも表れているからかな。本当に気持ちがいい。時に触れて、谷川さんの本を読みたいと改めて思った。
美しく、快くありたいという言葉も心に残った。
言葉を信用していないという谷川さんの考えが少し理解できた気がした。言葉は不自由、言葉に頼りすぎると苦しくなる。この世は意味と無意味の世界が補充し合ってる。ノンセンスや音楽が人間の体に直接訴える力。「わかる」とは「わける」ということ。そうなると矛盾やわからないことがこの世にはたくさんあるのに、怖くなったり無意味はダメみたいになっちゃう…泉谷さんの「普通がいいという病」で扱われた頭の役割のような部分と共通するものを感じてドキドキ。(まだまとまらないけれど、たくさんの気付き)
詩を書く時「自分が他の人と結びつきたい、つまり社会の中で何かしらの役割を持ちたい」という気持ちが強かった。だから「面白いもの、美しいものを書かなきゃ」というふうに思っていたとのこと。いいなぁ、そうありたいなぁと思った。
詩人としてのこれまで、生い立ち、詩の作り方、有名人やスタジオの聴衆との楽しい質疑応答、音楽と詩のコラボ、言葉や人間という大きなテーマについて…様々な話題を扱っていながらも、気負わないインタビュースタイルが楽しく読みやすく、さーっと読めてしまう。(けれど、とりこぼしたくないようなことが散りばめられていて、大切に読みたい一冊)また読みたい。
朗読した詩で心に残った詩
「生きる」…改めていい。生きたくなる。毎回魅かれる部分が違うが、やはり最後がいい。
「自己紹介」(70歳バージョン)…いつか私にも、こんな風に自分をさらけ出して気取らずに書ける日が来るのだろうか。自分を客観的にみる滑稽さ。悲しみより愛着がわく。韻を踏んでいて楽しく読んでしまう。
「昨日のしみ」…希望は自分でさがすだけ、の繰り返しにあぁとため息が漏れました。いい詩。
「さようなら」…この詩を自分が死ぬまでに本当に理解していたい。体と頭と心を考えるヒントになった。言葉なきものたちの仲間になろう、と死を抱きしめられるようになりたい。
投稿元:
レビューを見る
NHKのインタビューを本にしたもので、谷川さんと詩のあれこれについて、浅く広く知ることができる。意味と無意味がひしめく世界で、ノンセンスがいかに魅力的か、詩情がいかに大切か等、得られるものが多い。
谷川さんの詩集が欲しくなる。
投稿元:
レビューを見る
インタビューの文章化。番組自体を知らなかった。
その場にいたかったなー。朗読とか、ふるえるだろうなー。
ラストの2章くらいで持っていかれましたね。
「拒む」なんてそのとおりだなと。
投稿元:
レビューを見る
くだけた口調で内容がすっとはいってきます。
自分の外から言葉をひろうっていうのがとても印象的でした。
投稿元:
レビューを見る
詩を作る時に、詩は湯水のように湧いてくるのではなく、自分の外にある日本語の総体から言葉を拾ってくると云うのが印象的でした。出来るだけ自分を空っぽにすることで意識の表面にある言葉(決まり文句等)に縛られず思いがけない言葉が入ってくる。それはあらゆる言語経験が入り混じった、形として言葉になる前の朦朧とした意識下にある言葉で、そんな言葉で作られているからこそ谷川さんの詩は心地良く身体に浸透するのかもしれないと思いました。
投稿元:
レビューを見る
母親からの愛を惜しみなく受けて育ってきた詩人のインタビュー録。詩を書けなくて困ったことがない、などインタビュー中の発言の端々に天才感が出ている。それでいて謙虚で正しく、愛がある。宇宙内存在の自分と社会(?)内存在の自分…… きっと色んな詩人が彼に嫉妬して生きてきたのだと思う。
投稿元:
レビューを見る
谷川俊太郎さんの詩がとても好きで、特に「朝のリレー」は中学1年生の国語の教科書で出会って以来、ずっと心の中にある 大切な詩。
谷川俊太郎さん自身のことはあまり知らなかったけれど、この本を読んで 少し知れた気がする。とても正直で 素敵な かわいらしい人だな、と感じた。