紙の本
静かに沁みる中篇
2016/02/22 00:44
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
かにみそ色の表紙とポップなイラストに惹かれて買ってみました。ポップな表紙の割には落ち着いた書き味の中篇2つが収録されています。
人を食べる蟹と無気力な主人公の物語「かにみそ」はドライでポップな作風ですが、別れのシーンと結末の書き方が泣けます。食べることを通して生きることの尊さを感じる良作でした。ホラー大賞受賞作だけあって、よく練られた文章だと思いました。
孤独な大学生と妖しげな百合の花が登場する「百合の火葬」は幻想ホラー。どちらの作品もホラー色抑えめで、沁みました。
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「かにみそ」展開の飛躍がすごいのにばたばたすることなく、静かで不思議な雰囲気の胸にしみる感じの幻想譚に仕上がってます。蟹の妙にリアルでかわいらしい描写に引き込まれます。
「百合の火葬」も切ない話。好みではあるのだが少し冗長かなと感じた。
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評価されてるらしいけど、あんまり……かにみそってタイトルからして結末が読めてしまうから、残念。
百合の火葬も途中まではよかったけど、うーん。とりあえず、かにみそも百合の火葬もタイトルが微妙だと思う。百合の火葬って、なんでこのタイトルになっちゃったの?
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第20回日本ホラー小説大賞優秀賞受賞作。
『泣けるホラー』として単行本が出た時、そこそこ話題になっていたが、『泣ける』というよりは実は『良い話』系なんじゃないかと思う。オチは予想の範囲内だが、如何にも現代的な無気力タイプの主人公の造形は良かった。
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かにみそは主人公が彼女を殺すまでの流れがあっさりしすぎている感はありますが、全体としては成長物語系のいいお話。静かに進んでいく雰囲気ホラー。百合の火葬は未読。
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タイトルと装丁に思わず書店で3度見した。
この絵柄、表題、それなのに角川ホラー文庫。
なんという戦略、恐るべし。ギャップのオンパレードか。
中身は2編収録で、かにみそともう一編。ともに化け物が登場するタイプのホラー。
興味深いのは、じわじわと気味悪く内面に渦巻くのが、けしてモンスターへの恐怖ではないところ。
もちろん気味が悪いのは悪いのだけど、化け物自体よりもその周辺にいる人間たちの在り方にぞわりと鳥肌がたっていく。
泣ける物語というよりは、私の中では後味悪く内臓を蝕んでくれるような心地よさのあるものだった。
よい意味で狭い範囲の中でまとまった話。
しっかりと練りこまれたシナリオで、飽きがくる前に次の展開に飲まれてしまうので、短いながら満足感ある読み応えを感じる。
また、しっとりとした独特の書き味がまた幻想的で、素敵な奇談。
読了後だけでなく、読み進める間に考え込まされることも多く、時間をかけて夢中になれた。
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角川ホラー・カニとフリーター(ニート?パラサイトシングル?)の友情奇譚・カニの行動にヒヤヒヤする場面もあるが、総じてカニの愛情に満ちた言動で癒される・最後が切ない・泣けるホラーが理解できる
書き下ろしの「百合の火葬」は親子の関係を綴ったもの・怖いというより、不思議な感覚に引き込まれる
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『泣けるホラー』という触れ込みと、
タイトル&表紙の絵とのギャップが良かった。
私は泣くまでには至らなかったけど、
切ない気持ちになりました。
オチは想像通りだけど、それを含めても、
面白かったと思う。
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タイトルと表紙絵に胡散臭さを感じながらも敢えて読んでみる。本の中身は無気力に生きる青年が喋るカニを通じ、人として『脱皮』する話。『決心のきっかけは理屈ではなくていつだってこの胸の衝動から始まる。流されてしまうこと抵抗しながら生きるとは選択肢たった一つを選ぶこと。決心は自分から思ったそのまま…生きよう。』どっかの歌詞の様なオチではあるがどこか残酷でエロチックで不思議な友情奇譚は決して悪くはない。でもって何が一番ホラーか?というと、著者が女性だったという事を付け加えておこう。
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文庫本を購入。切ないホラーファンタジーのジャンルになるかな。海辺で拾った蟹を育てるうちに喋り出す。しかも賢い。生物原理に基づいて生きるために肉も食うようになり人間も食べ始めるのだが…最後は切ない展開で感傷に浸る余韻が残る。百合の火葬の話も切ない。百合の花が意思を持っていて、人間の記憶など吸い取り老化させてしまう不気味な話だが最後は自己解決で終わる。人間模様は切ない話である。
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かにみそは、怖いというよりは、救いを感じる。
不思議なお話だけど、蟹と主人公の絆が偽善すぎるほど美しいところも現実離れしててかえっていいと思う。
百合の火葬は、不思議すぎて頭が追いつかない…。結局、百合は人に何をもたらしたの?
ぼやけすぎたラストにもやもやした。
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人喰い蟹と、無気力青年のハートフルストーリー♡
人喰い蟹になったキッカケは主人公が衝動的に殺人を犯してしまった死体の処理から。。
証拠隠滅。とかではなく、、「蟹、これ食べるかな?」と、ただ思った事がキッカケ。。
それをキッカケに、蟹は人間狩りを始める。
ただ食欲を満たすために。。
主人公に全く共感は出来ない。
でも、蟹が、、めちゃ可愛い。。♡
これは表紙のイラストのせいだと思われる。
ここまで表紙のイラストに左右される作品もなかなか無いのでは??
これがもし、普通に怪物の蟹が描かれていたら?
それか、抽象的に濁されていたら?
可愛い。と思えたかどうか。。
いつの間にか、めっちゃ蟹に感情移入。
ラストは号泣。( T_T )
もう、泣く絵文字で表せない程ʬʬʬ
ものすごく泣きました。胸が痛くなるくらい。
本を読んで、ここまで泣いたことがあるかどうか??
それを職場で話したら、「どんな本?」と聞かれたので「人喰い蟹の話」と言ったら、
ヾ(ヽ0Д0)ェエエ工ー!!と驚かれた。
そうだよね(ノ∀`笑)
切ない系ホラーでホロリ(゜-Å)ホロリ
とか、聞いてたけれど、、そんなものではない私の感情移入っぷり!
だって蟹は悪くない。
生きていくため。食べるんだ。
あ、なんか寄生獣を思い出した。
寄生獣でも号泣したな私。。
もしかして、ちょっと変わってる??ʬʬʬ
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ホラーなのにこのイラスト、そしてこのタイトル!毎回見かけるたびに気になっていた。カニ可愛い。
読み進めるとどんどんカニが愛おしくなってくる。生きるために食べる。食べちゃいけないなら死ぬしかない。シンプルな発想だけど、友達のためになりたかったんだろうなと思うと切ないね。食べることもまた愛か。
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変なタイトルと、西島大介の可愛い表紙絵、そして「ホラー」という組み合わせの妙で、つい読んでしまった。
蟹が人を食べ始めると、タイトルから結末は見えるので、驚きはないし、別に「泣ける」こともないが、蟹のキャラクターが、ごく普通の人間の青年という感じで、なかなか面白かった。「喧嘩両成敗」って、食欲に負けたくせに、かっこつけちゃって。
この作品だけなら、たまたま上手く書けたのかもという気がしないでもないが、「百合の火葬」を読むと、人間描写も構成力もちゃんとあることがわかる。こちらの方が好感が持てた。
特に好きでもないし、人にも薦めないけど、読みやすく、時間つぶしには良い。
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とても面白かったです。
切なくなるホラーでした。
体の大きさを自在に変えて、人を食べる、喋る蟹と主人公の日々「かにみそ」。
蟹めっちゃいいやつで、無気力な主人公がどんどん「生きよう」という方向へ変わっていくのが蟹のおかげというのが切なくて…
蟹との別れが悲しかったです。蟹が「体が必要としてるものってね、甘いんだよ」と言った通り、蟹はすごく甘かったんだろうな。
「百合の火葬」の方が怖かったです。
群生している白い百合と、その側で自失している人たちを想像するとゾッとします。
蟹は怒ってる人を食べたくなり、百合は悲しい記憶を吸う。
切ないけれど、とても好きな空気のお話でした。
「ねぇ、寒いとさみしいってきっと語源が一緒だよね」