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組織に属さず、ヤクザのような「暗黙のルール」もない無法の集団「半グレ」――。半グレはどこからきてどこに棲み、なにを資金源としているのか。だれも書けない現代社会最大の暗部に鋭く斬り込む巨匠・溝口敦の傑作ルポが新装版で待望の登場!
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暴対法の影響で没落しつつある暴力団と、その間隙を縫って台頭してきた新興勢力の半グレについて綴った一冊。
2011年著ということで、昨今の山口組分裂などには当然ながら触れていないが、裏社会の力関係を知ることができた。
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レビュー企画でお送りいただきました。溝口さんの歳を知ってびっくりなのですが。定義がないために見えないところで拡がり続ける半グレ。そして暴力団の現状と、これからの展望。
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半グレが大きな社会問題になっている。半グレは振り込め詐欺や危険ドラッグ、凄惨な暴力事件、タカリなど市民生活を市民生活を地獄に陥れる犯罪の主役になった。危険ドラッグなどの薬物は思考能力や倫理観を減衰させ、犯罪に手を染めさせることにも使われる。
半グレの半は正真正銘の暴力団構成員ではない半端者という意味である。半グレという言葉から悪質さが半分と考えることは誤りである。暴力団構成員ではないということに過ぎず、悪質さの点では真っ黒である。半グレはヤクザのような「暗黙のルール」もない無法集団である。
「「半グレ」は半グレに非ず。彼らは「グレグレ」「全グレ」であり、れっきとした犯罪・非行的集団である」(廣末登「「半グレ」は半グレに非ず。彼らは「グレグレ」「全グレ」であり、れっきとした犯罪・非行的集団である」JBpress 2019年12月4日)
半グレの手口は卑怯である。情報収集した項目で挑発する、噂を流し炎上させる、嫌がらせを他人の仕業に見せかける。明らかに半グレの執念は異様である。それほど勤労意欲あるなら消費者に価値を提供する仕事でもすればいいと考えるが、そのような民間感覚は欠如している。
半グレの卑怯な手口は市川海老蔵事件や桶川ストーカー殺人事件で見られた。桶川ストーカー殺人事件当時は半グレという言葉はなかったが、半グレ犯罪の出発点と言える。桶川ストーカー殺人事件は埼玉県警の対応が批判された。半グレ側の主張を鵜呑みにする埼玉県警の対応に問題があった。警察が半グレに利用された結果である。
半グレは表世界にも食い込む点が悪質である。警察を使って被害者と加害者を逆転させ、示談を強要する。チンコロを恥とするヤクザの美学をもたない。目的のためならば手段を選ばない卑怯さがある。警察機構が暴力団等の領域に侵食し、政治家がフィクサー(司法外の調停者)役になるとの悲観的な予想がある(溝口敦『新装版 ヤクザ崩壊 半グレ勃興 地殻変動する日本組織犯罪地図』講談社、2015年)。現実に沖縄の半グレ集団のリーダーが国会議員にも食い込んでいると報道された(「今井絵理子議員 沖縄半グレリーダー疑惑男性との写真流出」NEWSポストセブン2019年12月5日)。