紙の本
豊かさと格差拡大の同時進行
2017/02/13 16:56
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投稿者:ルイージ - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカにおける「GDPは増えているのに格差は広がっている」実態について経済的に語っている本。原書は2014年初頭に出たものだけど、ある意味ではトランプ氏のような大統領が当選する経済的な素地について予言している書とも言える。イノベーションがもたらす雇用との関係などが描かれている。
紙の本
AI時代を生きる
2019/11/12 01:29
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投稿者:コアラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
いわゆるセカンドマシンエイジの脅威と対処法(主に脅威)を丁寧に分析した良書。ファーストマシンエイジが肉体労働を置換えるものであったのに対して,この度にロボットは知的労働を置換えるものだ。したがって事態は深刻だ…,ってほんとうにそう?それは,この手の本の読者が知識労働者だからそう言っているだけで,肉体労働がロボットに置き換えられたときだってたいへんだったし,今でも肉体労働しかできない人にとってはたいへんだ。肉体労働から解放されて,ヒューマニスティックでクリエイティブな活動に専念できる?世の中にはクリエイティブな仕事なんかしたくなくて,何も考えずに黙々と働き5時を過ぎたらビールを飲んで騒いで寝てしまいたい人だっているのだ。そういう意味では,「鼻持ちならない大卒が困っていい気味だ」といえなくもない。大卒も高卒も,みんな平等に失業してよかったね。
紙の本
こんな時代が本当に来るとは
2015/11/09 05:12
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投稿者:シンジー - この投稿者のレビュー一覧を見る
人が考えて行動することがコンピュータにもできる。ただ、人間にしかできないこともある。この辺りの見極めが大事だと感じた。
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モラベックのパラドックス ごく初歩的な運動知覚スキルの習得には膨大な能力を費やすこと
ブライアンアーサー なにかを発見するとは、すでに存在するものの中から見つけ出すことである
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「機械との競争」とほぼ同じ内容ではあるが大幅に加筆されており読みやすい。読むべき価値のある本だし、今選ぶならこちらだろう。
・産業革命は機械の力を生産に利用するためのファーストマシンエイジの幕開けであった。今、時代はセカントマシンエイジの入り口にある。
セカンドマシンエイジには指数関数的な高性能化、デジタル化、組み合わせ型イノベーションという特徴がある。
指数関数的な高性能化はムーアの法則に代表されるが、CPUのみならず記憶装置やネットワークなど全てがそう。これまでこのような増加を続けた分野はない(飛行機の速度や小麦の収穫量などが18ヶ月ごとに倍になることはなかった)。イノベーションは全く新しいことを発明するのでなく、既存のものの新しい組み合わせであるが、デジタル化はこれを容易にする。
・今後は物的資本を蓄積してきたもの(資本家)、人的資本を蓄積してきたもの(高スキルの労働者)、スーパースター(特別な才能に恵まれたもの)に勝ちがかたよる
・定型的な仕事は機械にとってかわられるだろう。非定型な仕事は肉体労働も非肉体労働も今後とも需要は堅調だろう。ただし、非定型な仕事であったも介護職や庭師など肉体労働の分野には機械に職を奪われた層が移動してくる。そのため、人間同士の争いが熾烈になる。
・これまでの市場では輸送コストや供給面の制約から、最高の商品といえども市場の一部しか満足させられなかったが、デジタル化により複製が容易になったため、セカンドベストはお呼びでなくなった。価格も大幅に下るため「ちょっと質は落ちるが安い」という手も使えなくなる。ベストの者が限りなくゼロに近い限界費用を活かし、勝者総取りになるの傾向が強まった。ネットワーク化もこれに拍車をかけている。フェイスブックを使っている人が多ければ、新しくSNSを始める人もフェイスブックを選ぶ。
・世の中の所得分布はこれまでのように正規分布から外れてきて、べき分布になっている。とりわけ高所得層の世界はべき分布によく当てはまる。正規分布の時代には少しでも能力差があれば、少しでも給与の違いとして反映されたが、べき分布の時代には教育だけで違いを生み出すことはできない。
機械が高度に発展した時代には、必ずしも人間が仕事をする必要はないのかもしれない。と、いうことでベーシック・インカムについても検討されているが、これはヴォルテールのことばにある「労働は、人間を人生の三悪、すなわち退屈、悪徳、困窮から救ってくれる」という中の困窮には効果があるが、他には効き目がない。おそれくこれは人間を怠惰にし、治安を悪くさせるだろう、ということで負の所得税が勧められている。
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現在、話題になっている自動車の自動運転は経済学者が2004年の著書「新しい分業」でコンピューターには無理が仕事を判断したそうである。この例が示すように、コンピューターが予想を超えたペースで人間の能力を超えてきてる状況を筆者は「第ニ機械時代」と呼んでいる。筆者によると現在はその「第二機械時代」のほんの序章に過ぎないとして、その根拠として、指数関数的な高性能化、デジタル化、組合せ型イノベーションの3つの特徴に裏付けられているとしている。その影響は経済的、政治的に計り知れないものであり、企業経営者、政治家を含むリーダーが状況を的確に認識し、政策を実施すべきであり、そのための提言も行っている。より多くの人々が読むべき書であると思う。
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この一冊ザ・セカンド・マシン・エイジ E・ブリニョルフソン、A・マカフィー著 デジタルによる大転換期を展望
2015/9/20付日本経済新聞 朝刊
現在、世界で進みつつある技術進歩は、どのような性質を持ち、経済社会と人々の生活にどのような影響を与えるのか。これが本書のテーマである。
著者たちはこの問いに明快な答えを与えている。第1に、近年の技術進歩は、コンピューターと関連機器の指数関数的な高性能化、デジタル化、組み合わせ型イノベーションという3つの特徴を持つ。そして3つの特徴が結びつくことによって、現在の世界は「セカンド・マシン・エイジ」を迎えつつある。セカンド・マシン・エイジとは、蒸気機関の発明と普及によって19世紀に到来した第1の機械化時代に次ぐ、第2の機械化時代を意味する。
本書によれば、今日、世界は19世紀の産業革命に匹敵する経済社会の大転換期を迎えている。コンピューターを基盤とするデジタル技術は、蒸気機関や電力と同様に、様々な分野に使用される「汎用技術」であり、経済社会に広範で大きな影響を及ぼす。産業革命が定型的、肉体的労働を機械で代替する出発点となったのに対し、セカンド・マシン・エイジには定型的な知的労働も機械に代替される。
第2に、こうした技術進歩は、マクロ的に見ると経済に望ましい影響を与える。経済成長の本質的な原動力は広い意味での技術進歩であり、技術進歩がなければ労働者1人当たりの産出は長期的な定常状態では一定となる。デジタル技術の発展は、持続的な成長を可能にする。
しかし第3に、ミクロ的に見ると、デジタル技術の発展は必ずしも望ましくない含意を持つ。定型的な知的労働も機械に代替され、人々の雇用機会が失われる。本書は近年の米国で観察される「雇用なき景気回復」をその兆候と見る。一方で技術進歩と補完性を持つ特定の才能・技能や資本を持つ人々の所得が大幅に上昇し、格差が拡大する。
これらの論点は、著者たち自身によるものを含め、多くの実証研究によって裏付けられており、論点の多くは、このテーマに詳しい読者には必ずしも新規なものではないかもしれない。しかしそれだけに本書の記述は、高い説得力を持っている。
一般の読者にとっては経済学と経済史の分野で蓄積されてきた関連する実証研究についてのすぐれた道案内となっている。また、最後の部分で述べられている技術進歩に対応するための個人への提言と政策提言は、これからセカンド・マシン・エイジを本格的に迎えるべき日本で、政策当局者を含む多くの読者にとって有用である。
原題=THE SECOND MACHINE AGE
(村井章子訳、日経BP社・2200円)
▼ブリニョルフソン氏は米MITスローンスクール教授。マカフィー氏は同校とデジタルビジネス研究センター主任研究員。
《評》東京大学教授 岡崎 哲二
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センセーショナルなパンフレットであった『機械との競争』の続編。事例をアップデートし、さまざまな提言につないでいる。
デザイン業界的には、レイナー・バンハムの『第一機械時代の理論とデザイン』を想起するタイトルだ。バンハムは第一機械時代を産業革命から自動車の時代ぐらいとしていて、生活家電の時代を第二機械時代としている。
本書は蒸気機械の実用化に始まる産業革命からをファーストマシンエイジとし、デジタル・コンピュータの発明を画期としてセカンドマシンエイジとする。
バンハムが『理論とデザイン』としていたのに合わせるなら、こちらは『第二機械時代の労働とデザイン』となるだろうか。
狭義のスタイリング的なデザインの話題はほとんどないけれども、事例に沿って具体的に展開していく、労働や雇用、格差を巡る政治や経済の話題は、これからの我々の価値観の再編成を問うものであり、「デザイン」の問題にほかならない。
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「機械との競争」の続編にあたる本書、前著ではテクノロジーの進化は雇用を減少させ所得格差を拡大させている。そしてその指数関数的な進化は今後、良い面、悪い面を含めてより一層の大きな変化をもたらすと説き未来への警鐘を鳴らしていましたが、楽観的に考えを変えて書き直したように感じる本書です。
タイトルの「ザ・セカンド・マシン・エイジ」もエネルギーを自由に操れるようになった産業革命後の時代を「ザ・ファースト・マシン・エイジ」として、かつて人間の肉体的パワーを機械に代替させたように今度は頭脳パワーを代替させるとしてのネーミングです。
現在進行中のテクノロジーの事例を紹介し、その後の格差などの経済の動きを考察し、前回同様政策提言などを行うも、教育、起業支援、科学振興、インフラ整備、税制や公共事業などは月並み、結局は個々に考えを変えていくしかないようです。
GDPの限界という章で、無料のモノやサービスの氾濫はユーザにとってはありがたいが、その分だけGDPは減るとの論考はとても興味深い、ある意味これも労働者が回りまわって自分の首を絞めている構図と言えなくも無い。
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蒸気機関が馬の仕事を奪ったように、コンピュータが人間の仕事を奪うのか?
最近特に興味を持っているテーマなので読んでみました。
同じく興味を持っている人にはおすすめの本です。
本書では、肉体労働が機械に置き換わった産業革命を「ファーストマシンエイジ」、知的労働がコンピュータに置き換わる近い将来を「セカンドマシンエイジ」として、セカンドマシンエイジではどんな世界(経済など)になっているかについて言及しています。
・生活の豊かさは現在のGDPや生産性統計では計れなくなる
・定型的な仕事は肉体労働、知的労働によらず激減
・否定型的な知的労働(アナリストなど)、肉体労働(美容院など)は増加
・勝者総取り市場の増加
・標準分布(一億総中流)からべき分布へ
<個人への提言>
・人間の比較優位性を探せ(発想、認知、コミュニケーション能力)
・教育の見直し。読み書き数学から発想力、パターン認識能力、高度な
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人工知能の実用化など、IT革命が”シンギュラリティ”に入りつつある今日を、18世紀の産業革命に続く「第二機械時代」と位置づけ、そこに内在する”機会と脅威”を解き明かした一冊。
「第二機械時代」では、「ムーアの法則」に従って指数関数的に進化するコンピュータ技術と、低コストで無限に複製可能なデジタル技術がネットワークを通じて融合し、これまでにない高度で多様な組み合わせ型イノベーションが生み出され、社会に新たな価値をもたらすが、それらは情報経済や非貨幣経済といった従来のGDPだけでは捉えきれない動きでもあり、また高スキル労働者や資本家などに富が集中する「勝者総取り」によって、格差を助長する構造を孕んでいるという。
組織が自動化できる仕事を全て機械に任せた後の個人は、豊かな発想力やパターン認識、複雑なコミュニケーションといった人間固有の能力を活かして「機械と共存する」ことが求められる。同時に税制や教育によって格差拡大を防止することも重要であり、様々な政策が提言される。前著「機械との競争」と同様、著者の目線は基本的に「楽観論」であるが、そのための”条件”は厳しい。「運命を決めるのはテクノロジーではない、私たちだ」という結びの一文が、重たく響く。
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産業革命によって扉が開いた蒸気機関、内燃機関などの"First machine age"に続くコンピューティングの"Second machine age"。自動化が進むこの時代における人間の教育・働き方、経済政策など、幅広い分野への示唆に富んだ1冊。
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AIと経済社会に関する本。
ファーストマシンエイジ(=蒸気機関)と匹敵する大変革をセカンドマインエイジ(=IT、AI)が起こすとの論拠を具体的な例を多数含めて説明している。
AI関連で一番参考になる。
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産業革命の次の革命が始まっている。労働の機械化によって富の二極化・スキルの二極化が進んで、今後どうしていこうかねというお話。機械化は不幸なことだけでなく、GDPに出てこない富が沢山生まれているなど、色々学ぶことが多かった。
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エリックブリュニュルフソンの本は本当にいい。インタンジブルアセットも良かったが、これも良かった。
マシンに人間はどんどん敗北していく。そのうちマトリックスのように機械に養われる時代がくるかもしれない。最近はそういうSF的未来予想の方がありきたりかもしれない。
エリック先生は、マシン(機械化・自動化)がこれからもっと指数関数的に進み、その様相は自身でも分からないと断りつつも、コンピュータと人間のチェス勝負を事例に、うまく機械との協働ができる人間が勝ち残ると予想している。
これってすごい勇気もらえますよね。