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紙の本
疑問がいくつか…
2016/04/11 11:47
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:藤枝 雅 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この小説は、主人公神泉寺駿一郎の経験をもとに書かれた「花窗玻璃」を中心とした入籠構造の作品であり、プロローグおよび途中の駿一郎と叔父海埜の会話を交えて展開していく。
「花窗玻璃」の中で起こった2人の死、これらにはどのような繋がりがあり、一体どのようにして犯行を行ったのか、そして犯人は?
これに関してはシャガールの絵画やレーニの絵画などを伏線としながら見事に犯行動機や方法に収束させていく手法は見事であり、一読に値するであろう。
しかし、疑問もいくつか存在する。…ま、私の読解力が低いせいで理解できていないだけかもしれないが…
1つ目の疑問は、叔父海埜と駿一郎の会話において提示されたことは、一体どういう意味があったのかということである。駿一郎が叔父海埜に「包丁を研いだ」と伝えたことや「拳銃はどこにあるのか」と確認したことは何だったのだろうか?実際、海埜もそのことに疑問を感じている。それに対する解答となるべき箇所が存在していないこと、これが消化不良である。
2つ目は197ページの「酩酊感」に関してである。「花窗玻璃」の中で駿一郎が経験した酩酊感は、ネタバレできないので細かくは書かないが、理由があった。だが、海埜との会話では、文章を読んだことによる酩酊感としている。そのような酩酊感を感じるようにランス大聖堂を描写したとしているが、駿一郎の経験とは異なる。だが、駿一郎は「ステンドグラスを見たことによる被害者」としての追体験をするためと解説しているのだが…これは鈴木光司「らせん」における手法のように、読者にすくなからず恐怖を感じさせるためなのだろうか?
理由の異なる酩酊感を提示した意味が不明である。
最後は、256ページにある「瑕瑾」の表記である。駿一郎は、漢字での表記に拘りを持っている。だからこそシャガールも何もかも漢字で表記している。だが、『日本国語大辞典』によると「『瑕』は玉のきず、『釁』は透き間。美しい玉の井の『瑾』を当てるのは本来誤用であるが、慣用化されている。」とある。漢字に強い拘りを持つ駿一郎が、慣用化されているとはいえ、誤用である「瑕瑾」を用いるのには疑問が残る。もしここに意味があるのなら、それを知りたい。
以上の点から減点し、評価は限りなく4点に近い3点で。
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