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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
SFにしては、妙にリアリティがありました。無料のかわりの不自由さと様々な義務と。北朝鮮やロシアの体制を、極端にしたらこうなりそうで……。ラストは、まだ書けそうな終わり方なので、続編を、期待しましょう
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視覚、聴覚、位置情報など全ての個人情報を提供する代わりに、生活が保障された実験都市に適応できない人々を描いた近未来SF。
一貫した行動をとる人の情報を価値があるとし、各人に最適化した情報提供をすることで、人の行動範囲が狭まりリスク想定機能である想像力が弱まっていくとしたところは良かった。
終盤のエピソードがあまり良くないのと、この仕組みだとシステムが広がっていく段階で資金源がなくなる気がする。
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魅力的な登場人物が出てこなくて、読んでて楽しいテーマでもないんだけど、続きが気になる不思議な作りだったな。
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自分の情報を切り売りして生活できる未来のお話。
解説にあるGoogleよりはLINEや各種の無料サービスのほうが近いのかなぁと。(GoogleのGmailやSNSも無料サービスではある)
SFじゃないけど、現代も企業が無料サービスを提供しているわけで、タダだと思ってるけど下手すると個人情報、そうでなくても行動情報やらなんやらで企業は利益を得ているはずだ。国家の場合は税金からサービスを為している。
本当に無料のシステムなんてないのだ。
ただ、国家ではなく企業が、個人の情報を得る代わりに個人に利益を与えるビジネスモデルって、この社会で成り立つんだろうか。実験ベースならわかるんだけどね。国家ベースならディストピアものになるんだろうなぁとか。
犯罪を未然に防ぐための考え方は、アニメのサイコパスの犯罪係数と同じ発想なのだが、あれは事件にフォーカスを当てたのに対し、こちらはシステムにフォーカスが当たっていて面白い。
この話が地味だなぁと思ったら、設定は示されるんだけれども、その中のドラマが小粒なのかもしれない。
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近未来のアメリカを舞台にして、個人情報をすべてさらけだして、安全をえる社会の悲劇っぽい話。と書きながら実は内容がほとんどわからなかった。最後の方は宗教も絡んで、まったくわからなくなった。なんとかSF大賞らしい。僕にはわからん。
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第三回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作。最後に選評が掲載されている。神林氏の選評は本書だけでなく選考作にとって厳しいなぁと思ったけれども、本書を読んで、まぁ、そうかなと思う内容。選考委員の東氏は「本作の空気はバラードの「コカイン・ナイト」や「千年紀の民」を連想させたが、バラードは変態を描くのが巧かった」としている。そちらも読んでみようかな。
いわゆるディストピア小説。一九八四年、サイコパス、すばらしい新世界とか。
個人情報を切り売りすると生計が立てられるというのはもう少し詳しく書いてほしかった。切り売りした個人情報で企業はどのように収益を上げるんだろう?
物語のオチがイマイチな感じなので続きが読みたい作品。
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"SF"を読もうと思い手にとった一冊。出だしはまるで映画を見ているようなワクワク感で、映像化されたらどんな感じかなと想像しながら読んだ。
内容は…連作短編なんだね。
この世界を描き出すなら、この形がよいのだろうけど、主人公をつくってこの世界でどう生きるのかドラマを見たかった気がする。
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精神病理としてのアプローチになるのかー。ちょっと驚いた。
見られていること、ひたすら見ていること、考えることを任せていることつまり放棄すること、放棄するひとびとを救おうとすること、というような章立て。面白く読んだ。
マイナンバー制度とは比べるべくもないレベルの話ではあったけれど、今後の社会のあり様も考えさせようとしているのはありありと伝わる。まあ、なる様になるのでしょう。(考え放棄
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近未来のサンフランシスコが舞台のハードSF小説。テクノロジーの進歩がもたらしたユートピアのはずの人工都市で苦しむ人々の様子に考えさせられる。でもこれは決してSF小説の中の絵空事ではない。人類がAIの言うことに理由も考えず従うようになる未来はいよいよ現実的なものになってきていると思う。
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伊藤計劃の「ハーモニー」とアニメ「PYCHO-PASS」を彷彿させる。やはり、両作品の影響があるのだろうか。
あと、Facebookの騒動が思い起こされる。
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短篇で、色々な角度からユートロニカの姿を描く
終わり方は、古い思想と新しい概念の融合による救いなのかもしれないし、新しさの受容ができない人は古い思想の残骸に頼るしかないという当然の答えなのかもしれない
もう少し書き込んで欲しかった気もするけれど、クリアで乾いた読後感が心地良い
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GAFAを想定させる会社にすべての個人情報を売り、監視させることで自由、報酬を得る社会を描いたSF連作短編集。
世界観とそこに悩む人々の心情が良く描けていると思いますが、主人公がそれぞれ異なる連作短編で、作者が描きたいことは理解できるのですが、人間がやや薄い印象を受けました。
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進化する機械、即ちAIに様々な危惧を抱く風潮があるけれど、それを扱うヒトの心はどうなるかという声は聞かれない。
高度に進化したAIによってあぶりだされる犯罪を犯す「かもしれない」可能性。それを信じたヒトが、犯罪を犯さない「かもしれない」可能性を殺す。
ヒトの心理における揺らぎのようなものを制限し、方向づけてしまいかねない指標をAIは提出し、ヒトはそれを使って自らを固く縛っていく。
どれほど便利なものであろうともそれは全て道具であり、使う者の心が問われる。
自律的であり、自由であり、健やかであることに、ヒトはどこまで向き合えるだろうか。
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アガスティアリゾート
マイン社が運営するサンフランシスコ沖合の特別提携地区。そこは住人が自らの個人情報(視覚や聴覚、位置情報などのすべて)への無制限アクセスを許可する代わりに、基礎保険によって生活全般が高水準で保証される。
しかし、大多数の個人情報が自発的に共有化された理想の街での幸福な暮らしには、光と影があった。
リゾート内で幻覚に悩む若い夫婦、潜在的犯罪性向により強制退去させられる男、都市へのテロルを試みる日本人留学生。
SFの新世代を担う俊英が、圧倒的リアルさで抉りだした6つの物語。
そして高度情報管理社会に現れる【永遠の静寂(ユートロニカ)】とは。
第3回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作
(あらすじより)
十二国記後、すっかり冷めてしまった読書熱。
ようやく回復してきた!
1ヶ月くらい風邪も引いてたし…
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少し心が辛くなるような話が多いが、テーマ性が強く、非常に面白かった。マイン社の技術やアガスティア・リゾートを中核として、様々な登場人物の視点から、多面的に描写していく。キャラクター同士の交錯、そして時代の進行とともに変遷していく世論の描き方が面白かった。
特に、ゆっくりと浸透していく技術や作中で描写された世論にはリアリティがあって、世界の前提からして違うハーモニーと比べるのはナンセンスかも知れないが、実際に意識の消失が起こるならこういう風になるのかもと思った。
派手さはないけど、扱うテーマは面白く、情報端末が広く普及した現代だからこそ、身に迫るものを感じた。
もう少し、SNSを通じた意見の発信(とりわけドーフマンが批判されたときとか)を取り入れるとより地続き感が強まったようにも思う。ただここは、意識して省いたのかもしれないし、あまり決定的に評価が変わる部分でもない。
SFコンテストの選評がついているのも、個人的には面白かった。