紙の本
統計力学からエントロピーを導き出したボルツマンの原理を非常に分かりやすく解説した一冊です!
2020/02/22 11:57
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、統計力学からエントロピーを導き出したボルツマンの原理について大変分かり易く、丁寧に解説した科学書です。エントロピーと言えば、難解な数学分野の代表であり、またその基礎ともなっている熱力学と統計力学も物理学分野では、なんとも分かりにくい代表格です。同書では、その分かりにくい分野を徹底的に簡潔に解説してくれる画期的な一冊なのです。構成も「第1章 天を目指す人々」、「第2章 夢のエンジン」、「第3章 エントロピーって何だ?」、「第4章 気体分子運動論――ミクロの世界で何が起こっているのか」、「第5章 統計力学の世界へ」、「第6章 ボルツマンの原理――統計力学の中核へ」と読みやすく、興味深いテーマで語られるので、非常によくわかるものとなっています。
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授業の復習のために購入。210ページ(本編)で熱力学~統計力学のエッセンスを取り出しながら、最終的に、Boltzmannの原理を導出する。もう少し具体的に言うと、古典熱・統計力学におけるボイル・シャルルの法則から状態方程式、熱力学の3法則やエントロピーを扱い、気体分子運動論による統計力学に入っていく。
タイトルにもあるように、高校数学で基本的には構成されている。もちろん偏微分や1周積分など高校の分野を超えた記法もあるが、簡単な解説を付記してから書いてあるので、読む上では問題はない。が、やはり数Ⅰ・A・Ⅱ・Bのエッセンスを理解していないと、読むには少し厳しいだろう。
理系高校生が少し背伸びして熱・統計力学を学ぶためか理系大学生が授業の理解補助のために使うのがベストだと思う。
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[ 内容 ]
熱力学と統計力学は、重要な物理学の分野です。
しかし「ちゃんと理解していない分野」の代表でもあります。
定義は簡単だけれど、もうひとつよく解からないエントロピー。
統計力学からエントロピーを導いたボルツマンの原理。
どことなく違和感を感じていた熱力学と統計力学を、納得して理解できるように解説します。
[ 目次 ]
第1章 天を目指す人々
第2章 夢のエンジン
第3章 エントロピーって何だ?
第4章 気体分子運動論-ミクロの世界で何が起こっているのか
第5章 統計力学の世界へ
第6章 ボルツマンの原理-統計力学の中核へ
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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熱・統計力学の入門として適した本。
特に熱力学は計算が丁寧なうえ分かりやすい例も多く、熱力学の実践的な理解に非常に役立った。
また、統計力学の等確率の原理やボーズアインシュタイン凝縮の説明はとても理解しやすかった。
しかし、エントロピーの概念や統計力学の分布関数の導入に関しては記述が少ない。
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1977年にノーベル賞を受賞した理論物理学者アンダーソンのことばが
More is different
であるそうだが、ド素人がこのようなものを理解するには、自分のなかでdifferentを起こすくらいの勢いの量の知識が必用に成ると思われる。また、このことばはその他物理以外のことでも言えそうな感じがする。物理以外のものでも質的転換が為されるほどの知識を貯えていきたいと思う。また社会全体にもあてはまるのであれば、インターネットで情報、知識が今まで以上にある世の中なので、何らかの質的変換があると期待したい。
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数式を使わない入門書はどこか薄っぺらいが、本書は高校数学という道具を駆使して、学問の醍醐味を味合わせてくれる。
以下、復習
・シャルルの法則:絶対零度の発見。気体の体積は温度に比例する。
・PV=RT:ボイル・シャルルの法則
・アボガドロ定数:6.02x10^23個:=の原子の質量=原子量(g)
・空気中の酸素濃度は21%だが、これが18%になると酸素欠乏症になる。
・エネルギー保存則:熱力学の第1法則
・内部エネルギー=重心の運動エネルギー+回転エネルギー+振動エネルギー
・不可逆過程or熱は温度の高いところから低いところへ流れる:熱力学の第二法則
・自由エネルギー(ヘルムホルツFとギブズG)の最小の原理:等温等積ではFが最小が平衡条件、等温等圧ではGが最小が平衡条件
・E=3/2*RT:気体分子運動論と熱エネルギー力学を結ぶ式
・温度:=理想気体においては、温度は分子1個の平均エネルギーに対応する
・分子の存在の立証:アインシュタインのブラウン運動(これは思考実験だった)
・マクスウェル・ボルツマン分布:N(i)=C*exp(-E(i)/kb*T)
・4Heはボーズ粒子で、3Heはフェルミ粒子!
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「PV=nRT が出てきて懐かし〜!」と思いながら読み始めた。
アボガドロ数の解説の段落に
酸素欠乏環境に入る → 呼吸中枢からあくび指令が出る → あくびによって酸素以外を取り込みさらに酸素欠乏に陥いる → 酸欠死
って連鎖の解説があるのにビックリ。
そっかぁ、窒素事故とか一酸化中毒等の事故現場には無闇に飛び込むと二次災害になるのねぇ。
定積比熱と定圧比熱と気体定数の間の関係性の数式展開は読んでてちょっと感動した。 (^.^;;;)
しかし、高校の時に状態方程式習った時は「ふ〜ん」で済ませてたのは勿体無いことした。
多分ここら辺も習ってたんだろうなぁ...(って、歳行ってからぢゃないと気がつかんことかも
また、エントロピー、気体分子運動論って面白いし、ボース・アインシュタイン凝縮の一例に液体ヘリウムの超流動があるのは知らなかった。
そして、本書のタイトル「ボルツマンの原理」は「統計力学の場合の数」と「熱力学のエントロピー」の関係式であり、ボルツマンの原理を求める章での説明に「自由エネルギーの統計力学的表現」って表現が出てきて、数式変形によってその説明がなされるのは感動的。
物理っておもしろい。
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具体例を挙げたり数学の丁寧な解説を加えながら、易しく丁寧に熱力学と統計力学を説明していく。計算の省略がある処は実際に計算してみると良いと思う。本書の内容は主に、1章は理想気体の状態方程式、2章はカルノーサイクル(第1法則が登場)、3章はエントロピー(第2法則が登場)、4章は気体分子運動論、5章はボルツマン分布、フェルミ・ディラック分布、ボース・アインシュタイン分布、6章はボルツマンの原理。1~3章は熱力学、4~6章は統計力学。
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なんとなくエントロピーという言葉が気になっていてよくわからなかったのとポパーさんが自伝でボルツマンの原理は美しいと仰っていたので、数学はよくわからないのだが怖いもの見たさで読んでみた。
偏微分や対数の積分やイタリックのe(自然対数の底)なんかも出てきて往生したけど、文系の想像力でもなんとか補えるぐらいに要領のいい説明でなんとなくわかったような気にはなれるような気がした。
とは言ううもののやはりキッチリとはわからない。
有名なエントロピー増大の法則は、熱いものは冷める。とか不可逆的である。とかいう意味なのかなぁと思った。
Mahalo
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高校数学で大学の学部レベルの物理を解説してくれるこのシリーズは、とても記述がわかりやすく、今回も最後まで読み通せました。しかし、カルノーサイクルのあたりでちょっと他に気を取られてしまい、理解が浅いまま進めてしまったため、消化不良な感じが否めませんでした。しかし、それはこちらの個人的な問題であり、クリアでわかりやすいという特徴に変わりはありません。
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全部読んだ(2016/08/26)
自分は物理はよく知らないのだが、とてもよい入門書だと思う。
前半は熱力学、後半は統計力学の説明となっている。高校数学知識だけではきついかもしれないが、簡単な微分積分と高校レベルの物理(力学)の知識で読み進めることができる。薄い本だが内容は非常に濃く説明は丁寧でわかりやすい。また式変形が丁寧なのでついていけないことはないだろう。
おそらく単純化のための仮定がいくつかある。また、中心極限定理の部分では、性質の説明はわかりやすかったが定理そのものの説明にはなっていないところは気になる。
特に後半の統計力学の部分は少し駆け足になっているし、(もちろん入門書であるので)ページ数からしても内容は不足気味だが、全体を通して、統計力学という学問の面白さや偉大な物理学者たちの成果のすごさを感じ取るには十分な内容だと思う。
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まだ読んでいる途中だが、わかりやすくて良い。マクスウェル・ボルツマン分布が丁寧に導出されていて良かった。
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熱力学について考えない日常生活が長いと、ついつい熱とは何であるかを忘れがちになる。
毛皮のコートや羽毛布団では物質を温めることはできないし、
統計と確率抜きに温度とは何であるかを語ることはできない。
本書はボイル・シャルルの法則やカルノーサイクルなどを基礎に、エントロピーや熱力学の第2法則などを丁寧に解説しつつ、
熱と統計の関連性をボース・アインシュタイン分布やフェルミ・ディラック分布を材料に紐解く。
熱力学の教科書を書いたらこんな感じになるだろうというオーソドックスな構成であり、
復習するには役立つが、数学の部分は省略がちで初学者には向いていないし、余談も雑で面白みに欠ける。
悪い本ではないのだが、これ一冊で熱力学を腑に落ちるまで理解できる人は稀だろう。
むしろ本書は十分に理解した後で読む概要本として、詳解本を探したい。
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