紙の本
読むのに疲れる本
2010/05/22 17:15
13人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
断片的にある一つ一つの文を読むと、至極真っ当なことを述べているところも多数ある。そして突然、民族主義、国家主義、軍国主義、人種差別主義、反ユダヤ主義、帝国主義、領土拡張主義の主張が現れ、めまいを覚える。前後の文脈との関連が読み取れない。たいした理由も根拠も示すことなく自己の感情、信条を表明しているだけである。知性の劣る大衆にたいしては、問題点を一つに絞り単純化して、繰り返し宣伝する、ということが力説されてもいる。論理に飛躍があっても、単純化された主張を、感情的にいろいろと繰り返されると、大衆説得力がでてくるようだ。
第一次世界大戦敗戦直後の、人心や社会や政治の状況を観察し把握する能力は、勝れていたようだ。その点に関してはまともな分だけ、政治的天才であった分だけ、主義主張の扇動者として危険であったことは、後の歴史が示している。
部分的な内容にとらわれるのではなく、全体的な論理を把握しないと、煽動されて同調してしまう可能性が今でもありそうで、反面教師となる。
読むのに疲れる本である。
訳者序から
「戦争体験なき世代こそ、この書を読むべきではないだろうか。この書をくもりなき目で読み、客観的に判断することが、この世代にとって必要であり、戦後の教育を受けたものなら、十分な批判力をもって読むことができるのではないか。議会主義という近代民主政治の最低擁護線を確保し、ファシズム勢力の台頭を予防するためにこそ、ナチ勢力の伸長過程とナチの論理をつぶさに見ることが必要なのではないか。
ヒトラーの論理ー極端な国家主義、なかんづくプロイセン=ドイツ軍国主義という大前提にささえられた、単純でしかもしばしば飛躍があるが、大衆説得力を持つ論理ーを見抜いて欲しい。とくにマルクシズム=西欧的議会制民主主義=ユダヤ主義と考える場合のヒトラーの大衆の心に火をつけるような煽動的言辞のなかの論理の飛躍に、注意して欲しい。
『第三帝国を建設し、これを情け容赦なく、しかもしばしば非凡な抜け目なさで統治し、あのような目もくらむような高みと、あのような悲惨な最後に導いた人物は、邪悪であったが、疑いもなく天才であった。』
かかる狂気の天才に活動の場を与えた国民大衆の側の責任、ヒトラーのことばの魔術に幻惑されるような政治的、あるいは精神的な幼稚さの責任について、他山の石として考えて欲しい。」
紙の本
過ちから学ぶ1冊
2020/05/04 16:42
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミュンヘンでクーデター未遂を起こして逮捕されながらも、優雅にこの自伝を執筆していたヒトラーに疑問を感じます。ドイツでは未だに発禁処分だというこの本の中から、歴史の流れの中の過ちを見つけたいです。
紙の本
なぜヒトラーは戦争犯罪人なのか
2019/12/30 12:17
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:伊達直人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヒトラーは 戦争犯罪人である ユダヤ人の多くを死に追いやり
幾多の戦争を巻き起こし 世界を恐怖のどん底に追いやった
張本人であるしかし 第一次世界大戦で負けたドイツの
経済復興を成し遂げたのも ヒトラーである
アウトバーンの建設をはじめ 幾多の経済政策を打ち出し
市民に 海水浴等の 余暇を提供できるまでに至った
なぜ ドイツは狂気の殺戮にまで 行き着いたのか
電子書籍
読むのに時間がかかった本
2023/09/25 13:33
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Blue - この投稿者のレビュー一覧を見る
難しいことを書いているようには思えない。
理解しがたい内容というわけでもない気がする。
だが、先へ進まない。面白くないからか、
このような主義主張と怒りの訳本を読みなれてないからか?
下巻を読むか迷う
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基本中の基本書。みんな持ってる。ただし最後まで読み通した人少なし。(笑)読了するには拾い読みなどが有効です。特に第二章で挫折する人多いのでここを飛ばしちゃうというのも手。ナチ好きの人は必読ですね。上下2巻。
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彼がどのようにして、ユダヤ人を憎み、ナチ党を結成して行ったかが自らの手で綴られています。 画家を志して挫折した不遇の青年時代から、第1次大戦に従軍して手柄をあげたにもかかわらず、敗戦して、不況のどん底に暮らした体験から責任をユダヤ人に押し付ける過程が読み取れます、今読むと、かなり偏見に満ちた思考だと判りますが、当時のドイツ国内で徐々に受け入れられていく様子も細かく書かれています。意外だったのはユダヤ人の社会についてもかなり詳しく、シオニズム運動や、シオン議定書等の真偽にも言及している事に驚かされます。
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ヒトラーの自伝。1973年。プレゼンテーション能力が抜群に高いという点に納得。カリスマ性があったのだろう。
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必要に迫られて読まなくてはいけないのに、どう頑張っても途中で頭痛がしてくるこの一冊。
諦めず読破しようと奮闘中です。読み切る事こそが闘争になってきた気分…
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開始:20071031、終了:20071031
アドルフ・ヒトラーが自ら語った自伝。上巻は、彼の青年期から国家社会主義ドイツ労働者党の立ち上げまでが記載されている。もともと彼は、画家を志し、ウィーンで学んでいた。その中で、国家主義者へ目覚め、腐敗する政治を見つめ、ユダヤ人に対する反感を高めていった。その後、ミュンヘンへ移住し、一兵士として、従軍した。もともと政治家になる意思はなかったようだが、のちにリーダーとなる、準備を十分に行っていたことが伺える。ものごとをつぶさに観察し、自分の洞察力を高め、同時に書籍によって知識を蓄えたと記されている。ただし、基本的に一人称でものごとを語っており、大衆を見下している態度はそのまま表れている。おそらく、自分自身で学び、そして、国家主義に本質に迫るにつけ、いかに周りの人間が無能であるか、ということに気付いたかが伺える。それが後に破滅への道へ進むきかっけとなったのであろう。ただし、リーダーとして責任を全うしようとする姿勢や誰よりも物事を考えているという自信、さらにビジョンを示し、いかに大衆をそこに導くかまでを考えた戦略眼は、学ぶべき点があると思う。また、金に執着した当時の政治家と違い、未来志向であり、金のためでも自分のためでもなく、理念のために行動をしていた。それが多くの人をひきつけた点だろう。こうした点も含めて、いかにして破滅の道へ進んだか、その背後を理解し、二度と同じ過ちを繰り返さないようにする上で有用な本といえる。特に、現在の日本の状態とその当時のドイツの状態が重なるように感じる、という点からもそう思う。ただし、訳がいまいち読みにくい点が残念だ。
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意図的な虚飾はあるようだが、ヒトラーが何を考えていたか、どのようにその考えに至ったかがわかってよい。
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表紙の後ろにも書いてあったように、現代社会と『ヒトラー出現を許した混迷の政治風土』は恐ろしいほどに酷似している。それも日本において。この書における「ユダヤ人」という記述を、日本を取り巻く状況に応じて書き換えれば、おおよそ日本の保守陣営の論客が発する自国批判と―民族主義とまではいかないまでも―ほぼ同じものになる。そしてその保守陣営の中でも、その言論手法・性格、ともに同じような論客の一人を挙げるとすれば、小林よしのりではないだろうかと思うのだ。彼らの主張の共通点は、政治から社会風俗にいたるほとんど全てのことと、戦前のそれと比べ、戦前がいかに素晴らしい時代であったかを述べることにある。そして平和主義を否定し、君主制を称賛し、民族の誇りに訴えることもだ。また、自分の立場はインテリ層とは一線を画していることを強調し、なんの後ろ盾もなく自己責任の主張であると訴えることで自らの存在をより大きなものにする(これに関して自分としては何の異議もないが)。さらにそれを最も効果的な手段を用いて大衆へ発信し、しかも彼らはその才能を有している。
かれらは大衆を、とりわけ若い世代を多く惹きつけた。小林氏は漫画で、ヒトラーは演説で(小林氏も最近なかなかの演説家であることが分かってきている。ただ声が悪い。良く言えば印象的なな声だが。)。それは力強く、率直に。さらに大衆が理解できるように物事を単純化する。そして彼らは「命とは目的達成のための手段」と考える(これも異議ないよ)個人主義者であり、ナルシストであり、そうそうのことではくじけないだろう。その時代その時代で受け入れられる人物像があるのだ。
余談だが、日本でファシストを結成した外山恒一、いまのところ彼はただのギャグであると思われる。
現代日本は当時のドイツほど経済的危機には見舞われていないものの、その精神状態は同じようなものだ。ヒトラーが言うように生けるものは戦うことによって精神を安定させるのだろうか?人間の中にある闘争本能を満足させてこそ、その精神は常態を取り戻すのであろうか?
だが現代において、そんなことはないのだということが『戦前の少年犯罪』などによって分析されている。この本を読み、考えれば、戦前の状態を賛美するのは、現状に不満を持つ言論者の上等手段であるということだ。なにか聖域を作ることで、人々の関心を集め、反論することをタブーとし、偽の共通認識を作り上げるのである。そういうことが分かって来ている以上、簡単にだまされることは無くなるだろうが、逆に現代を賛美しるぎるようになればまた同じことの繰り返しになる。そのような大衆行動の分析においてヒトラーの分析は鋭い。とにかく言論によって絶えず釘をさすことが言論者の役割である。そうすることで「行き過ぎ」を防ぐ。
戦争を通し、それを回避するシステムは格段に強化された。だがそれは同時に『不安定な平和』をもたらすことにもなった。そして知らず知らず、人々の理想人物像がヒトラー的になってゆくのだ。たとえば小泉前首相が「ヒトラー的だ」と非難されたが、支持率は退陣するまで比較的高い所を維持し、最近は再選の可能性まであった。歴史には繰り返されるスパンがやはりあるようだ。その問題をどう解決するか、2次大戦後大きな課題となったが、おそらく歴史といううものがある限り、永遠の課題であろう。
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ヒトラー、ナチスに興味があるならば読むべし。
なるほどと思う部分もあったが、民族主義的な部分(とくにユダヤ人についての記載)は読むに耐えない。
訳が読みにくいので最後まで読み切るのは大変かも。
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上下巻あって両方結構な厚さがある上に中もびっしりなので読み終えるのに体力がいるかも?
ヒトラーがどんな人物だったのか分かるかもしれないし、分からないかもしれない本。
読むのにそれなりの覚悟というか心構えは必要。
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天才が何を考えていたか知りたくて、読んだ。
憎悪や冷徹な言葉が並べられているが、その理論に矛盾はなかった。
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この本はナチズムのバイブルとして存在していますが、一方ヒトラーはこの本のことをやりすぎた、とも後年言ったそうです。民族差別というのは現代日本においてそこまで感じることはできませんが、しかし国民投票で総統となりし、ヒトラーの考え方は一貫しており、感情移入すれば(ドイツ人)分からなくもないはずです。ドイツが戦争を起こしたのではなく、国際情勢というものが戦争を引き起こしたものであるということが。