紙の本
数字の不思議な世界を見せてくれます!
2019/02/13 12:47
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、数字の不思議な世界を垣間見せてくれる興味深い書です。内容は、25のテーマから構成されており、その一つ一つが非常に興味深いものとなっています。一例を紹介すると、「家族の価値」、「一時間の中にある永遠」、「アイスランドで四を数える」、「ことわざと掛け算表」、「教室での直観」、「シェイクスピアのゼロ」など、その題名だけを見ても何か惹きつけられるものを感じます。ぜひ、数字の不思議な世界を知りたい方々には読んでいただきたい一冊です。
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数字、このいとおしき世界の全て。
数学が嫌いな人は多い。でも、人生のあらゆるところに数学は隠れている。著者ほどじゃなくても、ひとつふたつは、世界に潜む数字の不思議に気付いたことがあるはずだ。それ以外にも、著者は新鮮な発見を伝えてくれる。そうしたら、数学がちょこっとでも好きになる。
アイスランドの数え方とか、掛け算(九九)とか、言語との関連でいくつか、ほー、と思うものがあった。俳句と素数の関係なんて考えたこともなかった。
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自閉症スペクトラムでサヴァン症候群、共感覚をもつ著者は、作家で言語学者。2004年に円周率の暗唱でヨーロッパ記録を樹立したらしいが、タイトルにあるような数学とは、あまり関係が無さそうだし、本書も数学を扱う本ではない。数学的な発想を取り扱う本とあるが、やや誤解を誘う。日々の雑感を綴るエッセイである。ただ、数字の特性が感性に染み込んでいて、所謂、エッセイとは趣きが異なる。その点が面白い。
循環小数とは、ある数をある特定の素数で割ると、小数点以下の数列が果てしなく繰り返されていく数字のパターン。例えば1を7で割ると0.14285714285714285714…となり、142857と言う最小循環数のパターンが永遠に循環していく。次に、この142857 に7より小さな数をかけるとどうなるか。同じ6つの数字の並び方が変わる。2をかけると285714、3をかけると428571のように。
これを6行6連体、セスティーナとして詩に取り入れる。韻を踏むと言うような修辞的技巧とはまた違う。数字のパターンに当てはまる単語を用いて循環するリズムを演出する。日本における俳句も575の素数がリズム感を作っている。何故、その数字なのかはわかっていない。数学と芸術が共有する美的感覚の分野なのだろう。これは、昆虫の世界にもこうした数学の美的感覚が見られる事から、非常に興味深いと感じた点だ。
物理のように気難しく現象を抑えずとも、数字の組み合わせだけで神秘に近づける気がする。猛暑の夏、ぼんやりと数字と世界の仕組みを想像し、うっとりしクラっとする。