紙の本
建築家の思考
2023/05/14 08:09
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投稿者:winter - この投稿者のレビュー一覧を見る
自身が携わってきたプロジェクトについて、なぜそうした構造、建築に至ったのか、エピソードをふんだんにわかりやすく語られている。怪我のせいで実は右手が思うように動かせないなど、巨匠にもハンデがあることを本書で初めて知った。フランクに語る隈さんの思考を垣間見ることができるとともに、建築の歴史や経済環境についても知ることができる。
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隈研吾さんが肩を並べ語りかけてくるようなインタビューベース卜エッセイ。予算百万の案件を半ば投げやりにやった、とか、利き手を怪我してかえって開放感を得た、みたいな話がよかった。隈さんの建築、いやそもそも建築自体をなんにも知らない人でも、近代建築代表作やご本人の建築を写真つき時代背景解説つきなので楽しく読めます。
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娘が建築に興味を持ち出して、私も若いころいくらか建築を追いかけていたことを思い出した。もともと父親が大工だったこともあり、興味はあったと思う。学生のころはいくらか建築の専門誌を見ていたし、東京にいたころはINAXのショールームによく訪れた。磯崎新とか安藤忠雄とか、かっこういいなあと思っていた。さて、隈研吾。作品をまったく知らなかったのだけれど、今回の本で、全部追いかけて見てみたいと思えた。とくに、学生時代新潟にいたこともあり、長岡には友人が複数いる。その市庁舎はぜひ見てみたい。人々がいつくというのはどういうものなのか。1人の建築家の作品を追いかける旅、そういうのもおもしろいかも知れない。本書は、建築の本というよりは、中国とかヨーロッパの文化論のように読めた。しかし、著者の仕事ぶりを聞くと、もし私にデザインの能力があったとしても、この会社では絶対つとまらないだろうなあ。
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徹頭徹尾、隈研吾の現場主義と現実主義が表出している自伝的一冊。建築とは人の生活の提案である、という一貫した姿勢には感銘を受けるし、奮い立たせられるものがあった。
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建築は景気先行きの先端に関与する。読み物としても面白かったが、表紙の神楽坂ラカグの建築は人に優しくなくて好きではないので☆四つにした。
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大震災以降に出版された建築家の本ではじめて読んだ。彼の弱さのありようはバベルの塔の合わせ鏡なのだ。そんな話をしているわけでないのは分かっているが、土地によった施工レベルといった話は旭化成の杭打ち、の絡みで読んでしまう。とんでもない話だが、信じられないようなことが別の場所では日常だったりすることは、よくあることで。
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某テレビ番組で、林先生が引用していたのが印象的で読む。
超有名な建築家、時の人の自叙伝。
普段、この手の話を読むと自慢たらしくて嫌になることもあるのですが、
これがめちゃくちゃ面白い。
日本人の問題、建築の問題、
どれも「なるほど」とうなずいてしまうことばかりで、
あっという間に読んでしまった。
建築家に憧れる生徒はたくさんいるので、彼らにぜひ読んでほしいもんだ。
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世界に誇る日本の建築界第四世代の旗手・隈研吾が、直近の大作「歌舞伎座」に取り組んだ際の苦労や、20世紀の建築界の潮流と21世紀の建築の目指すべき方向について、自伝的に語った、聞き書きによる作品である。2013年に出版され、2015年に文庫化された。
著者は、建築に関わる人類史を大きく変えたのは、1755年に発生し5~6万人もの死者を出したといわれるリスボン大地震で、こうした災害から人類を守るために「対災害システム」としての「文明」が大きく発達し、その中核を担ってきたのが「建築」であるという。即ち、中世において人の命や人生を規定していた「神」に代って、「科学」という新しい知恵を用いて強い建築を作り、弱い自分たちを守ろうとしたのである。
しかし、東日本大震災を経験した著者は、「3.11は、リスボン地震後の「近代建築」の無力というものを決定的にさらけ出したと思います。防潮堤やコンクリートの埋め立て、護岸など、「強い」建築をそこら中に建てることで、災害から人間を守ろうとする建築依存型の思考回路が役に立たないことを、ついにぼくたちは知ってしまったのです。近代という時代は合理的で強い建築を作るために進化し続けた、といっていいものでしたが、人間が頭の中で作り上げる合理性など、自然の前では圧倒的に無力だった」と語り、自分が建てたいのは、「死」というものを思い出させてくれる建築、即ち、自然を怖れる建築であると思い至ったのだという。
日本の建築界をリードする著者の思い・考えが語り尽くされており、建築という切り口からの我々の自然との関わり方、そもそも建築(物)とは何なのかを考える上で、多くの視座を与えてくれる一冊である。
(2014年3月了)
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タイトルの通り、著者の走り続けた半生を描く。
長いスパンの話なのに疾走感があるという不思議。
近代建築の歴史・変遷と、それを受けて筆者がどうしてきたか。
建築家って何を考えて立ててるのかと思っていたけど、その場所がどういう場所になってほしいかとかデザインを考えてるのな。山崎亮のコミュニティデザインにも似ている。
あとコンクリ神話。コンクリは手入れもいらないし永続的に見えるが、実は自然もののほうがメンテすれば寿命は長い。
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大好きな隈さんの建築は、徹底した現場主義からできている。世界中でこれをやってるんだからすごいおじさんだ。
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ちょっとした興味本位で読んでみた。建築家の話というのはどうものなのかなと。そしたら意外に難しくて挫折。
建築家って頭も体も使うんだな〜。
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以前読んだ著者の対談集が興味深かったので。
早くから中国とのビジネスをしている人の
経験談として面白かった。
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東京オリンピックの時から隈さんの事が少し気になってて、面白そうなタイトルだなと手に取ってみたら隈さんの本。すぐに借りてみた。
建築家とはどういう仕事をしているのか、イメージと違う所もあり、また隈さんの仕事論はとても興味が持てて、新しい世界をちょっとだけ覗きこんで勉強させてもらった気分です。健康第一。
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モダニズムに対峙して、優しい、場所や自然に溶け込み、生命のサイクルを感じさせるような建築に取り組んできた隈研吾のエッセイ。デザインを職業として真剣に取り組んでいる人の精気が満ちていて、元気が出る。
世界の建築現場を見渡した時、意外に中国では環境負荷にフォーカスしているとか、韓国の建設ビジネスのアグレッシブな活躍ぶりとか、アメリカのディベート教育の不毛とか、組織の中での報告に求められる厳しさなど、面白い話題が満載。
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建築(家)の歴史と変遷、現場での在り方、などなど。コンペと違って弱音のような部分もそのまま語り下ろし、というコンセプトもあってかリアルさが良い。
中国での作品「竹の家」の話一つとっても、設計費の具体的価格から、素材がカビやすいという弱点から、OKが出た理由には材料費の安さが見込まれていたんじゃないのかとか、割に合わない値段を提示されて開き直る心づもりができたという話とか、うーん率直だなー。と。笑