紙の本
まだまだ読まないと
2016/04/15 07:38
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
作家司馬遼太郎さんが亡くなったのが1996年2月12日。今年(2016年)没後20年ということもあってTVや出版での企画が相続いている。
この本もそういう一冊となるのだろう。
司馬さんの最後の病床を見舞った、かつて「文藝春秋」で司馬さんの担当でもあった著者が、長短編合わせると67篇に及ぶ司馬さんの著作をどのように読み進めればよいかを指南した一冊である。
物心ついた時には司馬さんがこの世にいなかったという世代が増えているし、これからも益々増えていく。
一時の情熱で読まれる作家は多いが、漱石のように時代を越えて読まれる作家は数多くない。どんな時代であっても揺るぎない作品の力が必要だろう。
司馬さんの作品は小説だけでなく、『街道をゆく』といった紀行文や『草原の記』といったエッセイに至るまで、後世の日本人にも読んでもらいたいし、生き残る力は大きい。
とはいっても、これだけの作品群があるのだから、この本のような読み方の指南書があってもいい。しかし、残念ながらこの本をもってしてももれている司馬さんの著作は多い。
例えば、直木賞を受賞した『梟の城』や後期の代表作である『菜の花の沖』などである。
これはやや惜しい。
惜しいついでに書けば、司馬さんの年表は入れて欲しかった。
著者がまず第一にあげている作品は、新選組副長土方歳三の生涯を描いた『燃えよ剣』である。この選択には賛成である。
小説として滅法面白い。しかも生き生きとした青春小説になっている。
この作品で司馬さんの山脈に踏み入るのはいい。
あとはどちらかといえば歴史年表をたどるように紹介されている。
すなわち『竜馬がゆく』、『最後の将軍』、『世に棲む日日』、『翔ぶが如く』、そして『坂の上の雲』。
もちろんこれらは司馬さんの代表作に過ぎない。
ましてや、自分の読書歴と合わせても、まだまだ司馬さんの作品全貌まではおいつかない。
この本には司馬さんが書けなかったノモンハンや太平洋戦争への記述もあるが、むしろ紙面は紹介されなかった作品の記述にあてて欲しかったという思いも、少しある。
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司馬さんの事が書かれている。深く日本と日本人の事を司馬さんが考えていた事に真摯に感動した。今サラリーマンとして働いてるが働く人も歴史を考えながら未来を考えながら働いていかないとダメではないか?教養がサラリーマンも大切だなと、それが働く姿勢に繋がる事に自分で実感しつつある事に、自分で気付いた事に少しだけだが手を掛けたかな。
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20160410 いつまでも読み継がれる国民作家。まとめて作品を見た事がなかったので読んでなかった本もそうだし読んだ本も読み直ししたくなった。司馬さんの本が読まれているうちはまだ大丈夫かも知れない。
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日本陸軍の不条理に立ち向かい、指揮命令した参謀の非道さを糾弾する司馬さんの小説が読みたい。
とりあえず「この国のかたち」を読もうと。
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ノモンハン、太平洋戦争への思いが興味深い。やっぱりすごい作家なんだな。『峠』『坂の上の雲』この大好きな作品を読み返そう。そしたら、まだまだ知らない司馬遼太郎に会える気がする。
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司馬遼太郎のガイドブックだった。売れっ子なのでなんとなく知ってるタイトルだがちゃんと読んだのは竜馬がゆくだけでした。坂の上の雲はドラマがとても好きでしたが最期の2話くらい見終えてないかも。。(1話だけで映画くらいのボリュームある)
だいぶ日本の近代史はこの人が作ってる気がする
著者のおすすめ順
1.燃えよ剣
2.竜馬がゆく
3.最後の将軍
4.世に棲む日日
5.翔ぶが如く
6.坂の上の雲
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司馬遼太郎の作品は長編・短編あわせて67篇におよぶ。さらにエッセイ・評論などを加えると無限に近い。
しかも一つの長編は文庫本にすると3巻~10巻ものボリュームがある。
かなり以前に司馬作品を100冊読破したので、もう読む作品も少ないだろうと思って調べたら、読んでいない作品がまだまだあったのに驚いた記憶がある。
著者は「私たち昭和世代は、司馬さんがつむぎ出す作品世界を刊行されるごとにむさぼり読み、この作家が年齢とともに広く、深くさせていくさまを身近で知る贅沢を味わうことができた。しかし司馬さん没後に生を享けた若い世代は、一から司馬作品と取り組まなければならない。豊饒だが、未知の膨大な作品世界に困惑するのも当然であろう・・・(略)・・・とくに若い世代に本書を手に取っていただければと思う。司馬作品こそわれわれへの貴重な贈り物であり、また国民が誇るべき共通の財産だと思われるからである。そして、この偉大なる作家が書き残した日本人、いや日本への数多くの警句や提言を、自分の課題として真摯に受け止めていただきたいと思う」
著者がいうように、本著はこのように膨大な著書を残した作家の作品をどのように読んでいけば良いかの入門書とおもいしや、それなりに司馬作品を読んだ人にも、読み応えのあるものになっている。
最近歴史家の磯田道史も『「司馬遼太郎」で学ぶ日本史』という本を著している。
やはり歴史家が書いた司馬遼太郎論なので、時代小説 < 歴史小説 < 史実小説と順位づけて、より歴史の事実に近い「史実小説」を理想としているような論調が見られるが、これは「小説家」というものあるいは「司馬遼太郎という小説家」を理解していないことが、本書(司馬遼太郎に日本人を学ぶ)を読めば分かってくる。
司馬は晩年よく「小説を書きたいなあ・・・」とみどり夫人にコボしていたようだが、司馬は歴史の史実に縛られない自由な創造の羽根を広げることができる小説家を願っていた。記録文学ではなく、自由な表現を許された小説家としての自負があった。「そう司馬さんの本質はあくまでも小説家なのだ」と著者はいう。
本書は、若い世代だけでなく、それなりに司馬作品を読んできた読者にも「目から鱗」の記述が多々ある。
司馬ファンにとっては、最良のガイドブックであると言える。
追記
因みに司馬本人に、自分の作品のベストワンは何かと聞いた人がいて、司馬曰く「一冊というのは難しいわな。せいぜい2冊ということでいえば、『燃えよ剣』と『空海の風景』かな」と言ったそうである。
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2017/7/1流し読み。一番「燃えよ剣(土方)」だそうな。「坂の上の雲」のイントロになるか。★4の下
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歴史小説の大家、司馬遼太郎の膨大な作品群を通して、司馬遼太郎の本質に鋭く迫ったブックガイド。
司馬遼太郎の担当者であった著者が、維新史に関する司馬作品の読む順番や司馬作品の魅力、司馬遼太郎が昭和前期の戦争を描かなかった背景などを書いています。
司馬遼太郎の作品を読みたいが、どれから読めばいいのかと悩んでいる人は、本書が紹介している作品や読む順番を参考してみてはいかがでしょうか。