電子書籍
桐畑家最強
2017/06/01 20:43
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投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
正反対の性格、性質の姉妹。地味な妹が先に結婚。お相手は台湾人。この縁談に右往左往する桐畑氏と夫人(つまり両親)が面白い。父がとか母がじゃなくて、氏と夫人って。この当事者のようなそうでないような表現が、物語の面白さを際立たせている。こっそりと。露子さんが過去の失恋で大泣きした時、ウーミンゾン以下外国人大勢がいろいろ慰めるシーンは良かったな。そういう温かさってすてき。佳子さんはいい人と巡り会えたと思う。露ちゃんはあまり考えすぎないでどーんと行けばいいよ。十条の叔父さんの健在ぷりもなかなか。桐畑家は不滅だ。
紙の本
テンポはいいです。
2015/09/20 14:07
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投稿者:とちうし - この投稿者のレビュー一覧を見る
異性にもててた姉とさえない人生だった妹の物語です。
気が付けば、姉が逆転されていたという悲哀をさまざまなことを考えながら描写しています。
最初は胡散臭かった義理の弟も、姉が前向きに進むのにつれてサポートしてくれたりと、環境の変化を通じて姉の内面が変わっていくのを描写しています。
タイトルも食事で統一したりと面白い工夫が随所にみられます。
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おもしろかったな。
桐畑氏とか、桐畑夫人とか、そんな感じの客観的表現が、
昭和のドラマのナレーター風でおもしろかった。
そういえばこの人の作品は、なんだかいつも昭和な感じがする。
悪い意味ではなくて。
その中に、必ず異文化が出てきて、そのきれいごとではない感じが、この作家さんの好きで、個性で、おもしろいと思うところ。
もうちょっと長いのが読みたい。
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初めて中島京子さんの本を読んだ。
淡々と日常が描かれていて、楽しい本だった。
他の作品も読みたい。
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完全に中島京子ハマってます。この作品も登場人物のこと好きになれて、リアリティがあって、ちょっとほんわかしていていいですわ
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ナカキョー、いいわー。巧いんである。この人の文章ってほんと素晴らしい。人間味あふれるホームドラマ。どうしようもないんだけど、明るくって、憎めない。妹の結婚でにわかに騒がしくなる桐畑家。そのてんやわんやぶりが愉快。最後はちょっと救われるしね。
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子供のころはいじめられっ子で、ジミで奥手な妹が、突然日本語もままならない台湾人の青年と結婚すると言い出しました。いつも「アイシテイル」と言ってくれるからという理由で、日常会話もろくに成立していないのにです。妹はちょっと世間の常識からズレているところがあって、初めて家に連れてきた恋人が、バードウォッチング好きの大柄な黒人青年という変わり者。主人公である姉はといえば、大学を卒業して有名商社に勤たものの、その後何社か勤め先を変えた後、いまは働きもせず、妹の住まいに居候。人あたりが良く、それなりに恋愛経験もしてきましたが、27歳の現在も踏ん切りがつかず独身です。新たに住む場所と収入源を考えなければなりません。
妹の結婚宣言に動揺したのは、居候の身である姉だけではありませんでした。きわめて無口な父と、都合の悪いときだけ夫を前面に押しやる母親。姉妹からロマン派と呼ばれる親戚のおじさんなどなど。
気が弱く、泣き虫で、要領の悪い妹が、気づいてみれば、いつも動物のようなしなやかさで、自ら新たな道を見つけだし、いつの間にかどんどんと先へ歩みを進めています。それに引き換え姉の方はというと、幼いころから順調に歩み続けてきたにも関わらず、なんとなく自分の進むべき道はまだ他にある、自分の居場所はここじゃないと思いながら、具体的にはそれがどういうことなのかはっきりせず、また、いまひとつ勇気が振り絞れないために次の一歩も踏み出せないでいます。けれど、だからといってあせる様子もなく、ふわふわとなんとなく流されるように日々を過ごすばかり。
桐野家のちょっとした騒動をコミカルに描きながら、その一方で姉妹の日常を対比させ、ほのかなペーソスを醸し出しています。
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姉の矜持。とでもいうのだろうか。姉とはこうあるべき。という頭でっかちな露子。ちょっと夢見る夢子ちゃんぽい所もあったり。大概、はたから見ると痛い。バブルの名残。のような露子だけど、なんか、それほどヤな感じがしない。ほんわか。としてるとでもいうのか。なにかにつけテーゲーな露子にくすりと笑わせられる。
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「小さいおうち」を読んで、他の作品を読みたくなった。
20代後半の姉妹。性格もパッと見の顔つきも全く違うが、
本人たちだけが自分たちのそっくりなところを知っていた。
私にも20代に自分のしたいこと、欲する事をこんなに悩む時間があったらまた違ったかな、と思った。
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稲葉さん所有
→11/07/30 浅上さんレンタル
→11/10/29 返却(浦野預り)
→12/04/22 返却
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ちょっと群よう子さんの本を読んでいる感覚と似ていた
読み終わったあと、にこっと笑顔になったよ
ふわっとした露子さんが、なんだか笑えて
楽しい気楽〜な感じだった
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文章が嫌味がなくて読みやすくてユーモアもちょうどよくていい感じ。あっさり淡々としすぎているのかなあーと思うところもあったけれども。温水ゆかりさんの解説がよかった。解説読んで、ぼんやりと妹の家に居候してた姉の輪郭がくっきりしたというか。自分のなかの大事なものに気づいてなかったね、というところなど、けっこう感動したりして。この話の主役は妹じゃなくて姉なんだな、と。そう、ふたり姉妹の姉っていうのは、一見しっかりしているようで、実はけっこうぼんやりしていてはっきりしなくて決断できなくて気がつくととり残されてたり。比べて妹は、マイペースでわりにちゃっかり決断して着実になにかを手に入れていくような。かくいうわたしは姉……。
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『桐畑家の縁談』は、単行本のころに一度読んでいる。が、どんなだったかほとんど忘れている。文庫になったのを借りて、久しぶりに読んでみた。
妹・佳子が「結婚することにした」相手は、台湾の青年、ウー・ミンゾン。前に読んだときの私は、姉の露子の言動やら思案、露子の目からみたあれこれの観察に興味をもって読んだようなのだが、このたび読んで、ウー・ミンゾンと、妹の佳子と、このふたりの言動がずいぶんおもしろかった。
ウー・ミンゾンと水族館へ行って、ぐるぐるとイキのいいのが泳いでるのを見たら、まぐろが食べたくなり、刺身を買って帰ってウー・ミンゾンの部屋で食べたという話を、佳子は姉にこんな風に話すのだ。
▼「ウー・ミンゾンは、刺身が好きなの。実は刺身というよりワサビが好きなのね。台湾の人ってそうなのよ。すごいのよ。こんもり小皿に盛ったワサビで刺身を和えるみたいにして食べちゃうの。目からぼろぼろ涙流して、額をピシャピシャ叩いちゃって、こんな感じ」
佳子は立ち上がると、ぐしゃぐしゃに顔をゆがめ、頭を叩きながら「ハオツー(おいしい)」と叫び、のたうちまわって刺身を賛美するウー・ミンゾンの姿をそっくりまねてみせる。(p.80)
そして、年ばかりとるわりに何も変わらないような日常を好んで過ごしていながら、だんだんと何かから取り残されるような気分におそわれる露子に、親戚の十条のおじさんが言う、こんな言葉もふと心にのこる。
▼「まあな、おまえだけ特別というんでもないよ、だいたい身長の伸びが止まるのとおんなしで、誰だって十八かそこいらを過ぎりゃあそうそう子供時代のように何かが前へばっかり進まないのさ」(p.184)
話を読み終わって、巻末の「解説」を読んで、そうやなあ、これって"姉妹小説"で、二つの女性小説がたくしこまれてるなアと思った。顔の下半分をかくしたら今も「そっくり」な露子と佳子は、いつの間にかえらく間隔のあいた二本のレールのような、それぞれの道をたどっている。
「同じ親」から産まれてとか、「同じ家庭環境」で育ってとか、氏説も育ち説も、きょうだいについてはどこかで"似たようなもんや"という見方がある気がする。確かに、似てるかもなと思うところもある。でもそれ以上に、違うよなーと思うところがいっぱいある。妹2人と自分とをいろいろ考えてみても、そう思う。
中島京子の姉が、中島さおり(『パリの女は産んでいる』の人)だということも、この文庫解説で、初めて知った。
(9/18了)
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二人姉妹。いいなあ。
でも、この妹。
私の中ではそんなに変わってる人じゃないんですが
経歴でいうと私もそんなに変わらないわけで。
ハタからみたら私って相当変な人なのか?と思ってしまった・・・・
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たとえ、自分にも恋人がいるとしても、妹が先に結婚すると知ったときの姉の複雑な気持ちはわかる気がします。
小説のなかに、「あのおどおどした気弱な妹はそれでも、露子が落ち込むような迷宮にはけっして迷い込んだりしないのだ。」という箇所があります。仕事もしっかりとやっていて、結婚も自分で決めた妹。それに対して、無職で、恋人との関係も何だかはっきりしない姉。露子でなくとも焦るのに、条件が整い過ぎてると思います。
しかし、小説の最後の方で、妹の佳子は、意外なことで、露子に頼ってきます。きょうだいは、頼り頼られ。そんな関係が自ななんだと思いました。