紙の本
漢文の学び方について平易に解説された名著です!
2020/04/18 09:29
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、漢文の学び方について平易に書かれた名著です。私たちは、漢文と言えば、中国の古典的な文章をすぐに思い浮かべてしまいますが、それだけではないと著者は言い切ります。というのも、それ以外に、日本人が書いた漢詩や候文で書かれた手紙なども漢文に含まれるからです。ですから、「漢文とは何か」ということをしっかりと知っておくことが必要だと著者は強調しています。その一方で、著者によれば、漢文の大きな特徴は、中国語で書かれた文をいきなり日本語にして読むということであると言います。その方法は、時代とともに変化し、日本語と歩を揃えて進化してきたと説かれています。同書では、訓読の方法と歴史に光を当てながら、私たち日本人がどのように漢文と付き合ってきたかを解説してくれます。
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漢文とは何かということを理解しながら学ぶために
2023/04/30 09:37
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投稿者:トリコ - この投稿者のレビュー一覧を見る
言わずと知れた名著であるが、はずかしながら、今まで文庫化されていたことをしらず、今回再読した。むかし、高校生の頃、教師から進められて読んだ際は、著者の文章のユーモアまでは読み取れなかったと思うから、今回再読してよかった。
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古典中国語である「漢文」を、日本の先人たちが「訓読」したプロセス
2021/07/31 23:26
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投稿者:ちえ - この投稿者のレビュー一覧を見る
古典中国語である「漢文」を、日本の先人たちは、日本語として「訓読」しました。
(もっとも、「漢文」は古典中国語の範疇を超えて、東アジアのリングワ・フランカであった
と言えますが。)
その工夫やメカニズム、プロセスが学術的に説明されており、大変勉強になります。
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1960年代に、講談社現代新書の一冊として出た本の、復刊ということらしい。
今、私たちが目にする「漢文」がどうやって出来上がってきたのかをたどっている。
前半は漢字の話。
漢語と和語、音と訓、漢音、呉音、唐宋音など。
後半の方が面白かった。
ヲコト点のことは昔聞いたことがあったけれど、文例とともに解説してあるのは初めてかも。
平安朝の訓読と江戸時代の訓読の文体の違いも具体的に文例があったので、イメージが湧いた。
先人の苦労の一端が、少し実体的なものとして感じられるようになった気がする。
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63頁:呉音が一般的だったのが、遣唐使が往復するようになって漢音が流れこみ、知識人の間には意識的に漢音読みへと転換しようとする動きが起こった。
・漢音:持統天皇は、唐から続守言を音博士として招き、漢音普及に努めた。また、桓武天皇は延暦11年(792年)、漢音奨励の勅を出し、大学寮で儒学をまなぶ学生には漢音の学習が義務づけられ、また仏教においても僧侶の試験に際して音博士が経典読誦の一句半偈を精査することが行われ、また漢音を学ばぬ僧には中国への渡航が許されなかった。wiki.
182頁:隣翁曰:
183頁の書き下し文:翁の曰く
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「漢文入門」というタイトルですが、受験参考書のように訓読法の基礎を解説している本ではなく、日本文化の中の「漢文訓読法」の特質と歴史について解説している本です。
日本におけるいわゆる「漢文」が、中国の伝統文化における文語文とは異なるものだということは、高島俊男の啓蒙的な著述によってわたくしのような門外漢でもどことなく理解したようなつもりになっているのですが、本書はその歴史を簡潔にたどり、「漢文」の形成されるプロセスをわかりやすく説明しています。
この国の人びとが、中国文化をどのように咀嚼してみずからのものにしようとしてきたのかを知ることのできる本だと思います。
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いわゆる漢文の学習参考書ではなく、日本における「漢文訓読法」の歴史と特質について解説した本。
読み応えのある良本。
中国の文化を吸収する過程で、いかに日本の先人たちが、違う言語で書かれた言語を読み解く工夫をしたか。
「訓点」「返り点」「ヲコト点」、そして、カナ文字の発明。必然的に生まれたもののように思えた。
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漢文を読み下すための入門書ではなく、漢文の定義、訓読の方法、訓読の歴史を紐解く。大学入試で漢文は不要では?などの声も聞くが、私達が日頃使っている日本語は、漢文が深く関わっているのだと改めて認識する。
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☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB20205197
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漢文を理解するための、訓読法を解説した書である。
仕組みをしるための書、漢文を読むためには、言語だけにひたすら試行錯誤するしかない
それは古代中国語の原文を、いきなり日本語として理解するための方法であった。
著書は、中国語の秀でた方のようであるが、もともと中国語を知らなければ、もともとの白文に訓読法を用いることはできない。
今も昔も訓読法を用いることは難しいことであると述べています、古典の訓読法はこれまでの経験といっています。
その方法が統一されたのは、ようやく、明治維新の時であったとのべているのがおかしい。
気になったのは、以下です。
■漢文とは
・漢文とは本来中国語であるものを、日本語でよんでいる。つまり、中国語で書かれた文を中国語では読まずに、いきなり日本語として読んだ時の名称である。
■漢字と漢語
・漢字は、表意文字だから1字に1つ意味があるが、2字に結びついて1語をなしているもの、などがある。それを熟語という。
・実字、つまり名詞に相当するもの、虚字、名詞以外のものがある。そのなかには、日本語として意味があるかないか微妙なものがある。
夫(それ)、惟(これ、ただ)、蓋(けだし)、豈(あに)、安(いずくにか、いずくんぞ)
也(なり)、矣(い)、哉(や、かな)、邪(や、か)
以(もって)、使(しむ)、見(らる)、於(おいて)
而(しかして) 等、訓読では読まない虚字であっても、軽くあつかうのは危険である。
・漢字には、日本でつくられた和製の漢字、国字がある
■訓読の方法
・同じ熟語でも日本と、中国で使われ方の違うものもある、意味が通じないものもある、汽車と自動車、農協など
・長い間、日本で読みがかわっているものがある。重箱よみ、湯桶よみ、訓読み、音読み
・漢字の音にも、時代がある。漢音、呉音、唐宋音。同じ漢字でも読みを2つ以上もっているものがあって、当然意味が違う
・中国語の四声を日本語では取り入れることができなかった。だが、同様、日本にもアクセントの違いで意味が異なる語がある。
・仏教の経文は、呉音でかかれているので、漢音で読むことは仏法の伝統に欠ける
【送りガナ】忽⇒すなわち と呼ばせたい⇒忽チ と、チを送る
【返り点】 レ点 一二点、上下点、甲乙丙、天地人と使っていく
【再読文字】 宜再考⇒宜しく再考すべし 宜しくとすべしが再読 シ宜シク と書く 将 我将上京 われまさに上京先とす
他に、当(まさに~べし)、応(まさに~べし)、須(すべからく~べし)、且(まさに~す)、蓋(なんぞ~ざる)、未(いまだ~ず)、猶(なほ~ごとし)、等
【書き下し文】 白文 ⇒ 返り点をつける ⇒それを日本にしたものが書き下し文 君を思へども見えず滄州に下る
また、書き下し文を、確認のために、漢文に戻したものが、復文
・句読点をつける 区切りを定めるために、句読点を打つ、これを断句という
■訓読の歴史
・奈良時代から、明治初期までに訓読の苦労の歴史をふりかえる、
万葉仮名から、かな、カナが誕生
ヲコト点など、暗号化していく点図
文選読み
江戸時代の訓読法の改革
目次
まえがき
1 漢文とは何か
2 漢文と漢語
3 訓読の方法
4 訓読の歴史
5 むすび
解説(齊藤希史)
ISBN:9784480097095
出版社:筑摩書房
判型:文庫
ページ数:224ページ
定価:1000円(本体)
発行年月日:2015年12月
発売日:2015年12月10日第1刷
発売日:2023年04月20日第7刷
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図書館で借りた。
ちくま学芸文庫の漢文入門。漢文とは何か、から論じていく。漢文は単なる中国の古文ではない。
最近少なくない「漢文って、中国の古文でしょ?日本ですらないんだから、学校で学ぶ必要なくない?意味無いよー」という意見に対する一つの反論を考えることができそうだ。
一般向けの新書であるので、高校で学ぶ国語の授業とは勝手が違う。違う視点、新しい考えを得ることができた感触だ。
言われてみれば、高校ではレ点などの記号は当たり前のように事前に書かれていた。当たり前のように「漢字には音読みと訓読みがあるよねー」で習ったが、「でも、そもそもそれって何ですか?」というのは言われないと気にしない。
薄い文庫本だが、得た内容は濃かった。