紙の本
だーかーら、ホラーは苦手なんだってば!
2018/11/12 01:03
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投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
運命のいたずらでこの本を読むことになりました。神様のバカ。
図書館待ちをしていた本が運悪く二冊手元に来てしまい、
この本の読み順が後回しになりました。
ホラーが苦手なら、後回しでよかったじゃんと思っていませんか?
ノンノンノン。
一日一日と過ぎるにつれ、ほら次はホラーだよ、
ちょっと表紙を見てみないか、大丈夫怖くなんかないからと、
頭の中で無限妄想ループが始まるのです。
普段は会社の昼休みしか本を読まないのですが、
図書館本をさっさと返却するために帰宅後の夜を使い、
土曜・日曜を使ってとにかく読み切りました。
手元に来てから一週間後、ついにこの本を
手に取ることになったのです。
実はもう、心が折れる寸前だったのです。しかも読む前に。
いまわたしは、平穏な心で書評を書いています。
運命の神様にはいじわるされましたが、
本読みの神様には助けられました。
これは面白かったです。ホラーが苦手という人に超おすすめです。
大丈夫、騙して犠牲者を増やそうなんて考えていませんよ。
この作品をジャンル分けするならばノスタルジック・ホラーに
なると思います。そうです、わたしが読める数少ないホラー作家の
恒川光太郎さんと同じカテゴリーです。
ホラー好きな人にすれば、ホラーとはちょっと違うじゃないのと
言われそうですが、苦手な人にとってはとても貴重な
ジャンルなのです。
ところで、先ほどからあえてホラーが「苦手」と書いています。
「嫌い」なのはスプラッタ系の悪趣味なものです。
苦手という意味は、刺激が強すぎて耐えられないと
いうことなのですね。
分かりやすく言うと、夜、眠れなくなるということなのですね。
さらに、せっかく目を閉じても悪夢を引き連れてきて(やめんか
苦手でも、大丈夫な条件があります。
残酷なシーンが少しあっても、物語の核で心が通じていれば
救われるのです。ノスタルジック・ホラーは、あやかしの時代に
対する敬意や、怪異に対する自然体の立ち位置が
感じられるので読めるのです。
つまり、無意味に怖がらせようとしないで、超常現象を淡々と描き、
その中で人間模様を描いてあれば乗り越えることができるのです。
それにしてもわたし、今日はとても饒舌ですね。
見苦しくてすみません。
頭の中に浮かんだ考えを全部さらして、怖さから逃れようと
しているようです。いやもう、それに間違いないです。
最後に、物語を少し紹介しておきますね。
九篇の連作短篇集です。
一篇が三十ページ前後なので、恐怖におびえる時間が
少ないので素敵です。
江戸時代らしき舞台で、ろう庵先生と輪と耳彦の三人道中、
その行く先々で出会う怪異をまとめたものです。
三人の役割は、旅本の作者、書物問屋の娘、荷物持ちです。
ふらふらとさまよい歩く先生を、しっかり者の娘が助けるのですが、
まぬけな耳彦がいつも何かをやらかすという展開です。
表題作の「わたしのサイクロプス」は、せつなくて印象深いです。
「四角い頭蓋骨と子どもたち」の悲哀も心を打ちますし、
「星と熊の悲劇」は王道の作品です。
うちの娘もホラーを読みかけては、抜けられなくなって後悔
しながら読むタイプなので、この本を薦めておきました。
わたしはきっと、ホラーを強く意識しすぎているのでしょうね。
永遠の修行不足に恥じ入るばかりです。
紙の本
前巻に引き続き、面白い
2018/11/01 20:10
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投稿者:ほっけん - この投稿者のレビュー一覧を見る
新たな登場人物である輪が追加され、前巻とは違った蝋庵一行の掛け合いは面白いですね。河童の話は残酷であるが何処か切ない。
子供の頃に見た本物がただの夢だったと諦観し、罪を犯してもどきを再現し、金を儲け、やがて本物によって因果応報な目に遭う。
殺しまでやり過ぎですが、子供の頃夢見た空想を無いものと割り切って、その時の気持ちを忘れる様は何か共感めいたものを感じます。
このシリーズの続きが出るのが楽しみ
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投稿者:のぞみん - この投稿者のレビュー一覧を見る
エムブリヲよりSっ気の輪や、ろくでなし耳彦のキャラが激しくなっている。蛆虫を除けば読みやすく面白かった。耳彦は蛆虫にタカられ過ぎ。好きだったのは箱のお父さんの話。続いて欲しい。
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登場人物のキャラクターがたっており、短編の物語も先の予想が全くできない切り口で飽きさせない。
続きが読みたい。
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山白朝子とは、乙一さんの別名義の1つである。この名義で刊行された『エムブリヲ奇譚』に、続編が出るとはねえ。舞台は江戸時代。紀行作家の和泉蝋庵と、荷物持ちの耳彦が、あんな目に遭っておいて、懲りずにまた旅に出る。
蝋庵はすさまじい迷い癖の持ち主であり、一本道でも迷うという。耳彦は耳彦で、博打癖の持ち主であり、勝手に首を突っ込む癖も変わっていない。そんな2人に、新たなメンバーが加わった。書物問屋から送り込まれた娘・輪(りん)。彼女の役目は、財布の紐を握り、しっかり締めること。だが、蝋庵と一緒で余計な出費がないわけがない…。
「私のサイクロプス」。おいっ、最初から輪が災難に遭うのかよっ! はぐれた輪を救ったのは…。心根は優しいだろうに、人間の欲というやつは。「ハユタラスの翡翠」。言うこと聞かない耳彦が悪いんだから、放っておけよ。みんな優しいねえ。
「四角い頭蓋骨と子どもたち」。迷い込んだ廃村には、おぞましい秘密があった。どうしてこういうところにばかり辿り着く? 「鼻削ぎ寺」。また耳彦の自業自得…と言ってしまっては気の毒か。悪人にしては勉強熱心だな。平然と旅を続けていた蝋庵と輪…。
「河童の里」。河童を売りに観光客を集めていた村。しかし、その実態とは…。耳彦の無鉄砲さが、悪事を暴いたと言っておこう。「死の山」なんてそのままズバリなタイトルだな。というか、なぜ迂回しないっ! 人が悪いよねえ、あんたたち…。
「呵々の夜」。またまたはぐれて、怪談の会に飛び入り参加する耳彦。こえぇぇぇぇぇ! 結局、真相はどうだったのか。「水汲み木箱の行方」。酒に酔ってぺらぺら話してしまう耳彦が悪いだろっ! 女将は気の毒だが、何より、あの一家の幸せを願うよ。
「星と熊の悲劇」。絶対下りられない山に迷い込んだ一行。そこに熊が襲ってきて、嗚呼、阿鼻叫喚…。黒乙一全開の山白朝子作品、今回も突っ込みどころだらけで最高だった。中田永一ファンにはお薦めできないが。それにしても、この人たち、まだ旅を続けるのであろうか。
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スピンに慌てる。
驚愕するほど凄惨で恐ろし妖しいものたちに囲まれながらも、どこか物悲しく心に響く。
前作があるのでそちらも読まなければ。
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『エムブリヲ奇譚』の続編。そちらは文庫で読んだので知らなかったけど、単行本だとこんなスピンが付いてるんですね…!まさかの糸三本っていう。この微妙に本から垂れ下がる長さ、ものすごく髪の毛みたいで雰囲気合いすぎだ……。
「私のサイクロプス」「ハユタラスの翡翠」「四角い頭蓋骨と子どもたち」「鼻削ぎ寺」「河童の里」「死の山」「呵々の夜」「水汲み木箱の行方」「星と熊の悲劇」。
前回の『エムブリヲ奇譚』だと、和泉蠟庵と耳彦の二人旅、たまにもう一人、みたいな感じだったけど、今回は輪ちゃんがレギュラー参加していてなかなか良いバランス。
「ハユタラスの翡翠」「死の山」「呵々の夜」辺りが特に好き。「死の山」の終わり方が一番好きだなあ。
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和泉蝋庵と、書物問屋で働く娘の輪と、自堕落な荷物もち耳彦の旅の話9話。
私のサイクロプス、 ハユタラスの翡翠、 四角い頭蓋骨と子どもたち、 鼻削ぎ寺、 河童の里 、死の山、呵々の夜、 水汲み木箱の行方、星と熊の悲劇
とても好み。
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私は耳彦より蝋庵センセの物語を読みたいのよ!出せ!蝋庵ww。それはそうと装丁はエンブリヲに引き続き怪しげな雰囲気があって素晴らしいですね。文庫派の私でもこればかりは装丁で単行本押しです。表題作の「私のサイクロプス」良かったです。泣いた赤鬼みたいに、こういった理不尽なエンディングに弱いんですよね。うるうる…。
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タカト画に惹かれて。
1話目の輪の一人称が好きだったのですが、その後は耳彦でちょっと残念。
というか彼は可哀想な目に合いすぎではないでしょうか。
むやみにグロいのはあまり好きではないのですが、気になるので1冊目も読んでみよう。
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昔の日本の怖い話って感じ
気持ち悪くなるような描写は日本独特のものだろうな
寝る前に読むと夢見が悪くなるかもしれない
だいだらぼっちの話が印象的だった
もののけ姫を思い出す
鍛冶場とだいだらぼっちは繋がりがあるものだったんだな
こういう怖い話が昔の日本には実在したのかもしれないと思う
奇形児を産ませる村の話なんて本当にあったのかもしれないと思わせる何かがある
そういう風に思うのは僕も書き手も日本人だからなんだろうな
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物の怪短編集。
登場人物は3人だけだか迷い癖のある旅本作者とその一行は迷うたびに怪異な目に会う。
江戸時代だからこそだろう、至る所に怪異が有り、妖怪が住まい、物の怪が彷徨っている。日常の中の非日常に簡単に入りこめてしまう時代背景が面白い。
輪が彷徨う表題作「私のサイクロプス」が一番面白い。」だいだらぼっち伝説を上手く消化している。次点で最後の「星と熊の悲劇」これだけちょっと長いが。
全編殆どは耳彦という旅一行の荷物持ちが必ず迷って酷い目に会う。
必ず前振りがあって、博打ですってんてんになる、無銭飲食をする等、そんな目に会うのも当然と言う阿呆な事をするのだが、ややワンパターン。
最初の面白さを持続できていたら、もっと良かったのに。
もうちょっと輪に酷い目に会って欲しかった。もっと面白く描けるのではないかな。続編希望。
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3人旅の怪談集。
話自体はどこかで聞いたことあるような話もあるけれど、全体的には読みやすく楽しめる1冊。
続編も出そうな終わり方なので期待の★4つで。
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複数の乙一の中では山白朝子が一番好きだ。それは昔話であり、童話であり、1話完結の連続アニメだ。哀切とユーモアと怪談の融合がここちよい。この人たちと一緒に旅をしてみたい、と半ば本気で思ったりする。
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旅本作家の和泉蠟庵の一行が旅先で奇怪な出来事に出会う連作怪異譚『エムブリヲ奇譚』の続編。
荷物持ちの耳彦がひどい目に合う話が少しワンパターンな感はあるものの、どの話もそれぞれ趣向が凝らされていて、予想がつかなくて面白い。一行が三人に増え、少し旅行中の日常のユーモラスな描写が増えた気がしますが、相変わらずの美しさを感じる怪しさ、おぞましさ。そしてどことなく優しさのある物悲しさ。
どれも好きですが、異形を描いた『私のサイクロスプス』と『四角い頭蓋骨と子どもたち』が特に印象的。また、ラストの『星と熊の悲劇』が別格。