紙の本
全部が新作、なんて思い込んだりしないでください。でも、旧作でも、再読って気付かない人も多いかも。ま、私んちだけかもしれませんけど・・・
2007/10/10 19:11
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
お、舞城の新作が文庫で出る、って聞いて舞い上がっちゃったんですね、私。早速、『刀語』と一緒に購入しましたです、はい。でね、早速読み始めたわけです。さすが王太郎ちゃんだなあ、やっぱりハードボイルドっていうんだろうなあ、こういう文体って、なんて思いながらね。
で、読み終えたらすぐに舞城ファンである大学生長女に渡したわけです。ま、維新命の次女は今回はパスね。逆に、維新本は長女をスルーしているので、バランスはとれているわけ。で、二階の部屋でダラーっとしている彼女に聞いたわけですよ、あ~た、覚えてた?
「なにが?」
「あのね、三つのお話が入っていたでしょ。でね、「スクールアタック・シンドローム」と「我が家のトトロ」ってね、『みんな元気。 Cuckoos & the invisible devil』に入っていたんだって」
「うそ!」
「私だって、そういいたいけどホントの話」
「でも全然覚えてないよ」
「右に同じ」
「なにそれ?前に立って」
「ホント、新鮮に読んじゃったよね、王太郎ちゃん、スゴーッイ!なんて思いながら」
「左に同じ」
「けっ!」
なんですね。そう、書き下しは「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」だけなんです。ちょっと現代日本のどこかで起きたんじゃあないか、って記憶を探りたくなる表題作、思わずニコニコするトトロ、そして何ともおぞましい書き下ろし、いやはや、詳細は覚えていなくてもやっぱり褒めます、舞城王太郎、エライ!
ちなみに、カバー写真 Tim OLeary/zefa/Corbis 。カバー後の案内文は
「崇史は、俺が十五ん時の子供だ。今
は別々に暮らしている。奴がノート
に殺害計画を記していると聞いた俺
は、崇史に会いに中学校を訪れた。
恐るべき学校襲撃事件から始まった
暴力の伝染――。ついにその波は、
ここまでおし寄せてきたのだ(表題
作)。混沌が支配する世界に捧げられ
た、書き下ろし問題作「ソマリア、サ
ッチ・ア・スウィートハート」を併録
した〈ダーク&ポップ〉な作品集!」
各話の内容と、初出を書けば
・スクールアタック・シンドローム(『みんな元気。』2004年新潮社):カバー案内参照
・我が家のトトロ(『みんな元気。』2004年新潮社):28歳の時、脳外科医にならなければ、と思った僕は会社を辞めて受験勉強を開始する。センター試験はそこそこの成績でも二次試験で落ちる、それを何度も繰り返して30歳を過ぎた。そんな僕を妻のりえも娘の千秋も温かく見守ってくれる。そして我が家のマスコット、それが猫のレスカ。その猫はドンドン太って・・・
・ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート(書き下ろし):イタリアで母・弓子と父・伊藤光司の間に生まれた子供は、オガデン戦争が起こってソマリアに入ることが出来なかった父親の想いを込めて「杣里亜」と名づけられる。幼い時から母や祖父母に疎まれ、叔父の淳一から性的暴行を受け続けた彼女は高校生のとき、俺の恋人・智春に殺されて・・・
です。どれも好きですね。今を感じます。基本は暴力、なんて書きたいですが、「トトロ」がありますからねえ、そんな簡単には括れません。学校襲撃、ペット、近親相姦、霊、とまあ様々なものが、ギッシリ詰まった感じ。でも、薄い文庫版のせいか、それが重さにならずにスラスラ読める。馬子にも衣裳とはいったもの、版型だけで読後感まで違います。ま、それは私たち母娘の記憶力の問題でもあるんですが・・・
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<崇史は、俺が十五ん時の子供だ。今は別々に暮らしている。奴がノートに殺害計画を記していると聞いた俺は、崇史に会いに中学校を訪れた。恐るべき学校襲撃事件から始まった暴力の伝染―。ついにその波は、ここまでおし寄せてきたのだ(表題作)。混沌が支配する世界に捧げられた、書下ろし問題作「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」を併録したダーク&ポップな作品集。
>スクールアタックシンドローム。ふと気付いてちょっと日本語にしてみたら学校襲撃症候群。名前のまんまの話だった。しかしその底にあるのは「愛」。“問題作”のソマリアサッチアスイートハートは確かに問題作な気はするのだけど色々問題で何が問題なのかよくわからなくなる。
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7/9読了
スクールアタックシンドローム、我が家のトトロは以前に読んだことがあるので『ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート』のみ。
杣里亜という女の子がスカトロな義兄にうんたらかんたら。
女子割礼気持ち悪い。
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ハード版「みんな元気。」を文庫本で二つに分けたうちの一つ。
書き下ろしに「ソマリア・サッチ・ア・スウィートハート」。
ここに入ってる小説はみんな好き。スクールアタックはなんか、愛、って感じ!ひねてるけど。
「我が家のトトロ」はホンワカのんびり。
しかし、どっちの話にも「殺すリスト」は出てくるんだね。
そして書き下ろしのソマリアは、また舞城さんぽいわけわからない設定だけど、でも、主人公がソマリアを置いて逃げるところは切なかった。
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そまりあの話がすごかった。けど、すごい疾走感で後味悪くない。てかこれ友達に貸したら返ってこないんだけど。ふつうに凹む。
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ソマリア・サッチ・ア・スウィートハート怖いって。表題作からソマリアまで、なんかカニバリズム要素を多く含んだ一冊になってる気がします。野崎腹立つけど私は野崎になりたいよ。杣里亜が可愛かったです。
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カニバリズム的な要素を抜いてもこの小説は成立するんじゃないのか?すっごく面白く軽快な語り口が爽快なのだけど、誰かに紹介できるような本ではないのが勿体無い。若い作家さんだけあって、感性が現代的で馴染み易かったと思う。
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2007/9/14
この暴力が私に伝染しないか心配。
スピードにも慣れてきたのか、それともスピードはちょっと落としてるのか。
初めて舞城さんを読んだ時のような圧倒的な引きずられ感がない。
イヤだなぁ、なんにでも慣れちゃって。
もっとおいしいの、もっとすごいの、もっともっともっと・・・
浅ましいなぁ。
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新刊平積み、表紙に惹かれて購入。舞城さんの本って装丁素敵なのが多いですよね。
スクールアタック・シンドローム、我が家のトトロ、ソマリア、サッチ・ア・スウィートハートの3作が収録されています。舞城さんの本は、何故だか読みたいと思ってしまう。アクが強くてみんなに薦められないけど私は好き。珍味みたいだな。
今回は特に、書き下ろしのソマリア、〜が気に入りました。
暴力は伝染する。
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短編集です。
やっぱすごいよ、舞城王太郎。
特に文庫化に伴って書き下ろされた『ソマリア。サッチ・ア・スウィートハート』は圧巻。
ヤバイ。超傑作。
芥川賞あげちゃいなよ!!って感じ。
彼の小説は、一見、文法も、言葉も、登場人物も、ストーリーも無茶苦茶で、超暴力的で、グロテスクで、エロくて、とにかくなんかよくわかんないけど、その無茶苦茶さがすげー!って評価したいところだけど、そうじゃない。
そんな無茶苦茶さの中に、しっかりと主張があり、ストーリーも無茶苦茶なまま終わらず、しっかりまとめてくる。
そして、こんなにエログロなのに、なぜか最後は温かい気持ちになるんだ。
阿部和重、舞城王太郎を読まずして、現代日本文学は語れない。
皆さんも是非。
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表題作の『スクールアタック・シンドローム』、併録の『我が家のトトロ』ももちろん素晴らしいけれど、とにかく書き下ろしの『ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート』が秀逸。特に最後のソマリア民主共和国のくだりは涙が止まりません。舞城の洞察力に脱帽。
暴力や死が溢れ返る現実で、どうやって希望を持ち続ければ良いのかを教えてくれる最高級の教科書です。中学生や高校生の教科書に載せて欲しい。本当は星4.5ぐらいなのですが、なかったので切り上げて5。
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最高におもしろかった!絶対途中で飽きない。ってか、飽きるヒマもなし。
相変わらずめちゃくちゃなんだけど、それがいい。
言うことが、目からウロコなんです。
着眼点がすごい、イイ。
やっぱ、舞城さんはスゴイ。
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舞城ワールドにすんなり入れるようになった私は、きっとおかしくなってる。
ってことを実感。いいこと言うじゃないか、舞城。
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舞城王太郎は「良い小説」であることと「面白い小説」どちらも諦めていない。『阿修羅ガール』の頃はさすがにどうかと思ったけれど、これは良かった。
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好きでしかたがないなあ、と思う 全国の女子たち、天ないでの須藤晃の名ゼリフ(toタキガワマン)「お前には相手の都合なんかどうでもいいくらい伝えたい気持ちねえのかよ」というのはまさしくこういうことだろう!といいたい、ここにあふれるピュアがあのかたまりなんだよ〜と、これをよんでもやっぱり思った。家族の話でさえ なんというか、結局人は自分勝手にいきていて、誰かのことを思いやると言うことも、結局は自分のためを思いやってる 自分の世界の創造主でしかない それでひととひととのあいだは、そういう勝手ばかりをつなぎあわせてゴムのようにのびちぢみしているものだけれど、それがしかたなくもそのゴムを切らない形で続いていくと言う象徴は家族というかたちだとおもっていて、これはそのさわりであり深読みすれば全体だと思う そしてそれがその、君が好きだ好きだ大好きだという世界における痛みと愛情であって、どうしても好きでしかたがないなあと思ってしまうのだ