紙の本
にべもなく心にくる
2008/08/06 22:18
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投稿者:笑いの影 - この投稿者のレビュー一覧を見る
やっぱり長嶋有だな。
そう思わせるには十分過ぎた、泣かない女はいない。
泣けるでもなく、爽快でもない、そんな話は意外とみんな欲しているのではないだろうか。
睦美はいつも涼しげで、関わるとも関わらないともつかない態度で人と接する。恋人とは上手くいっていて、不満もない。同僚との話を耳にして「SEXの時、私が首を絞めてっていったら絞めてくれる?」電話のついでに訊いてみた。
そんな日常は延々と続き、海も山もない人生は衝撃もなく終わる。
特別良い人も、特別悪い人も出てこないのに、心は高鳴る。そんな物語。
NO WOMAN NO CRY
泣かない女はいない
夫はもうすぐ夫ではなくなる。
でもなぜか悲しみも悔しさも出てこないのは、いやほんとうは悲しいし悔しいのかもしれない。それに気付きたくない自分がそこに居た。
親友のみどりとは世紀魔2で知り合った。突然話しかけてきたみどりに少し距離をおく保子。だけどそんな強引なみどりに少しずつ惹かれていく。
みどりに憧れともつかないような憧れを抱いているのかもしれない。
センスなし、というタイトルなのに、結局保子は泣けなかった。
センスがないのはどれなんだろう。
世紀魔2か、デジカメの写真か、あるいは豆腐屋の笛か。
紙の本
数々の話題作を発表しておられる長嶋有氏による恋心の不思議を描いた小説集です!
2020/07/02 10:55
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『サイドカーに犬』(文學界新人賞)、『猛スピードで母は』(芥川賞)、『夕子ちゃんの近道』(大江健三郎賞)など数々の興味深い作品を発表しておられる長嶋有氏の作品です。同書は、埼玉郊外の下請け会社に事務として中途入社した澤野睦美が主人公として繰り広げられる物語です。彼女には恋人・四郎はおり、同棲しているのですが、不意に彼女に心変わりが訪れます。その心変わりとは一体、どんなものなのでしょうか?続きは、ぜひ、同書をお読むください。同書には、表題作のほか、短篇「センスなし」短も併録されています。恋心の不思議を描いた魅力あふれる小説集です。
紙の本
信用できる人物の描写
2023/01/27 13:10
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投稿者:ヒグラシカナ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタバレあり
睦美さんが同棲している恋人ではなく、
職場の男性に少しずつ惹かれて行ったり
人柄を信用する描写が抜群に良かった。
「あ、この人信用できる」とか、「この人いい人だな」
という直接的な表現ではなく、
起こった出来事や、会話の流れで少しずつその人への
興味や信用が増えていくさまがとても共感出来た。
日常を描く抜群な作品。
紙の本
静かだけど熱っぽい
2017/06/13 21:40
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投稿者:ポージー - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公の日常がだいたい静かにつづられていく。書き方によってはこれは結構な事件になるのではないかという出来事もあっけらかんとした感じで進む。物語とか登場人物に感情移入するとかでなくても、自然に溶け込んでいけます。それだから最後に胸がきゅっとなるんでしょう。
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10/12 角田光代っぽかったけどそれよか読みやすかった。しかしこういう「記述から読み取って!」的なのは基本的に苦手。だから!?て思ってしまうもの。
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通り過ぎる日常のなかに生まれる「その瞬間のひらめき」がある。いつも時間のなかに埋没させてしまうけど。そんな感覚すらもかいてある。
単行本もだが、装丁がよろしい。
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2つの短編の入った小説集。
この「泣かない女はいない」というタイトルは、作中に登場する樋川さんという、主人公が密かにそして徐々に思いを寄せていく男性が、レゲエの神様・ボブマーリーの曲、『NO WOMAN NO CRY』を訳したものだ。
歌詞の訳をネットで検索してみたら「泣くなよ、お前」みたいなのが主流(?)で、作中に出てきたCDの訳では「女、泣くな」という何のひねりもない訳がついていた。
意訳なんだろうなと思うものの、秀逸だと思った。
「泣くな」という訳なのに「女はみんな泣くものなんだよ」というような意味に置き換わることがなんとも面白い。「泣くな」と言いながらも、実は「泣いたっていいじゃないか」みたいな風に言っている様な気すらしてきた。
この作品の主人公の女性は「泣かない」というのだ。でも「泣いたっていいじゃないか」と全て読み終わった後で感じるのだった。
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淡々と日々は続く。会社が傾いても、恋人や夫との仲が壊れても。それが日常で、それが時々ちょっとだけ哀しい。
ふとした瞬間に人を好きになってしまうことがある。だからといって、それが必ず燃え上がる訳ではない(というかそれでは世界は大混乱だ)。
同じくらい突然、嫌いになって別れることもあれば、自然に戻ることもある。
きっと恋や愛の話なのに、それだけに注目できないほどに日常の出来事が心の中を閉めているんだな、と思う。
もしかすると、恋をして勉強も仕事も手につかないようなことってほんの一瞬しかなくて、幸せなことなのかもしれないと思うのでした。
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タイトル買い。悪くもないけど、良くない。淡々と物語が進んでいく感じ。読む人間の年齢や性別なんかも、少なからず関係するんだろうけど・・・。僕の年齢では少し早かったよう。もう少し年を重ねてから改めて読みたい。
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劇的なものはないゆるやかに流れる日常の中の社内での片思い。
長嶋有の凄さは人物描写のさじ加減で、出すぎることなく好感の持てる人物を描き出している。
まいったなーと連呼させずにはいられない作品。
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こ、これは・・・・!
書くことは見ることで見ていないとどうにもならないということを
とても感じた本 なんとなく自分のターニングポイント
はじめは女の子のだらっとしたことをよう書くなあとおもっていたくらいだったけど
よんでいるとみている感覚になるのが面白かった
それは目の前でその人たちを見てるってことじゃなくて
ぼやーんとした流れていくものをぼやぼやみているというだけ
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表題作、大好きです。自分も「大下物流」の一員になっているようなリアル感がいいです。
朱に混ざらないタイプの主人公が、会社の人々がなんとなく好きになっていく。居心地を良く感じるようになっていくって様がいいです。
社長に新所長に樋川さん・・そしてフォークリフト。
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五つ星。
まるでわたしが書いたかのように
自信を見せて、五つ星。
文庫判(だけだと思う)には
表題作の他『センスがない』も収録されてます。
が、
表題作『泣かない女はいない』こそ、
出会えてよかった。
こういうのに
出会えると思ったんだ、長嶋有なら。
「重なった」という気持ちが
『サイドカーに犬』『猛スピードで母は』『ジャージの二人』を
読んで感じたの。間違いじゃなかった。
もう最高ですよ、長嶋有。
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ちょっとした社会の日常を淡々と、でもさわやか?に書かれている。
世代が近いからか、親近感がわく。
「センスなし」の方は、普通にありそうで、逆にだいぶこわい。
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倉庫で事務をしてる女性の話と聖飢魔IIのファンの友達が淡々と語る二本立て。
まあ、佳作じゃないでしょうか?長嶋有の究極の名作とはいかないにしても、安定して面白いです。
小道具で使われてる聖飢魔IIが渋いです。良いチョイスだと思います。僕は音楽の事全然分りませんが、XJAPAN、聖飢魔II、筋肉少女帯を笑う奴がいたらそいつらは音楽を全然分ってないって判断していいと思います。かくゆう僕も大して聞いてもいないのにマイケルジャクソンを鼻で笑って友人になめられた記憶がありますが。