紙の本
写真家、エッセイスト、画家、また料理人でもある西川治氏の食をテーマとした興味深いエッセイ集です!
2020/06/21 10:18
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、写真家であり、エッセイストでもあり、また画家としても活動されている西川治氏の作品です。西川氏は、ネコをモチーフとした作品や食文化に関する作品が多数あり、同書も得意とされる食をテーマとしてエッセイ集です。同書の最初に、著者は、「どんなところで食事をしたか、食卓の上に何度、涙したかで男の味覚は決まるのだ」と豪語されています。同書では、たいくつな人生を輝かせる手づくりのマスタード、新聞紙にくるまれた油ギトギトのフィッシュ・アンド・チップス、夕暮れの広場で傾ける一杯のワインといった様々なテーマで興味深い話が語られていきます。同書では、「マスタードをお取りねがえますか」、「ポテトチップスを二シリングと、お魚を6つちょうだい」、「ウスターソースは罪深き娼婦のように」、「ぼくは昼に、火星人を食べた」、「たんぽぽのお酒」、「ピアッツアで、ヴィーノを」、「冬のキャベツ」、「凍てつく夜のオニオンスープ」、「コークスクリューを扱う手つき」、「生ニシンは、空を見ながら食べる」といったテーマで西川氏が独特のテイストで語ってくれます!
紙の本
言葉で味を想像して楽しめる一冊
2017/04/12 13:11
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投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の西川さんは写真家・画家でいらっしゃるのに、この食事のエッセイに一葉の写真も使われていません。
ただ、言葉のみをもって語られているのですが、それがかえって読む私の想像力を刺激して楽しい。
文字を追いながら、あんなのかなぁ、こんなのかなぁ、どんな味だろうかと自分のけっして豊かとは言えない食事経験の中からでも想像する楽しみは、料理の写真を見せられてわかったような気になるよりも、ささやかだけれど豊かな読書体験でした。
元々は1988年10月に出版されたものを、ほぼ25年後に文庫本として出されているのですが、インフォメーションとしてではなく文章を楽しめる作品なので、時間の経過はまったく気にはなりませんでした。
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のっけからマスタードの作り方である。写真家である作者が世界で見た食べた作った料理の数々。その国、人、食材との出会いが心ときめく言葉によって踊るように表現される。小説や映画のエピソードと重なるシーンも心憎い。
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たんなる美食エッセイでもなく、食のうんちくでもなく、ただただ美味しい食エッセイ。フィッシュ&チップスが食べたい。
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異国の料理について語る短編エッセイ集、全33編。
こってりした料理が好きなんだな、と読み進めていたら、
ラストの3編で、著者が肥満症であると告白しており、納得。
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特別期待して選んだ本ではなかったが、読んでみたらしっくりきた。
本業は写真家・画家である著者の食にまつわるエッセイ集。
「たんぽぽのお酒」は、何度でも読みたくなる。
「夏を閉じ込める魔法つかいのように、ぼくは飲みたいときに夏を飲むことができる」
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カメラマンであり、料理人でもある著者の1988年に刊行された単行本の文庫化だとか。今から見ると、時代を感じる箇所もあるけど、料理のおいしそうなところは変わらないのだろうな。スピナーチサラダ食べてみたい。
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食に関するエッセイ集だが、とにかく文章が魅力的。
今となっては少し気障な言い回しもあるが、そこも含めて作中に漂う「空気」が好み。「たんぽぽのお酒」、飲んでみたいけど作るのは大変そうだな。
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写真家でもあるので 各国を旅して
面白い食をみつけて 地元の料理を実際に作ってます
真面目なレシピも載ってました
しかし ウスターソースは手作りしたくない・・・
やればできるということが 分かったのはよかったけど
男性の書く食エッセイは
面白いものが多いんですよね
豪快さが食欲をそそり
思い出がいいスパイスになり
うんちくも文字なら気持ちよく読めます
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旅のお供に最適の本。食と旅への空想が広がる素敵な文章だった。短いのも読みやすくてとても良い。
チャンドラーとシャンパンの話、パスタの話、花のサラダの話が特に好きかもしれない。美味しいお話でした。
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超相対性理論で渡邉康太郎さんが紹介していた本。手に入れるのにわりと苦労したけど、世界の食にまつわるエッセイとか、絶対わたし好きだわ!と直感して、頑張ってゲットした。
「新解さん…」と同じく30年以上前の刊行。華やかかりしバブル時代の匂いもそこはかとなくするし、目次に並ぶタイトルを読んだだけでもう、お洒落でPOPな懐かしのサブカル感があり、いやコレ20代ぐらいで読んでいたら人生のバイブル的な深さで好きになっていただろうなぁと思った。
その意味では直感は正しかったけど、40代後半の今読んでみると、自分でも想像していなかった角度で違う印象を受けるもんなんだな。
のめり込むような読み方ではなく、
少し俯瞰して落ち着いた気分でオシャレなタイトルの短い章をそれぞれ味わうことができた。
写真家で、画家、文筆家でもあり、海外生活経験が豊富な著者が世界のいろんな街でいろんな人と食べた料理について、ときに詩的に、ときにドラマチックに、そのシチュエーションに至るまでを臨場感たっぷりに書き綴ったエッセイ。
アップルパイや、フィッシュアンドチップス、はたまたウスターソースのレシピなんかもサラッと書いてあったり、うっとりするようなお伽話みたいなものや、ちょっとサスペンスホラーみたいな内容のものまであって飽きさせない。コレは旅先とかに持ってくと良いだろうなぁ…。いや、1人の休日にまったりおうちやカフェで読むのが最高かな。
ちょっとオシャレすぎて小っ恥ずかしくなるようなところもあったけど、そうは言っても読んでいる時間そのものがご馳走になるような本当に素敵な本だった。
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カメラマンであり料理人でもある著者が、レシピも交えて「食の情景」を綴るエッセイ。
各国を旅した著者が、行く先々で食べたり作ったりした食を綴るエッセイです。
美食……ではあるのでしょうが、ただ美味しいものを求めてというよりは、いかにハードボイルドに、男の食卓としてふさわしいものを食べるかどうかにこだわっているような印象を受けました。素朴で、明確で豪快な感じと言えばいいのか。
出てくる料理はおいしそうですし、文章も美しいなと思うのですが、男らしさへのこだわり・男性目線が強すぎて、個人的にはちょっと感想に困ります。書かれた時代的な事もあるのでしょうが。
作中に出てくるレシピは、昔の料理本にありがちな超大量に出来上がるやつで、実際作るのは難しいでしょうがそういったレシピを見るのが好きなので楽しかったです。キャベツ5玉、豚肉2キロとか使った煮込みとか、一生に一回くらい個人でつくってみたいな~。