ジャコ・パストリアスの肖像 みんなのレビュー

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投稿者：ジャンレノ　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

「世界一のベーシスト」を公言した天才の軌跡。普通は鼻持ちならないが、ジャコなら許しますよ。ウエザーリポートでの凄すぎるプレイが、余りに印象が強い。フレットレスのフェンダー・ベースを駆使した演奏は、ジャズベースという楽器の概念ではとらえられないくらいの可能性を広げた。
ところがジャズの天才たちは、どうしてこうも悲しいくらい悲劇的な最後を迎えるのか。突然ジャコの名前を聞くことがなくなったので、不思議に思っておりました。あまりに凄いエンジンを付けた車のように、制御不能になってしまったんだろうな。
マーシャルアーツの警備員に、殴り殺されたんですよ。この男、自分が殺した相手が、天才ジャコだとは知らないし、そもそもジャズそのものも知らなかっただろうね。分かっていたら自殺してしまうな。
アル中のうえ、ドラッグときたら、ジャズの歴史で繰り返されてきた悲劇の一コマ。
この本を読んだあと、手にしたのは意外にもジョニー・ミッチェルの「シャドウズ・ｱﾝﾄﾞ・ライト」「ミンガス」でしたが、ジャコの残した演奏は、少しも古びておらず、改めて納得。
輝くばかりの演奏に、周りのトップミュージシャンからも一目置かれながら、崩れていった天才の歴史を、周りの証言も取り入れながら、見事に記録として残してくれた一冊に感謝したい。